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モブの植木鉢小説館

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8話──農作業は重労働──

ティアナが学園生活を送ってる間、一方の幸太と手村は、新人類が奴隷階級に与えた農作業に従事していた。ティアナが重要な情報を持ってくるまで、少しでもこちらで情報とお金を手に入れようと言う目的である。
働く期間はティアナが重要な情報を持ち帰ってくるまでの間の限定だ。
また、クレアとリアラは家でお留守番である。ふたりとも美少女なので、迂闊に作業に出して新人類に目をつけられる訳にはいかないのだ。


ただっぴろい畑にクワ一つ。
耕運機なんてものはない。作業を命じられた畑で俺は黙々と畑を耕す。

辺りを見渡せば数えきれないほどの畑やら果樹園が広がっており、作業に従事しているのも数十人ではなく百人以上いる。
それぞれがボロボロの服を着て汗まみれになって草むしりや畑を耕してるのが、俺をなんとも言えない空虚な気持ちにさせた。

「幸太、大丈夫か? 畑仕事なんてやったことないだろ?」
「大丈夫だ。俺は体力には自信あるし結構やってみると楽しい」

深くクワを入れて、畝を高くしていく。
こうやって際と畝の境をはっきりさせていくのだ。

「そうか。しかし水が飲みたいな。今日は気温が高いし、日差しもキツイ。ぶったおれそうだよ」

手村が忌々しそうに、ムチを持って畑周辺をうろついているナイト(騎士)クラスを見て舌打ちをする。
奴らは少しでもさぼっているワークヒューマンやボーンを見ると、ムチを振り上げて怒鳴り散らすのだ。
慣れてる作業員はいいだろうが、不慣れな作業員はモタモタすることから何度か背中にムチを打たれている。

「おい、おまえら。ここはもういいからあっちの果樹園で切り株を抜いてこい」

いかつい顔をしたおっさんナイトが俺と手村を呼び寄せると、向こうの畑に行くように言う。
やはりというかその態度は横柄で俺を不愉快にさせるが、俺と手村は「はい」と素直に返事して指定された畑へ向かった。
日差しを避けれるので果樹園の仕事は悪くないだろう。


俺たちは柿や桃の木の植えられた果樹園に着くと、腕で額を拭った。

俺はともかく、手村はかなり汗をかいている。歳のせいだろう。昔の手村ならここまで疲れの色を見せることはなかったはずだ。
手村は近くの作業員に切り株の場所を訊くと、俺を手招きで呼び寄せその場所に足を運んだ。

「これか」
「そうみたいだな」

俺たちの目の前に大きな切り株がある。
果樹園の木の切り株ではない。元々ここに生えていた大木の切り株だろう。他と木と種類が違う。
俺は切り株を抜く方法など知らないので、手村に訊くと、どうやら縄を切り株に結び付けて抜くんじゃないか?とのことだった。これはかなり手間がかかりそうだ。

「こっちを結んでくれ」
「わかった。結んだぞ。引っ張ってくれ」

手村が切り株に結び戻ってくると、一緒になってロープを引く。
だが、切り株は地面に根をしっかり張ってるらしく、抜けそうにない。

「困ったな。これはふたりだと絶対無理だな」
「……そうだな」

息を切らして手村が言うが、俺が魔法を使えばこんな切り株など一発で抜ける。
もっとも、俺たちの様子を見ているナイトの前で魔法など使う気にはなれないが。
そうして俺たちはどうやって切り株を抜くか思案に暮れていると、ひとりの老人がこちらにやってきた。

「兄ちゃんたち。そのやり方では切り株を大地から引き離せん。ワシの言った通りにやるんじゃ」
「……あ、ああ」

頭を真っ白にした70代くらいの老人が現れたことにふたりは戸惑いを覚えたが、言われた通り老人の指示に従う。

「まず、切り株のまわりをスコップで掘り、根っこを切るんじゃ。そうしてからロープで引っ張ると抜ける。ロープを引く反対側から棒なので切り株を押し上げてやると楽じゃな」
「わかった」

