「うわあああああああああああああ!!」
「な、なんだ!?」
突然乱入してきた坊主頭の山田の姿に一瞬部屋は静まりかえる。
だが、山田がそのまま真紀の方に行こうとしたことで、室内にいた3人の映研部員が山田の方に慌てて向かった。
「お、お客さん、今は撮影中です。出て行ってください!」
「どけっ!!」
顔を真っ赤にした山田が、近づいてきた映研部員を押しのけ、真紀の方に行こうとする。
「た、たける……」
真紀が夢から覚めたように山田に視線をやって顔を青ざめさせた。
いつから見られてたんだろう。
自分のしでかしたことを思い返して心が重苦しくなり、慌てて腰にまわした足をほどくと、イケメン先輩から離れようとする。
「おっと」
「は、はなして」
自分から逃れようとした真紀の身体をしっかりと抱き寄せ、対面座位を維持した翔。
今まで面白そうに山田を見ていたのだが、真紀が自分から離れようとするのを許さないようだ。より力を込めている。
「真紀って愛されてるんだね。わざわざあいつがここまで来るなんて。悪い女、魔性の女だ……。これはおしおきしないとね」
「おしおきって……」
雰囲気が変わり目に欲望の色を灯した翔に、真紀は怯えの色を見せる。
真紀は助けを求めるように、傍にいた映研部員を見るが、
「純愛ものかと思ったらドロドロの三角関係だったか。タイトルを純愛ものから寝取られモノに変えないとな……」
などとブツブツ言ってるので当てにならない。
「ま、まり先生」
今度は山田の後ろから続けて入ってきた真理に、希望を見出したが、真理は自分より
手足を振り回して暴れている山田を止めようとしている。自分の小さな声に気づいた様子がない。
撮影は中断され、みんな山田の方へ顔と意識を向けている。
たまにこちらを興味津々で見る人がいるが、あくまでも面白そうと思ってみているだけだ。
翔が、逃れようとする自分の腰を、力強く抱き寄せたことに気づいていない。
「はなせっ、おまえら!」
機材を蹴飛ばし、唾を撒き散らして怒声をあげる山田。
暴れれば暴れるほど真紀への注意は薄くなっていく。
「さぁ始めようか。彼の前でおまんこにたっぷり精子出してあげるからね」
「や、やだ……」
───ズン!
「あぅ!」
再び下から突き上げられた真紀のお尻。
桃のように可愛らしい形をしたお尻は、翔の逞しい腰によって再び上下にバウンドを開始し、真紀の心をおかしくさせていく。
「あっ、ふぁ、あっ、あっ、あっ!」
乱れる真紀の傍で、暴れる山田を取り押さえにかかる映研部員。
淫慾の雰囲気を作りはじめたふたりとは別世界のように、殺伐とした世界を構築していく。
「てめぇ、そこをどけっ!」
「うるさい! 部の催し物をめちゃくちゃにしやがって。機材も壊して弁償するんだろうな!」
ついに殴り合いを始めた山田と映研部員たち。
山田の右ストレートが決まり、映研部員の1人が頬を抑えてうずくまる。
「やりやがったな! こいつ!」
残ったふたりの部員が山田を取り囲んで、一斉に殴り掛かる。
ゴッ! ドスッ!
鈍い音が部屋に響き、拳と蹴りが山田の顔とお腹に決まる。
新人類の子供(イェーガー)の攻撃は旧人類と比べても強いのでかなりの激しさだ。
山田が怯んだところで、さらに攻撃がくわえられる。
ガスッ!ドコッ!ドカッ!
