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モブの植木鉢小説館

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5話 葛藤と決意

(やっぱ千雪さんには本当のこと言った方がいいよな……)

部活が終わり、みんなが解散したあと、俺は千雪さんに相談したいことがあると言って教室に残ってもらった。
花梨が勝手に決めた流れでああなったが、やはり胸の奥には罪悪感があり、千雪さんに真実を言おうか悩んでいたのだ。

俺は教室の後ろで向かい合って立っている千雪さんの前で俯いて、なんと切り出そうか考えている。

この人には転校してきてから色々気にかけてもらってる。
いくら色葉がムカつくといっても千雪さんや美羽ちゃんの姉妹なんだ。
勝っても負けても俺にとっては美味しい展開だが、色葉を騙すようにしてひどいことをするのは気が引ける。
それにやっぱり千雪さんには嘘をつけない。きっと後悔してしまう。

「どうしたの。芝山くん?」

俺は口を開きかけては閉じる。
言い出せない。あと一歩の勇気が出てこない。これを嘘だといったらどんな顔するだろう。
俺を許してくれるだろうか?
それとも軽蔑されるだろうか。
花梨が言った事とはいえ、それを否定しなかったのだから俺は同罪だ。
悪い想像が頭を駆け巡り、俺の顔をうつむかせる。

千雪さんはそんな俺の様子を見て、微笑んだ。

「芝山くんが私に相談したいのは、花梨ちゃんの言ったことは嘘ってことでしょう?」

俺はそのとたん大きく頭を下げる。
全て見抜かれていた。
そりゃそうだろう。あんなのが都会で流行ってるわけがない。
千雪さんは知っててあの場で止めなかった。
大喧嘩になるかもしれないと知ってたからだ。
きっと明日あたり、色葉が冷静になったところで、何かしらの理由をつけて中止させるつもりだったのだろう。

「すいません。俺がすぐに否定すれば、あんなことには……」

心から謝罪する。
どうしてあの時、俺はすぐに否定しなかったのか。本当に俺はバカだ。
俺はさらに謝罪しようと、頭をあげて口を開こうとする。
だが千雪さんは微笑みながら、首を横に振った。

「このゲームやりましょう」
「えっ……?」

予想だにしない言葉。
俺は思わず千雪さんの顔をまじまじと見る。

「この機会に身体から仲良くなるっていうのもありじゃない?」

何を言ってるんだと、俺は千雪の真意を探るようにさらに凝視する。
すると、千雪さんはそのまま穏やかな口調でいう。

「私は高校を卒業したらこの村を出て、都会の大学に行くことになるでしょう。色葉だって同じはず」

突然の告白。

「だから仲良くなれるなら少しでも早く仲良くしてほしいの。残された時間なんかあっというまに過ぎるんだから。
私はみんなと仲良くなった思い出を元気にかえて都会でも頑張りたいの」

それじゃあ妹の事は、と思わず口を挟もうとする。
理由は分かる。だけどそれでは色葉のことはどうなるんだと。妹を犠牲にするんじゃないかと。
方法が間違ってる。

「でもえっちなことをしたら責任をとってほしいの」
「責任?」
「責任って言っても結婚しろとか言わないわ。仲良くしてあげてほしいの。
あの子はね。昔から素直じゃなくていじっぱりで、気が強くて、自分が悪いことをしても意地はってなかなか謝ることができなかったの。今は家族には素直だけどね」

「……」

「でも本当のあの子は、優しくて思いやりがあって、正義感も強いわ。
あなたは知らないと思うけど、君が転校してきてからは、色葉はあなたの話をよくするようになったの。大抵あなたにたいする不満だけど、なんどもくりかえしね」
「……」
「きっと、あの子は君に恋してるんだと思う」
「……えっ?」

まさかあの態度の色葉が?

「たぶん本人は気づいてないわよ。だからイライラしてるのね。これがなんの感情か分からなくて。きっと初恋よ」
「……千雪さん色々と発想が飛躍しすぎです」

俺は千雪さんの言葉を否定する。だって俺はお世辞にも容姿がいいとはいえない。

「ふふっ、きっとそのうち分かるわ。だからこのゲームで互いによく知り合いなさい。きっといい方向に進むわ」

それでも俺には理解できない。
狂気すら感じる言葉だ。
いくらなんでも強引すぎる。

「芝山くんもラッキーでしょ。今の男の子なんてやりたい盛りなんだから」
「そりゃあ、そうですけど……」
「ならいいじゃない。明日が楽しみね。芝山くん」

俺の目を覗き込む千雪さん。
いったいなぜ、彼女はそこまで思い出を欲しがるのだろうか。

俺は唾を飲み込みながら、へびに睨まれた蛙のような気持ちになる。

千雪さんといい、花梨といい、いったい何が彼女たちをそうさせるのだろう。


俺は俯きながら、はいと返事を言わざるを得なかった。





次の日。
俺は期待と罪悪感に脳内の天秤を支配されながら、学校に向かった。
さすがに昨日はよく眠れず、体の動きは鈍い。
俺は重苦しい体を引きずりながら、昨日から考えていたことを思い出す。