俺はナイトの許可を得て道具を取ってくると、言われた通り手村と穴を掘り、根っこをオノやノコギリで切った。

「よし、では若いの引っ張れ」
「おっしゃ」

手村がロープを強く引っ張り、俺が切り株の下に鉄棒を入れて切り株を持ち上げる。
そうして格闘すること20分。ようやく切り株は大地から引き離された。

「助かったぜ、じいさん」
「本当に助かった。ありがとう」

手村と俺が礼を言うと、老人はなんのなんのと首を振って笑った。

「いやいや、ワシはアドバイスをしたにすぎん。切り株を抜いたのはおまえさんたちの力だよ。近頃の若いのにしては根性あるのー。もっと時間かかると思ったんじゃが」

そうなのか。と手村が俺を見たので、俺も首を傾げておいた。

「それよりじいさん何者なんだ? 俺はこの農場でかなり働いているが、あんたくらい歳を取ってる奴を見たのは初めてだぜ」
手村が尋ねると。
老人はニヤリと笑った。

「ワシはボーンだが、ワークヒューマンの街に住んでおるんじゃよ。おまえさんたちがワシを知らなくても無理はないかもしれんな。ワシは島の東の農場で技術指導しておったからな」
「そうかどおりで見たことなかったわけだ」

手村が納得したとばかり頷いた。

「それでじいさん名前は? 俺は手村。こっちは幸太だ」
「ああ、そうじゃったな。ワシの名前は、大寺。大寺真明じゃ。よろしくな若いの」






それから数時間後。
俺たちはこの大寺さんと共に作業を行い、30分の昼休み休憩を、果樹園わきの大きな木の下で一緒にとっていた。
こうして農作業をしてみて分かったが、やはり異世界での戦いは俺の身体を大きく変えている。以前ならヘトヘトだったろうに、今では大して疲れもしていない。

「ちっ、今日の昼飯は握り飯ふたつだけかよ。もうちょっと量を増やせよな……」
「それを言うな手村とやら、ナイトに聴かれたらただじゃすまんぞ」
「まったくだ」

支給された昼飯に文句をつける手村を、たしなめるように大寺という老人は言う。
その姿は父親が息子を注意するようで、見ていて微笑ましくなる。
俺はふと自分の両親のことを思い浮かべてしまった。今頃どうしているだろうか。

「そういや、じいさんワークヒューマンの街に住んでるって言ってたよな。なんでボーンなのにそっちに住めるんだ?」
手村がおにぎりを食べながら大寺に尋ねる。
すると老人は、水筒のお茶を片手にゆったりと答えた。

「それはワシが、ワークヒューマンの管理に関わってるからじゃよ」
「管理?」

目ざとく手村が反応して、窺うように老人を見た。

「そうじゃ、ワークヒューマンはその生まれゆえ、精神的に問題がある奴が多いからの……。ワシはそのカウンセラーとして街におる」
「ふーん、カウンセラーか。分かる気がするなぁ」

俺は大寺を見ながら頷いた。
この老人と一緒にいるとなぜか心が落ち着く。
街にいるワークヒューマンもこの老人に親しみを持っていることだろう。

「ところでおまえさんたち、ボーンの住む街でレジスタンスをやっているな?」
「……まさか」

いきなり物騒な話題に変わり、空気が変わる。

「隠さんでもええ。ワシはおまえさんたちの話を聞いてここへやってきたのじゃ」

どう反応していいか困る。
考えたくないが、この老人が敵とも限らないからだ。
俺と手村は黙ったまま大寺の話に耳を傾け続ける。

「ワシはな。おまえさんたちに頼みがあってきたんじゃ。どうだろう、このワシの頼みを聞いてくれないじゃろうか」

頭を下げる老人。
俺と手村は顔を見合わせる。

「……じいさん。俺たちは別にレジスタンスのメンバーじゃない。だけど話だけは聞くよ。もしかしたらレジスタンスの奴に出会えれるかもしれないからな……」
「それで十分じゃ。実はな。ワークヒューマンたちが反乱を起こそうとしているのじゃ。勝てぬ戦いのな。それをなんとかレジスタンスに止めてもらいたい」

