5月31日 火曜日 昼休み 映画研究部
あの悪魔との契約のあと、数日。
俺は、渡された藤宮に関する詳細なデーターを頭に叩き込み、
映画研究部で立ち振る舞いなどの指導を受けていた。
「常に周りの視線を意識するべきですわ」
桐沢は言う。
一番重要な事は警戒心を抱かせないこと。
藤乃宮遥の好む仕草、表情、言葉づかい。
全てにおいて細心の注意を払わなければならない。
もちろんそれは周囲に対しても同じ。
藤乃宮の前だけで演じても、周りで態度を変えれば評判は悪くなる。
女の前では露骨に態度を変える奴と噂になれば終わりだろう。
そうなれば藤乃宮は俺を警戒し、意識的に俺を避けるに違いない。
(気をつけないとな)
一度の失敗が俺の想いを終焉に向かわせることになるかもしれないのだから。
◇
「そうそう。これを渡しておきますわ」
計画の第一段階を放課後に控え、桐沢は俺に白い錠剤のようなものを一粒差し出した。
「……なんだこれは?」
「勇気を与える薬ですわ。計画の直前に飲んでおきなさい」
「俺にそんなものはいらない」
見るからに怪しい錠剤を渡され、俺はすぐに薬をつき返す。
「…そうですか。もし必要になったらおっしゃってください。きっとお役に立ちますわよ」
何も考えず反射的に錠剤を突き返したことで、一瞬、桐沢の機嫌を損ねたと思い「しまった」と思ったが、
桐沢は、何事も無かったようにいつもの不気味な笑みを浮かべ錠剤を受け取ると、丁寧に紙に包み大事そうに鞄にしまった。
「………」
なんだあの錠剤? ひょっとして貴重な薬なのか?
ただの錠剤にしては慎重すぎるほどの扱いに疑問が浮かぶ。
…だが、あんなものを飲めば何が起こるか分からない。
返して正解だろう。
そもそも第一段階は、藤乃宮遥と接点を作るにすぎない。
こんなところで飲んでたら次の段階なんて不可能だ。
(もっとも、こいつが信用出来れば話は別だが……)
ありえない話に心の中で笑う。
俺は、計画にある程度乗って藤乃宮を手に入れたら、すぐにこいつとおさらばすることを考えている。
最後まで付き合ったら、何をさせられるか分かったものじゃないからだ。
本来なら藤乃宮遥の理想を演じきることが出来たら計画を抜けたいのだ。
こいつに付き合っているのは、幼馴染の幸太という巨大な存在が俺の前に大きく立ちふさがっているため。
俺がお前の思い通りに踊ると思ったら大間違いだぞ。
俺は桐沢に笑顔を向けながら、自分の心にもう少しの辛抱だと言い聞かせるのだった。
4時48分 バスケット部 部室
「春山、ほんとにいいのか?」
「ああ、体育館の後片付けは、俺が全部やっておくから帰っていい」
「ほんとか?悪いな」
そう言って更衣室にいたバスケ部の仲間は帰って行った。
この日のために、獣のごとき欲望を抑えて
今まで準備を進めてきた。
「さぁ…計画の始まりだ」
誰もいなくなった部室で俺はひとりごちた。
相変わらず蒸し暑い体育館に戻った俺は、バスケ部員が体育館に残っていないことを確かめると
ゆっくりと視線を女子バドミントン部の方に向けた。
「……よし、まだいるな」
まだ帰宅せず、体育館の端のコートでバドミントンラケットを振る
アンダースコート姿の藤乃宮を見つけ、ほっとする
と同時に鼓動が激しくドクンドクンと高鳴り始めた。
これから計画の第一歩が始まるのだ。
緊張しないほうがおかしいだろう。
落ち着け…
落ち着け…
落ち着いてやれば出来る…。
俺はクルリと背後を向くと、何度も深呼吸し気持ちを落ちつけ覚悟を決めると、
計画通り、床に落ちているバスケットボールをカゴにひとつひとつ入れながら
体育館の端へ、藤乃宮遥の傍へボールカゴをカラカラと押していく。
何も知らずに夢中でバドミントンをしている藤乃宮。
あの穢れを知らぬ可憐な美少女が計画通りに行けば俺のモノになるのだ。
俺のモノになったら、あの白い肌も、柔らかそうな唇も
掌に収まりきれそうにないロケット形の乳房も
そして突きがいのある桃のようなお尻も、全部、全部、心ゆくまでしゃぶり尽くしてやろう。
そんな邪なことを考えていることをおくびにも出さずに全てのボールを回収すると
体育館の真ん中を区切る緑のネットをカゴを押しながらゆっくりと超えた。
いよいよだ……。
さすがに緊張は隠せない。
俺の左横のコートでは、遥が前を向いてバドミントンラケットを構えている。
行動を移すには今しかない。
普通の連中なら大抵、勇気がなくてここで諦めるだろう。
だが俺は違う、俺はそいつらと違って決めたのだ。必ず藤乃宮を手に入れると。
──ドタン!
