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18 謀略の将

パチン!パチン!

ある手狭な部室の一室で、一人の男が盤上に駒を打ち続けていた。
その名は海森縁。のちに勇太からインテリと呼ばれることになる男子生徒である。

彼は部員が一名しかいないこの将棋部で、今日も盤上の駒を見つめながらひたすら駒を打ち続けていた。
何が彼をここまで情熱的に、そして根気よく打たせるのかは誰にもわからない。
ただ、30分ほど打ち続けたのち、彼はようやく盤上から顔をあげ一言漏らした。

「ふむ。1-3のウシはこう動いたか……」

12万もしたという自慢のメガネをクイッと持ち上げ、彼は口の端を吊り上げる。

彼は戦国時代の名将、毛利元就に憧れており、謀略を持って天下を、いや、このゲームに勝ち抜こうと考えている。
効率的に、そして効果的に女を抱き、このゲームに知性を持って美しく勝利し自分の才能を周囲に認めさなければならない。ただ勝つだけでは彼にとって許されない勝利なのだ。

よって密偵からもたらされた「毎日狂ったように女に襲い掛かかるウシ」の報告を聞き侮蔑の色を浮かべたのだ。


「まさに見た目通りの猪武者、あの単細胞では遠からず行き詰まり、身の破滅を迎えるだろう」

海森は、そう嘯くと、盤上から角の駒を持ち上げ盤外へと弾き飛ばす。

すでにインテリは、ウシの暴走を食い止めるべく密偵という名の所有物たちに命じて、ウシの行いを学園中に広めている。
これで近いうちに噂は広がり、普段のウシの行いを知らない女子生徒も、彼を見かければ避けるようになるだろう。
つまり学園中に牛坂の噂が一気に広まったのは、この海森の仕業であったのだ。

そうして行き詰った彼の前に、自分手ごまの中から適当な女を見繕い、彼にルール違反を……。
すなわち、
<他人の所有物となった女性と性交すると、ペナルティとして自分の所有物の女性を2名、被害者に提供しなければならない>

というルールを犯させて、ウシから所有物の女子生徒を奪おうと企んでいたのだが……。




「……こうも簡単に事が運んでもつまらんな。ましてや、あの桜という女の思惑通りに進むのも癪だ。」

まさか牛坂が自分から5組を襲って自爆するとは思わず、海森は面白くなさそうな顔をする。
この調子では、牛坂は1か月もしないうちに脱落する。
それでは自分の能力を認めさせるどころか、桜の能力を皆に認めさせることになる。

それはつまらない。そして許されない。自分の知性より上だと認めさせてはならないのだ。
ましてや、自分と同じ歳の少女に。

「ここは、やはり僕が介入するしかないか。」

彼は再び、盤上に視線を落として残りの駒に視線をやりつづける。

「ここは2位の仲山を動かしたいところだが彼には毒がない。けしかけてもつまらんな……」

とはいえ、使える手駒は限られている。
まだゲームが始まって1か月も経ってないのに、勝負を仕掛けるべきではない。
しかしこのまま放置すれば、牛坂は終わりだ。

「ならば……」

海森は、額に指をあて目を細めた。


「牛坂と裏で同盟を結び支援するしかあるまい。」









「やったね。勇太くん!」
「ああ、ありがとう。これで一気に楽になったよ」

牛坂を罠にかけ意気揚々と戻ってきた俺は、クラスに入るなり奈々に笑顔で出迎えられた。
こうも上手くいったのは桜の素早い手回しのおかげである。
桜は以前牛坂が接触してきたときから女を回収に来ることを予想し、あらかじめ牛坂を罠にかける算段をしていたのだ。
万が一にも罠にかかるまえに女を襲わないよう、牛坂と接触しないようにクラスメイトたちに強く言い含め、3階の教室に誘導し、そこで所有物の女の子を襲わせる。
全ては桜の手のひらである。本当はもっと女の子を用意したかったが、勇太の手持ちの所有物でマゾの子は3人しかいなかったのだ。残念である。

「それでどうするの? ペナルティで貰った女の子をこのクラスに在籍させるか、そのままいさせることが出来るんでしょう?」

桜が遅れてやってくると、特に俺を褒めるわけでもなく淡々と聞く。
せっかくうまいことやったのだから、ちょっとくらい褒めてくれてもいいと思うのだが、そんなこと言ったら「あなたのことでしょう。なぜ私が褒めなきゃいけないの?」みたいな辛辣な言葉が返ってきそうなので俺も普通に返事を返す。