俺から色葉に全てを告白し、この勝負を中止にすべきだろうか?
色葉との仲は致命的に破壊されるだろうが、俺はそこまで下種に堕ちたくない。
そんな気持ちがある。
この学校で感じていたほのぼのさは消え、何か得体のしれないものを感じる。


俺は胸の鼓動の高鳴りを押さえることができずに、答えの出ないまま教室に入った。

「おはよう、今日は勝負の日だね。いっぱい溜めてきた?」

ゴクリと唾を飲み込む。
元気に挨拶してきた花梨だが、当たり前のあいさつじゃない。

「どうしたの?」
「あ、いや、なんでもない」

変な気持ちを頭を軽く振って忘れる。
こいつがいきなりおかしなことを言うからだ。
変なことを言うなよ。

「それで勝つ自信はあるの?」
「さぁな……」

俺はそっけなく答える。
あんまり喋りたくない気分だ。
これからのことを考えると、自然と口数は少なくなる。

花梨は、そんなそっけない俺に飽きたのか、すでに教室に来ている色葉のところへ向かっていった


数時間後。
放課後が近づくにつ入れて俺はどんどん緊張していった。
昼食は1人で食べ、机の下では貧乏ゆすりが始まる。

クラスメイトとは挨拶以外、ほとんど会話を交わしていない。
様々な葛藤が俺を襲い、吐き気を催す。
頭の中で、言おう、言わない、の押し問答が続き、延々と答えのない迷路に迷い込む。

何も知らないだろう色葉は俺と目が合うと睨んでくる。
強気な目だ。絶対に負かしてやろうという意思が伝わってくる。

だけど千雪さんの言う事が正しいなら、色葉は俺の事が好きだからこういう態度をとっているということになる。
俺には正直、そのあたりの感情はよく分からない。
色葉は確かに美少女と言えるが、印象がよくないからだ。
よく幼い子が好きな子をいじめてしまうということを聞くが、色葉も自分の気持ちに気付かないでそうしているだけなんだろうか。
俺にはもうどうしていいか分からなくなる。
言ってしまえば楽になるのに、心のどこかで期待しているのだ。
色葉とえっちな事が出来るという事と、千雪さんが言った「身体から仲良くなるのもありじゃない?」という言葉に。

その証拠に俺の股間が痛いほど主張を始め、罰ゲームの場面を想像してしまう。

こうしている間にどんどん時間が過ぎて放課後になった。



「………」
「さぁ、いよいよお待ちかねのお兄さんと色葉ちゃんの対決だよ~。準備はいい?」

放課後、ついに何も言い出せないまま、俺はこの時を迎えてしまった。
心にやましいことがある俺は、顔をあげることができず俯き加減になり、その場にいるであろう美羽ちゃんの顔を見るなんてもってのほかだ。
俺と色葉の対決であるため机は二つしかくっつけられず、俺と色葉は向かい合うよう座らされた。



強気な色葉と俯いて弱気な俺。
色葉がイライラしたように俺に言う。

「あんた、俯いてないで顔をあげなさいよ」
「………」

人の気も知らないで。
俺は、湧き上がる何かを押さえつけるように、息を吐き、顔をあげる。

「……あんた、大丈夫なの? 顔色が悪いみたいだけど……」

俺の顔を見た色葉が、一転して心配するような声。
胸の奥がズキンと痛む。

「何言ってるの、色葉ちゃん。芝山くんはいつもと同じに見えるわよ。きっと緊張してるのね。勝負だから」

千雪さんが俺が何か言う前に、それを否定する。

ここが境界線だ……。
俺はそう感じる。
ここで罰ゲームをしたら俺は流されるままになる。
そしたらきっと俺は歯止めが効かなくなる。

モラルという巨大な門が立ちはだかり、俺は立ち往生する。

もう迷ってる暇はない。
とにかく何か言わないと!