トントントン、、、
バスケットボールがカゴから2、3個こぼれ体育館の床に転がっていく。
俺が、藤乃宮のちょうど横で、ワザと倒れたからだ。
「どうしたの?」
案の定、こちらに近づいてきた遥に心の中でうまくいったと叫ぶ。
「うーん、どうやら足くじいてしまったみたいだ」
「保健室に行かないと…」と、呟き俺は右足を抑えて痛がって見せる。
「大丈夫? わたし保健委員だから保健室に付きそうね」
完璧だ。
これが第一段階の計画。
藤乃宮の気を引き、忘れられない出来事を作ること。
それがほぼ上手くいったせいなのか、今までの緊張が嘘のように消えていくのを感じる。
(後は邪魔者が入らず二人で保健室に行ければ第一段階は終わりだ)
◇
俺は、藤乃宮に肩を貸してもらいながら保健室までの道のりをひょこひょこと進む。
普段は喧騒溢れる廊下も、下校時間が過ぎたせいなのか人影もなくひっそりとしている。
いい匂いだ……それに柔らかい。
二人三脚のように密着しながら俺は遥から漂う女性特有の匂いと身体の柔らかさを堪能していた。
バトミントンの練習途中で抜け出してきたせいか、汗が肌をしっとり濡らして色香を醸し出しており、
時折身体に触れる遥の瑞々しい乳房が、俺の欲望を激しく刺激する。
……まずい、想定外だ。
心の中で俺は焦り出す。
なぜなら、俺の下半身が遥の乳房の柔らかさに刺激を受け大きくなり始めたからだ。
今の俺の服装は、Tシャツに短パンというバスケットウェア。
ジーパンなど硬い布地と違って、布地が薄い短パンで勃起したら一発でバレる。
そしたら終わりだ。
(後は保健室に行くだけだっていうのになんてこった)
背筋を伝う嫌な汗を感じながら、なんとか鎮めようと
俺は、少し前かがみになりながら必死に他の事を考え意識を逸らす。
だがそれがいけなかったらしい。
急に歩みが遅くなった俺を心配したのか、遥が上目遣いの目でこちらを見つめる。
ゾクリッ…
その心配そうな上目遣いを見た瞬間、俺の理性が粉々に破壊された。
今思えば、その時、頭の中から計画のことは消えてたと言っていい。
スイッチを切り替えるように理性と下劣な欲望が入れ換わったのだ。
そして俺は欲望の赴くままに体のバランスを崩し、遥のほうに体重をかけながら倒れ込む。
「きゃあ!」
可愛らしい悲鳴をあげ床にうつ伏せに倒れた遥。
同じように俺も遥の背中に抱きつくようにしてわざと倒れる。
ひらひらのスコートがめくれ、遥の魅惑の尻の谷間に
俺の勃起したフランクフルトが型に嵌まるようにぴったりと納まった。
「…あっ」
どうやら遥も自分のお尻の谷間に何が挟まったのか気付いたようだ。
ドサクサに紛れて胸を揉むつもりだったが
遥の尻の谷間に俺のちんぽを挟みこめたなんてホントついている。
うつぶせに倒れた遥に俺がのしかかる形となり、腰を本能のままに上下にそーっと滑らす。
「わ、わたしどくね」
慌てて起き上がろうとした遥を、肩の上から押さえつけ体重をかけると同時に
「い、いたっ!ごめん、藤乃宮さん動かないでっ!」と言って
ちっとも痛くないのに激しい痛みをアピールして動きを封じ込める。
「ご、ごめんなさい、春山くん、大丈夫?」
今のアピールが功をそうしたのか動きをぴったり止め、うつぶせのままで遥が心配そうな声で俺に尋ねた。
「大丈夫、でも藤乃宮さん動かないでね。藤乃宮さんがヘタに動くとすごく足が痛むときがあるから。俺が自分のペースでどくからホントに動かないで」
「うん、わかった。無理しないでね」
自分が動くと足が痛むことに気付いた遥がじっとして俺がどくのを待った。
まな板の鯉とはこのことを言うのだろう。
俺はさっそく身動きできない遥を尻目に行動に移す。
布越しとはいえ遥の綿製の白いアンダースコート尻に挟まった俺のちんぽ。
まるで薄皮一枚に挟まれてるみたいだ。
ひょっとしてアンスコの下にパンツを履いてないのか?