「桜、おまえの意見を聞かせてくれ」
「……そうね。6人のうち3人を迎え入れて残りの3人を偵察のために向こうに残しておいたほうがいいかしら。露骨だから効果ないかもしれないけど。牛坂のことだから隙を見せて色々分かるかもしれないわね」
「じゃあ、そうするか。連れてくるのは3人だけにしよう」

所有物になった者はこちらのクラスに連れて来れるか、向こうのクラスに置いたままに出来る。
一クラスには40人しか入れないが、それを越えればすぐ隣の教室に振り分けれる。教室が余ってるからできることのようだ。

俺はお昼を食べずに待っていた奈々と一緒にお弁当を食べる。
久しぶりの奈々お手製のお弁当だ。
すごく美味しい。
最近ずっとぷんぷん怒ってたから全然作ってくれなかったしな。

から揚げに箸を突きながら、おにぎりを美味しそうに食べる奈々に視線を送る。
料理が得意で可愛い少女。今まではただの幼馴染という関係だったが、えっちしてからはやっぱり違った目で見てしまう。


(う~ん。こんなに変わるもんだろうか。)

別に告白してないし、付き合ってもいない。ゲームの為にえっちをしただけだ。
だけど、もう奈々のことを普通の幼馴染に見れない。
幼馴染以上、恋人未満といった感じだ。

奈々は俺の事をどう思ってるんだろ?

おにぎりを食べ終わり、魔法瓶のお茶をコップに入れて飲み始めた奈々。
俺の思いなんて気づかないように食事を楽しんでいる。
こんなことを考えるなんて、まるで俺は恋してるみたいだ。

別に悪いってわけじゃないんだが、えっちしたら意識しだすなんて俺はなんなんだろうな。
きっかけがきっかけだけに、なんともいえない気持ちだ。
現金というか、なんというか……。
この気持ちが奈々の身体目的だと思いたくないな。
一歩進んだからだと思いたい。

「勇太くん、お弁当美味しくなかった?」
「えっ?」

考え事をしてたせいか箸の進んでない俺を見て、奈々が心配そうな声を出す。

やばい、失敗した。
久しぶりにお弁当作ってもらったのに、全然食べてないなんて。

俺は慌ててから揚げとおにぎりを口に放り込むと、

「いや、奈々のお弁当の有難さを噛みしめてたんだ」

と言って安心させるのだった。





──そして1週間が瞬く間に過ぎた。


その間、牛坂を罠に掛けれたのか?と言うと、ぶっちゃけ無理だった。というか、牛坂に動きがなかった。
さすがに懲りたのか、知らない女の子に手を出すようなことはせず罠にかからない。
かなり挑発的な誘惑もしてみたのだが、牛坂は耳を塞いで無視を決め込んで先を急ぐだけだ。
なんかえらい態度が変わった気がするが、それだけ追い詰められているのだろうと察する。

もっとも秋川と俺でかなり人数を奪ったはずなので、かなり有利に立つことができたはずだ。

それから俺はこの1週間で何もしてなかったということはない。
確かに所有物を増やすことはリスクがあるので、順位が不安定な以上増やせなかったが、その代わりに所有物の女の子とえっちをしている。
これは桜からの提案で、妊娠させることができれば、ポイントが貰える上に所有物も動くことがないからとのことらしい。
奈々がどうもあまり俺とのえっちに積極的ではないのが気になるが、やはりゲームで妊娠するのは嫌なのだろうと考え、自然妊娠派の女の子と積極的にセックスした。
俺としては奈々に最初に妊娠してほしいかったのだけれどこればかりは仕方がない。
まさか、妊娠させるためにセックスをすることになろうとは、ゲーム開始時点でも思いもよらなかったよ。

また、妊娠したかどうかは、女子に義務付けられている毎日の検査でわかるらしい。
こんな検査を毎日しないといけないなんて女の子も大変だ。
監視カメラや盗聴器も至る所に備え付けられているだろうし、プライバシーがホントにない。
男はともかく女の子にはかなりきついことだろう。


そうして今日も退屈な授業を受けていると、再びあの放送が流れてきた。


──ピンポンパンポーン!