ボクサーが攻撃をガードするように腕を顔の前にやった山田に、容赦のない攻撃が腹や腕に突き刺さっていく。
ふたりの攻撃にくわえ、うずくまっていた映研部員も立ち上がって加わったものだからたまらない。
山田は蓄積するダメージにより反撃するまもなく、サンドバック状態になる。
「おら、どうした丸坊主! さっきの威勢の良さはどうした!」
蝶ネクタイにボーイ姿という山田は、ボコボコにされ、ついには鼻血をブッと出す。
膝がガクガクと震え、耐えるのがやっとという感じだ。
真理といえばそんな喧嘩を止めることはせず、呆れ顔のままで見ている。
やるならとことんやりなさいというスタンスのようだ。
「ちくしょう……」
絶えず殴られ続ける山田は、ガード姿勢を維持したまま真紀の姿に視線をやった。
「あっ、あんっ、あっ、あっ、ふぁっ……」
ニヤケ面のイケメン先輩の突きで身体を上下させながら、真紀は自分で自分の乳房を揉んで顔を上に向けて喘いでいる。
野獣のような逞しい身体つきのイケメン先輩は、白い肌を紅潮させる真紀の尻を両手で掴んで、手の平全体を尻肉に埋め腰を突きあげ続けている。
イケメン先輩が目の前で喘ぐ真紀の首筋に舌をペロリと這わし、こちらを見た。
勝ち誇っている。
こちらを馬鹿にしたように見つめている。
この女は、もう俺のちんぽから離れられないと言っている。
「くそ…天野……」
全身が激しい痛みが生じて、動きが鈍る。
だけどそんなことは言ってられないと、身体を亀のように丸めて前進を始めた。
「おいおい、なんだその恰好は。頭だけじゃなく、身体もじゃがいものようにボコボコにしてやるぜ!」
よってたかってさらに攻撃を続ける部員たち。
もはや喧嘩ではなく、一方的なリンチである。
あまりの暴力の激しさに、ついに山田は膝をついて倒れてしまった。
「はぁあぁ、ふぅっ…あっあっあっ、んあっ、ふあぁ、すごいっ」
途切れそうになる意識の中、山田は最後に真紀の姿をみた。
真紀は、いつのまにか正常位でイケメンに圧し掛かられている。
激しい突きだ───。
真紀の両足が翔の両肩に乗り、天井を向いてぶらぶら揺れている。
まわりの興奮状態が翔と真紀にも伝染しているのか、腰をこれ以上になく激しくさせクライマックスにのぼりつめようとしている。
「真紀、出すぞっ! 出してって言え! 坊主頭の前で孕ませてって言えっ!」
翔が激しく腰を振りながら、真紀に命令する。
真紀は激しく喘ぎながら、翔の言葉に従った。
「出してぇ! 真紀のおまんこに種付けしてぇ、山田の見てる前で真紀を孕ませてぇ!!」
どぴゅううううううううううううぅぅぅぅーー!!びゅびゅうううううぅぅぅーー!!
激しく振られていた翔の腰が、何かを注ぐように急に穏やかになった。
翔の顔が苦悶に満ち、何かに耐えるように、何度も何度もちんぽをおまんこに深く数秒入れて、腰を微妙にブルルと震わして腰を引くという行為を繰り返している。
「んっ、んんっ……」
真紀が乳房を揺らしながら、軽く身をよじって『何か』をちんぽの中から受けとっている。
恥かしいのか、頬を赤らめて翔から顔を逸らしたままだ。
「あ、天野……」
こうしている間にも、翔が真紀のおまんこにちんぽを数秒入れては出す、ということを続けている。
翔はかなり苦しいのだろう。
険しい顔を崩さず「いけぇ!いけぇ!ママになれぇ!」と押し殺したような声で呟いてる。
「……結局、こういう結果になっちゃわね」
いつのまにか隣に立った真理が言った。
山田はぼんやりしながら、その声を聞きつづける。
「これで終わりになったんだから良かったでしょ。これからのことは貴方たち次第だけど……」
あくまでも真理の突き放した言いように、山田は意識を失い、ゆっくりと瞼を閉じていくのだった。
◇
──学園祭2日目、日曜日。
人が絶えず出入りする校門前で、サイドポニーの髪型をした美しい少女が制服を着て立っていた。
その美しさは、美形揃いの新人類をも凌ぐ有様で、彼女の脇を通り抜けるものは皆、振り返る始末である。