ありうる、体育館の窓を閉め切ってバドミントンをやってるのだ。蒸れるのが嫌なら履いてないことも考えられる。
本当ならありえるはずがないのだが、想像するだけで
俺のちんぽが痛いほど、さらに硬さを増していってるのが分かる。
我慢汁だって相当出てるだろう。
こうして身動きできない遥の尻でオナニーを開始する。
遥が抵抗しないか確かめるようにゆっくりと2度3度と動かし抵抗がないとみるや激しく上下に擦る。
「んんっ…」
遥が再び声を上げ、小さな抵抗を示すようにお尻を動かした。
そんな抵抗を楽しみながら俺は「もうちょっとだから!もうちょっとだから!」と言って
激しく腰を振り続ける。
もし廊下で第三者が俺たちの姿を見たら俺が遥を寝バックで犯してるようにしか見えなかっただろう。
実際は、遥で尻コキしてるのだが。
そうやって俺は3分ほど遥の尻の谷間の感触を楽しみ自分のパンツの中で射精した。
本当は遥のアンスコにぶちまけたかったのだが仕方がない。
つーんと生臭い匂いが漂う中、俺はようやく遥の上からどいて立ちあがった。
「ごめん、ちょっと動いたら足が痛んで、痛まないように起き上がるのに苦労したよ」
はずかしそうに顔を下に向けていた遥に手を差し出して立ち上がらせる。
今日はここまででいいだろう。
これ以上、動けば必ず失敗するだろうしな。
そうして俺は遥の肩に手をまわし、女性特有の身体の柔らかさを楽しみながら保健室に向かったのだった。
幕間
ドタッ!
私の目の前でバスケ部の春山くんが、バスケットのボールの片づけをして倒れた。
倒れていたところをはっきり見ていないのだけど
どうやら足をくじいて立てないみたい。
慌てて隣のコート全体を見てもバスケ部の人は誰もいない。
足首を押えて「保健室に行かないと」言って痛がる春山くん。
そうだ。私、保健委員だ。彼を保健室に連れて行かないと。
私は近くにいたバドミントン部の友人に「春山くんを保健室に連れていくね」と一言いうと
倒れている彼を引っ張り起こし、体を支えて保健室に向かって体育館を出た。
それにしてもひどい。
春山くん一人にバスケ部の後片づけを押し付けて帰るなんて…。
「…一人で後片付けしてたの?」
彼の松葉づえとなって、夕日で茜色に染まった廊下を歩きながら、それとなく聞く。
「………」
私の言葉に彼の歩み具合が少し遅くなった。
しまった、聞かなきゃよかった。もしかしたら彼を傷つけてしまったかもしれない。
心配そうに自分を見つめる私に気付いたのか、
「今日は、みんな疲れていたからね。比較的元気だった俺が引き受けたんだ」
彼は私を安心させるように微笑んでいった。
いい人だなぁ…。
春山くんと喋ったのは、今日が初めてだけど、噂通りもてる訳だと思った。
背が高くて、かっこよくて、しかも皆の体調を気遣って嫌な後片付けを一人で引き受けるくらい優しい。
私も幸太くんという男の子がいなかったら彼に夢中になっていたかもしれない。
そう考えると少し頬の温度が上昇するのを感じた。
良かった。廊下が茜色に染まっていて。
そんなことを考えながら歩いていた私が不注意だったのだろう。
不意に春山くんがバランスを崩しながら私のほうに倒れてきた。
「きゃあ」
気付いたときには、私は廊下に夏の砂浜にうつぶせで寝転がるように倒れ、彼が私の上に覆いかぶさるように乗っかった。
なんだかお尻の谷間に硬いモノが挟まっている。
その硬いモノのはすぐに何か分かった。
おちんちんだ!