「ゲーム参加者の男子の皆さん、第2回目のポイント表を職員室前に張り出しましたので確認しておいてください。繰り返します。ゲーム参加者の~」

ようやくかと、俺はかなり胸を躍らせて放送を聞く。
もしかしたら最下位を脱出しているのではないかと、かなり期待しているためだ。
これで順位があがってれば、かなり心理的に楽になる。
ようやく心の重荷が取れるのだ。


俺は授業が終わるのを今か今かと待ち、そして授業が終わると同時に桜と一緒に職員室前に急ぎ足で向かった。



ガヤガヤガヤ……。

職員室前の掲示板前で人だかりができている。
てっきり男だけ見に来ると思ったのだが、それは違うらしい。
考えてみたら、自分たちの所属している男子が進級すればお金が2000万円貰えるのだから気になるのは当然か。


「ごめん、ちょっと、どいてくれ」

俺は掲示板前で男たちの噂している女の子たちに声をかけてどいてもらう。

俺が声をかけたことで一斉に女の子がこちらを見たが、俺はそれを無視して掲示板前に辿りついた。

「えっと……」

ドキドキしながら掲示板に張り出された紙を見る。
そこには芝山勇太。58ポイントと書かれてあった。
俺はそのまま目を走らせ、他の男のポイントを確認する。

「なんてこった……。」

俺は大きく息を吐く。



なぜなら……



俺の順位は、まだ最下位だったからだ。








1位 1年1組仲山楓太 84ポイント
1位 1年5組秋川慎矢 84ポイント
3位 1年4組海森 縁  72ポイント
4位 1年3組牛坂雄二 61ポイント
5位 1年2組芝山勇太 58ポイント


これが現在の男子全員の獲得ポイントだ。

俺は前回より大幅にポイントをあげ58ポイントになったが、それでも最下位に甘んじている。
もっとも4位との差はかなり縮まり3ポイント差となったことは、前回の事を考えれば素直に喜んでいいだろう。
しかしながら牛坂が罠にかからなくなった以上、こっから先、牛坂から所有物を奪うのは難しいかもしれない。

また俺の所有物は29人なので、58ポイントというのは一人頭2ポイントだと確定してもいいのではないだろか。
少なくとも俺のクラスで誰かが妊娠したという話は桜から聞いていないので、
その意味では妊娠してなかったというのはポイントを確かめる為ではよかったと言っていい。

だが、それと同時に改めてゾッとする。
妊娠したらその子はどうなるのか?
妊娠させればさせるほど、ここを卒業してもロクな未来が待ってない気がする。
数人、いや数十人の父親になるかもしれないのだ。
仮に奈々と結ばれたとしても、幸せになれるのか自信がない。

俺はそんな暗い考えを振り払うようにして軽く頭を振ると、
人がいたせいなのか無言のままの桜と一緒に教室に帰る。

そして昼休みに例によって桜と奈々と一緒に話し合いを始めた。


「すまん。協力してくれたのにまた最下位になっちまった……」
                   ・・・
「大丈夫だよ。これも勇太くんの進級のためだもの」

奈々が笑顔で俺を励ましてくれる。
やはり奈々は優しい。つい俺も笑ってしまう。
俺が弱気になっちゃだめだよな。

「そうね。別に最下位になっても問題ないわ。最後に勝ち抜ければいいんだし苦しいのは牛坂でしょう。何せ1位から4位まで転げ落ちたのだから」

確かに……。
1位から4位に落ちて、なおかつ5位の俺がすぐ後ろに迫っているというのは牛坂にとっては相当苦しいだろう。
この結果を受けて今どんな気持ちなんだろう。あいつの性格だと荒れ狂ってそうだが、最近なんかあいつ大人しいからなぁ。

俺は自動販売機で買ってきた紙パックのオレンジジュースにストローを刺して飲む。

それにしても桜って今何気に俺を励ましたよな。珍しいこともあるもんだ。
きっと辛辣な言葉を俺に言うと思ってたんだが。

桜の顔を見ると、特に何も変わってないようだ。
俺が教室まで帰るとき落ち込んでたから、自重したのかもしれないな。
これがずっと続けばいいんだけど。

「それでこれからどうしたらいいんだ?」

俺は桜に聞く。もう完全に桜任せだ。

「……牛坂に関しては少し様子を見ましょう。ポイント差を知って焦れば適切なタイミングで罠にかけるわ。
  あなたは暫く私の言った通り所有物の皆とセックスをしてなさい。何かあればあなたに言うから」

「わかった」

俺は短く返事をすると一気にジュースを飲み干してクシャッと紙パックを潰し席を立った。

「勇太くんどこに行くの?」
「トイレ」

俺は紙バックをゴミ箱に捨てると、教室の外に出る。


そして廊下を少し出たところで、こちらを窺う見知らぬ女の子と出会った。













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  1. 2013/05/22(水) 19:36:51|
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