彼女を見た学生たちはいったい誰だろうと噂していた。
「ここがお姉さまの通う学校……」
形のいい薄い唇を動かし、校舎を見上げる少女の名は『オリシアンスト・フォン・クレア』。
言わずとしれたティアナの妹である。
彼女がこの苺山学園祭にやってきたのは訳がある。
それは、数日前久しぶりに家に帰ってきた姉のティアナの妙な態度が気になったからだ。
数日前……。
「お姉さまどうしました? ずいぶん嬉しそうですけど」
「うん、実は今度の休日に学園祭があって……」
そこまで言って慌てて口を閉じるお姉さま。なんだかしまった!という顔をしている。
「学園祭、ずいぶん楽しそうですね。一般の方も入れるんですか?」
「入れない入れない! 絶対に来ちゃダメだよ。ばれたら大変だからね」
そういってお姉さまは挙動不審にリビングから出ていく。
あやしい……。
絶対、何か隠してます。
明日の学園祭、制服を用意して行ってみようかしら。1日くらいだったら安全でしょうし。
身分を問われたらティアナの妹だと言えばいい
みたいな出来事があったのだ。
クレアはこの日の為、髪を栗色に染め、家にあった予備のティアナの制服を拝借してきた。
発育のいいグラマーなクレアにとってティアナの制服は胸のあたりなど窮屈でピチピチだったが、それをなんとか着こなし、スカートから覗くふとももを隠すために黒のニーソを履いた。
そして、幸太たちが農作業に行ってしまったので、家に残るリアラに決して家から出ないように、と強くいい聞かせて、ここまでやってきたのだ。
(すごく人が多い……。やっぱり今日は学園祭だからかしら)
校門をくぐり校庭に入ったクレアは、沢山ある食べ物の出店に道を行き交う大勢の人々と
どの顔も自分と変わらないような歳の男女で驚きながらも、あまりの混雑ぶりに困っていた。
これでは姉を探すどころではない。
へたをすると自分が迷子になりそうだ。
(どこか見渡せるところに行かないと……)
まわりに視線をやったクレアは、そこで校庭を見下ろす校舎の屋上が目に入り立ち止まる。
「そうだわ。あそこなら校庭を一望できそうね」
クレアは、校舎に入っていった。
「ちょっと、そこの貴方。こっちに来てくれない」
「……?」
校舎に入ってすぐの下駄箱で、クレアは、ひとりの女子生徒に呼び止められて足を止めた。
振り返って見ても、当然、見覚えのない顔なのでクレアはどうしようか少し迷う。
自分の目的は姉の様子を確かめることなので、他の生徒との接触は極力避けたい。部外者である自分に何か尋ねられでもしたら答えることは不可能だ。
無視して先に進もうかと思ったが、向こうから近づいてきたので、クレアは観念してその生徒が来るのを待った。
「あなた見かけない顔ね。1年かしら?」
自分の目の前で腕を組んだ、目尻が少し吊り上った気の強そうな茶髪のセミロングの少女。
上から目線で見下ろすことから、えらい人なのだろうか?
内心でそんな疑問を持ちながら制服を見ると、胸元のリボンが自分の赤と違い、青なのに気づく。
もしかして……。
「ちょっと聞いてるの。あなた?」
「はい。聞いてます先輩」
「聞こえてるならちゃんと返事なさい。失礼よ」
「はい、すみません」
やはり先輩だったようだ。
クレアは自分の予想が当たっていて胸を撫で下ろす。
それで何の用なのだろう、と彼女の顔に視線をやると、彼女は何も言わずにクレアの手を掴むと引っ張った。
「貴方、暇そうね。ちょっとこっちに来なさい。用があるの」
「っ……!」
痛みを感じるほど強い力で、自分をどこかに連れて行こうとする名前も知らない先輩。
手を振りほどこうとしたが、人の出入りの激しい下駄箱で注目を浴びるのを恐れて、仕方なくクレアはついていった。
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- 2013/03/27(水) 00:01:16|
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