「は、反乱だって!?」
「しっ、手村、声がでかい」

「あ、ああ。わりぃ……」

俺の鋭い声に慌てて手村が声を落とした。

「それで規模は? なにが原因で反乱をしようと思ったんだ? ワークヒューマンは基本大人しいはずだろ」
手村が気を取り直して落ち着いて尋ねる。

「規模についてはワシにも分からん。だが原因は知っておる。奴ら新人類は、ワークヒューマンを10人ほど山に放って狩猟を楽しもうとしているらしい」
「それって……」
「そうじゃ。奴らは、ワークヒューマンをウサギやキツネに見立てて狩りを楽しもうというのじゃ」
大寺は表情を悲痛なものに変えて視線を下に向けた。

「………」

言葉を失う。
手村からこの島の現状のひどさを聞いていたが、まさかそこまでするとは思わなかった。
やはり新人類にとっては旧人類など劣等種にすぎず何をやってもいいと考えているのか。
人を人と思わず、このような仕打ちをする新人類に改めて怒りを感じる。
やはりティアナが帰ってくるまでに戦う必要があるかもしれない。
知った以上、いくらなんでもこれは見逃すわけにはいかないからだ。
新人類の警備を必要以上に強化させずに一気に遥ちゃんのところまで攻めるつもりだったのだが、その作戦は修正が必要のようだ。


「大寺さん。説得の件は引き受けました。それからお願いがあるんですが、その狩りがいつ行われるか知っていますか?」

俺は、決意を込めた声色で、そう大寺さんに尋ねるのだった。






それから3日後の夕方。
農作業を終え、家に帰ると、ティアナが久しぶりに家に帰ってきていた。
その姿は元気そうなのだが、貴族の街で買ってきたのか、白いTシャツに柔らかそうな布製のオレンジ色のホットパンツと、少々目のやり場に困るような恰好をしており、俺をほんの少し動揺させた。

「ただいま幸太くん!」
抱きついてくるティアナ。少し胸が大きくなった気がする。雰囲気も恰好のせいか色気を感じる。
少し変わったか?

「おかえりティアナ。大丈夫だったか?」
「うん。何も問題なかったよ! 全然大丈夫」

くりくりっとした瞳を輝かせてティアナは元気に言う。
本当に何も問題なさそうだ。ちょっと心配しすぎだったかもしれないな。
俺はホッとしながらテーブルの椅子に座ると、クレアが紅茶を出してくれた。

「それで何か分かったのかニャー?」

リアラがネコミミを前にピクピクさせながら、興味津々で訊く。
まるでその耳はスピーカーのようだ。
リアラとティアナは、なんだかんだと仲が良かったので、会えなくて寂しかったのだろう。
普段はこういう話にはあまり興味ないのだが、ずいぶん積極的だ。

「あ…、えっと……まだあんまり大したことは分かってないかな。まだ入ったばっかだし」
「なんだ、がっかりしたニャ」

罰が悪そうに肩をすくめたティアナに、リアラが、がっかりしたようにいう。
入学して2週間なのだから大して情報を集めれないのは仕方ないかもな。
積極的に情報を集めたら変に思われるだろうし。

「でもお姉さまが無事で私はホッとしました。敵の真っただ中にいったわけですし」

紅茶を配り終わったクレアがテーブルの端に座ると、表情を緩めた。

「うん、ボクもそれは最初心配だったんだけどね。クラスメイトのみんなはボクによくしてくれて助かったよ」
「そ、そうなのかい。ティアナちゃん」

手村が少し複雑そうに表情を変えた。
自分たちの敵だけあって、こういう話を聞くとなんとも言えない気持ちになるんだろう。
自分にもその気持ちがなんとなくわかった。

「でもお姉さま。新人類は私たちの敵だと言う事は忘れてはいけないですよ。いずれは戦うことになるんですからね」
「わかってるよクレア。心配しなくて大丈夫。それよりボクが向こうに行ってる間、そっちでは何かなかったの? ボクはそっちの話が聞きたいよ」