「じゃあ、カード配るね。勝負は簡単。3回勝負でいつものババ抜き。だけど二人だからそれぞれペアになるカードを一枚。そしてジョーカーを配るね」

だけど花梨が機先を制するようにカードを配りだし、俺は開きかけた口を閉じる。
いつのまにか俺と色葉のまわりを制服組が囲んでいる。

千雪さんや花梨はもとより、美羽ちゃんや仲山も固唾を呑みこんでこの勝負の行方を見守っている。

俺の手元にはジョーカー一枚。そしてスペードのエースだ。

俺は2枚のカードを色葉に見えぬようシャッフルして色葉に差し出す。
色葉は難しい顔をしながら、どちらを取ろうか手を宙でふらふらさせはじめた。

「がんばって色葉ちゃん。勝ってお兄さんを先にイかせちゃえ」

花梨が妙な応援をする。
他の3人は黙ったままだ。

「………」

俺は黙って色葉の手先を見る。
白く細い綺麗な指だ。あれに握られたらと思うと、考えてはいけないというのに勃起してくる。
色葉は2分ほど迷ってからカードを取った。

ジョーカーだ……。

色葉は手元に来たカードを見て悔しそうな顔をし、楽しんでる花梨や千雪さんが盛り上がる。

俺は色葉の差し出したカードに手を彷徨わせながら、ふと思った。
そういえば仲山はそんな遊びは流行っていないと言わないのだろうか?
あいつも都会出身だからそんな遊びなど流行ってないことを知ってるはずだ。
それを言わないってことは、多分気が弱いから流される性格なんだろうなと思う。
ようするに事なかれ主義だ。自分に矛先が来ることを恐れて見て見ぬふりをするタイプの。

勿論俺にはそれを非難する資格などない。
俺もそれを色葉に教えていないのだから、しょうがない。

俺は色葉の表情を盗み見しながらカードを選ぶ。
もちろんジョーカーは引かなかった。
俺の勝ちだ。

色葉は俺がペアを捨てた瞬間、ガックリ項垂れる。
そして俺をキッ!と睨みつけた。

「な、舐めさせたらいいんでしょ。舐めさせたらっ!」

教室に響くよう、ヤケクソに叫ぶ。
小学生組は教室にいないが、教師に知られたら問題だぞ。
千雪さんもそう思ったのか、窘めるようにいう。

「色葉ちゃん、大きな声を出しちゃ駄目。仲山くんや美羽がびっくりするでしょ」
「あ、ご、ごめんなさい」
素直に謝る色葉。やはり姉の千雪の前では素直だ。


色葉はスカートに手を入れ、パンツを脱ごうとしてはやめ、脱ごうとしてはやめをを繰り返して躊躇っている。
みんなの視線が気になっているのか、しまいには涙目でうー!と睨んできた。

俺をそんなに睨まれても……。

それをさすがに見かねたのか、美羽ちゃんが口を出してくる。

「あ、あの、仲山くん。本当にこんなゲームが都会で流行ってるんですか?」
「え!? えっと……僕には……」

歯切れの悪い仲山。やはり事なかれ主義だったか。
同じ歳の美羽ちゃんに話しかけられても弱気に目を逸らしたままだ。
美羽ちゃんは千雪さんに訴えるような視線を向けるが、千雪さんはそれを微笑んで受け流している。



「仕方ないわね。悪いけど、芝山くんがおちんちんを先に出してくれる?」
「へっ?」
ポカーンとする俺。
「そ、そうよ! あなたが脱ぎなさいよ。私が舐めてあげるんだから感謝しなさいよね」

そして水を得た魚のように強気になる色葉。
はやく俺に脱げと促してくる。

なんでこんな話になってるんだ。負けたのは色葉だろ。
そもそもなんで罰ゲームをする流れになってるんだ。
俺はまだ結論を言ってないのに。

(くそっ……)

みんなの視線が集中し、俺は動きが止まる。

ここが最後の選択だ……。
俺は拳をそっと握りしめる。
今まで散々悩んできたが、ここでズボンを脱ぐか、真実を話すかで、俺の運命が別れるのだ。

罪悪感を抱いて生きていくならこのまま流されるのもいいだろう。
しかしこの経験はきっと一生記憶に残る。そうすればきっと苦しむはずだ。
だけどこのまま流されれば、一時時とはいえ、至上の快楽を得ることができる。
特に色葉はすごい美少女だ。きっと今を逃したらもうこんな経験できるかどうか怪しい。
下半身はズボンを脱げと激しく主張している。

俺は数瞬といえる短い時間のなか、ここに転校してきてからのことを思い出す。

千雪さんに親切にしてもらったこと。
色葉といがみあったこと。
美羽ちゃんと帰り道に楽しく話しながら帰ったこと。
花梨とずっと前からの友達のように付き合ったこと。
そして仲山とは、アニメやゲームの話で盛り上がった事。

うん。やっぱり俺には無理だ。

最後にみんなで机をくっつけてお弁当を食べたことを思いだし、謝ることを決める。

短い時間とはいえ、ここにいる6人は仲間なんだ。
嘘をついて、騙して、自分だけが得するようなことは出来ない。
後悔したくない。
俺は内心で、こんなチャンスを逃すなんて馬鹿だなと思いつつ、フッと笑った。

そして真実を話すべく、色葉に向き直った。

「あのさ、色葉……」
決意を固め話しかける。

だけどそれを遮るように、最後の横やりが入って言葉が止まった。


「ズボンを脱げば、私も舐めてあげるわよ? 芝山くん」


そう、俺の決意を十分破壊し、男としての欲望を高める千雪さんの言葉によって。















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