反射的に逃れようとお尻を左右に振って起きようとする。
すぐに春山くんが痛がるように、うめき声をあげ
私はすぐに動くのをやめる。
そうだ。彼は足を痛めてるのだ。
私が原因で彼が倒れたのに痛がらせてどうするんだ。
彼への申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
私が動くのをやめると
「すぐにどくね…」
彼はそう言ってすぐにモゾモゾと動き出す。
アンスコの上の硬いモノが、私のお尻の谷間で上下にゆっくりゆっくり動く。
まるでアンスコに直接、硬いモノを押し当てられてる感触。
うう…恥ずかしいよぉ…
はやく春山くん起き上がって…
このままじゃ、私、へんなきぶんになっちゃう…
私は廊下の先を見ながら祈るように心の中で呟いていた。
だけどそんな思いとは裏腹に、彼の硬いモノの動きはだんだん激しさを増していく。
やっぱり足が痛くて、なかなか起き上がれないのだろうか?
少し動いては腰をずらし、少し腰を浮かしては、ずらしと、なかなかもどかしい。
春山くんも、なかなか起き上がれなくて焦っているのだろう。
「もうちょっとだから、もうちょっとだから!」
と、少し焦った声で言い続ける。
私はそんな彼を落ちつけようと、恥ずかしい気持ちを抑え穏やかな声で話しかけた。
「うん、焦らないでいいから自分のペースで起き上がって」
私の励ますような声で安心したのだろう。
私の背中に春山くんがしがみつくように密着し、腰だけが別の生き物のように本格的に私のアンスコの上で激しく動き始めた。
ずりずりずり……スリスリスリ…ズゥーズゥーずりずりずりずりずりずりずり…
硬いモノが私のお尻の上で円を描くように動いたと思ったら、急にお尻の谷間を味わいつくすように上下にしつこく擦りつけられる。
お尻の谷間にサンドイッチのように挟まった硬いモノが上下に
動くたびにアンスコはしわを作り、お尻はむにゅむにゅと形を変える。
それが何度も何度も繰り返されるたびに、私の理性の壁が崩れそうになる。
だめ・・・このままじゃ彼の腰のリズムに合わせて、私もお尻を振ってしまいそう…
そんないけない想像が頭に浮かび、それを打ち消すように頭を軽く振った。
とにかく…お尻の谷間に挟まってるモノをなんとかしないと…
春山くんが痛がるのを承知で、私はお尻を左右に大きく振った。
その瞬間…
「くぅ…で………る……」
春山くんが急に呻き声をあげると、私のお尻の上の硬いモノが一際大きく膨れ上がる。
えっ…? なに? 何が出るの?
私がその声に驚き、一瞬呆けたようにお尻の動きを止めた瞬間
春山くんの硬いモノの先っちょがドクドクと何かを吐き出したように感じた。
・・・・・・・・・・・・・・
数分後、やっと春山くんが起き上がってくれた。
なんだか彼の顔が恥ずかしくて見れそうにない。
今のって…射精したよね?
羞恥心と興奮で、私は顔が真っ赤になった。
私のお尻の谷間で彼は射精したんだ。
私のお尻を使って・・・
俯いて顔を上げられないでいる私に手が差し出された。
「ごめん、ちょっと動いたら足が痛んで、痛まないように起き上がるのに苦労したよ」
何事もなかったように涼やかな笑顔で言った彼に、私はさっきまでの淫らな想像を打ち消した。
春山くんがそんなことするはずないではないか。
あんなこと想像して恥ずかしい…
自己嫌悪に陥った私は後ろめたい気持ちを抱えながら、差し出された春山くんの手を取り立ち上がる。
「さぁ、藤宮さん保健室に行こう」
彼の声で再び私たちはゆっくりと保健室まで歩き出すのだった。
◇
「おまえたち、ちゃんと撮りましたわよね?」
廊下の陰で、ワタクシはビデオを廻していた手足たちに問いかける。
「は、はい。バッチリ撮りました」
「そう…」
モブのくせに、なかなかやるではないか。
まさか第一段階どころか第2段階(性的接触)まで一気にクリアするとは。
モブに対する評価を少し改めないといけないかしら?
ワタクシは夕日の中、廊下を歩くモブの背中を見ながら口元を歪めるのだった。
<< >>
- 2012/08/04(土) 19:41:29|
- 小説
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0