慌てたようにティアナが話題の矛先を変えた。
……少し不安だ。
この様子だと学園生活を楽しんでいるみたいだし、いざ戦う時に何もなければいいんだけど。


リアラや手村と楽しそうに雑談を始めたティアナを、同じ気持ちだったらしいクレアと一緒に俺は心配気に見るのだった。


次の日の朝。
新人類の街『エデン』に帰ったティアナを見送り、俺たちは3日後に迫った新人類たちの狩猟について家で話し合っていた。

「結局、反乱は止めれたが、狩猟は止めることが出来なかったな」
「ああ。だがそれでいい。俺は元々この狩猟に参加するつもりだったからな」

あれから手村はワークヒューマンのレジスタンスメンバーに連絡を取り、反乱を止めることは成功したが、狩猟についてはさすがに中止に追い込むことはできなかった。
この狩猟のためにワークヒューマンは、新人類に10人の人間を用意することを命じられ、対応に四苦八苦しているらしい。

そもそもこの狩猟というのは、今回が初めてではなく、3年前にも一度行われたらしい。
その時は参加させられた獲物である旧人類は、全員死んだか、新人類に持ち帰られ犯されたらしい。
結局誰一人として戻って来なかった消息不明というやつだ。

「では、幸太さま。私たちがそのメンバーに入って新人類を倒そうというわけですか?」
クレアが唇の上に指を当てて思案気に言う。

「いや、参加はしない。参加したら俺たちが殺されるまで狩りは続けられるだろうからな。さすがにティアナもいないし、それは避けたい」

新人類と本格的に戦うなら全員揃ってから戦うべきだと思ってる。
実際、異世界でもそれぞれの役割を持って、魔物と戦いぬき勝利してきた。

「じゃあ、どうするんだよ。俺はワークヒューマンたちに悪いようにしないって言っちまったぞ」
手村が焦った顔をして問いかける。

「それなら大丈夫だ。俺に考えがある。狩りには参加しないが、俺たちは狩りに参加している新人類たちを襲う」
「どういうことニャ?」

頭にクエッションマークを浮かべながらリアラが、クレアのことを見る。

「つまり幸太さまは、狩猟に参加している新人類を襲って狩りを中止に追い込もうとしているのですね?」

「そういうことだ。当初俺が考えていたのは、女王の遥ちゃんの居場所を特定し、一気にそこを急襲することだったんだが、
こうなっては仕方がない。計画を変えて派手に暴れるしかない」

「なるほど。では、顔を布などで隠して襲ったほうがいいかもしれませんね。私たちだけで襲えば、向こうは私たちの身体能力を見て疑心暗鬼になるかもしれません。身体能力だけでいえば私たちも新人類と変わりありませんから」

「そうだな。向こうは俺たちが新人類かと勘違いして混乱するかもな」

俺とクレアは頷きあう。

「にゃー。結局、好きに暴れたらいいってことにゃ?」
「そうです。ただしそうなると、幸太さま、リアラ、そして私の3人で襲うということになりますが……」

「おいおいそれで大丈夫なのかよ?」

手村が飲んでいた紅茶をテーブルに置いて俺たちを見回す。

「大丈夫だ。ある程度損害を与えて中止に追い込めたらこっちも撤退するさ。それに狩猟というからには、森か山でやるんだろう? 隠れるところならいくらでもある。
それより手村。ワークヒューマンたちに連絡してくれるか。選ばれた人間は固まって逃げてほしいってな」

「それはいいけどよ。それには何か意味あるのか?」

「ああ。大有りだ。こうすることによってワークヒューマンを守りやすくできる。バラバラになって逃げたら俺たちも守りきれないからな」

「そうか。それだったらワークヒューマンを追ってきた奴だけ倒せばいいもんな」
「そういうことだ。だが問題は……」

一端言葉を止め、紅茶の入ったティーカップを口に運ぶ。

「この狩猟を開催しようとしているのが、ピアー(貴族)階級の可能性が高いっていうことでしょうか」

クレアが言葉を引き継いで口にした。
さすがはクレア。
俺の言いたいことがよく分かってる。

「それって……」
手村が険しい顔をする。手村にも分かったようだ。


「そう、狩りを楽しむなんて貴族のやることだ。しかも山狩りのような真似をするなら動員する人数もそれなりだろう。
間違いなく新人類の上位存在がこの狩りに絡んでいる」









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  1. 2013/03/08(金) 00:02:05|
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