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26 思惑

「それじゃあ、よろしく頼むぜ。ウシシ……」
「ああ、僕に任せておいてくれ。君を必ず勝たせよう」

大会前の6月某日。ある一組の同盟が牛坂の寮で秘密裏に結ばれた。
これこそが、牛坂海森同盟。桜を妨害するために海森が作った嫌がらせ目的の同盟である。
海森は、牛坂がこのまま脱落するのを良しとせず、陰から牛坂を支援することに決め、こうやって同盟を結ぶに至ったのだ。

「それで俺はどうしたらいいんだ。2組の芝山がちょっかいをかけてきてまいってるんだ……」
「当分は、それを無視したまえ。君は自分の所有物を抱いていればいい。」
「モー、それではポイントが増えないぞ」

牛坂は心の底から海森が何を言ってるのか分かってないと首を捻る。
海森は、その姿に内心少し呆れながらも、説明を始めた。

「牛坂くん、所有物が妊娠すれば、ポイントが貰えるんだよ。知らなかったのかい?」
「モー!? ホントなのか」
「ああ、本当だとも」

牛坂は心底驚いたように目を見開いた。
知っての通り、女を犯すことしか頭にない男である。ポイントのことについては深く考えたこともない。

「じゃあ、俺が女を妊娠させればポイントが増えるんだな。それでいいんだな?」
「それで問題ないよ。他の男の所有物には手を出さないようにね」

海森は笑顔を浮かべながら、内心で馬鹿にする。
牛坂がポイントについて何も考えてない事が分かったからだ。

(まさかここまでの猪武者だとはな……)

なぜか大喜びをして制服を脱ぎだした牛坂を、視界の片隅にいれながら、海森は牛坂という男を冷静に分析する。

この男は、報告にあったとおり本当に単純で何も考えていない。
こうして話してみてわかったことだが、本当に罠にかけるのは簡単そうだ。
図体はでかい割に脳みそは小さいとみえる。本能で動くタイプだろう。
だからこそ扱いやすいとも言えるが。

全裸になった牛坂がノシノシと部屋から出て行こうとしているのに気づき、海森は慌てて牛坂を呼び止めた。

「牛坂くんどこに行くんだい? それにその恰好は?」

逞しい体に勃起したちんぽを見せながら、牛坂は鼻息荒く海森に振り返った。

「ウシシシシ! 決まってるだろ。今から女を犯しに行くんだよ。早く妊娠させないといけないからな」

……海森は言葉を失う。
まさかここまでこの男が単純で本能的に動くとは思わなかったからだ。
海森は頭が痛むのを感じながら、かろうじて言った。

「じゃあ、暫くここで待たせてもらうよ」




30分後。寮中にドタバタと走り回る音や、女子の悲鳴が聞こえる中、海森は牛坂の部屋でソファーに座り静かに待っていた。
それは2組の芝山たちについて、他に話すことがあるからである。
牛坂がすでに全裸になって勃起させていたので、そのまま話す気になれず、牛坂がその欲望を果たすまでここで待つことに決めたのだ。

「きゃああああああーーー!!」
「いやあああああ!! こないでーー!!」

部屋のすぐ外から聞こえてくる女子たちの悲鳴。
どうみても嫌がっている。
別にえっちのための駆け引きのために言ってるのではないと分かる。

海森はそんな阿鼻叫喚をBGMに聞き、顔を顰める。

まさに獣。なるほど……。桜が牛坂を落とすべきだと主張したのも理解できる。
こんな男を放置していては、女子は安心して学園生活を送ることなど出来ないだろう。
男の自分から見ても嫌悪する。
自分の判断は誤ったか?
と一瞬思わないでもいたが、やはり桜を楽に勝たせたくはないため、その考えは塗りつぶす。

そうしてさらに待つこと、20分。
ようやくドアが開いて、身体にあっちこっち引っ掻き傷がある全裸の牛坂が帰ってきた。
もちろん勃起したちんぽは、今はしぼんでいる。目的は無事果たせたのだろう。
その顔は満足そうだ。

「ウシシ、待たせたな。ちと手こずって3人しか犯せなかったぜ」
「そうかい……。それは残念だったね」

眼鏡をクイっとあげながら心にもないことを言う。
さっさと用件を果たして、ここから立ち去りたい。利用価値があるにしても馬鹿の相手もするのはとても疲れるのだ。

「それじゃあ、話の続きだけど2組の芝山くんには絶対に無視してくれ。
  これから君を罠に嵌めようと色々手を打ってくるだろうけど、全部無視だ。気になるなら目を瞑って耳を塞いで進めばいい。それで全てが上手くいく。
わかったかい?」
「それさっきも言ったよな? 俺を馬鹿にしてるのか?」

いきなり沸点があがった牛坂に、海森は慌てて言う。

「落ち着きたまえ。今のは念のためだ。決して君を馬鹿にしたのではない」
「……ウシシ、本当か?」
「本当だとも」

牛坂はようやく機嫌を直し、海森は胸を撫で下ろす。
この男は馬鹿の上にとんでもなく短気だ。
扱いやすいのは確かだが、扱いに失敗するととんでもないことになる。
そこは気を付けないといけない。

「ならいい。俺を馬鹿にするとぶん殴るからな、わかったな」
「ああ、分かったよ。ちゃんと覚えておく」

そう答えながら、この男をどう操作するか考える。
この性格したら普通に指示するだけで、キレて暴力に訴える可能性がある。
自分の作戦に従わせたいが、従わせるのにも苦労しそうだ。なにせ自分の言う事を守らない可能性が非常に高い。

だから取りあえずは、現状維持のままでこの男と友好を深めることにする。
そうしないと、この男は自分勝手に動くだろう。
色々考えてきた作戦は取りあえずは凍結だな、と思いながら海森は言った。


「どうだろう、牛坂くん。これから仲良くやっていくためにも一緒に食事でもどうだい?」










「秋川さま、本日は2組でより摂れました16年物の処女便器でございます。現在陸上部に所属していますので、締りはいいかと思われます。」
「そうか、よくやった」

縄で縛られ、猿ぐつわをされた少女が、運動場脇にある体育倉庫のマットに転がされている。
無論これは勇太の手の付けていない少女である。この少女は秋川の命令で、玲奈が言葉巧みに人気のない場所に誘いだし、こうやって捕まえたのだ。

「ごめんね。怖かっただろう。すぐに縄をといてあげるからね」

秋川は優しい声色で、恐怖におびえる少女の縄を緩めて猿ぐつわをとってやる。
自分が捕らえるように命じたにもかかわらず、まるで女の子を助けにきたナイトのような態度で接する秋川。
一見めちゃくちゃな行動だが、数少ない男の上にイケメン補正は全てが許される。
たちまち女の子は秋川の優しい振る舞いに安堵し、説明を求めるように秋川を見た。

「すまない。実は僕は君に一目ぼれしちゃってね。だからどうしてもこういう手段を取るしかなかったんだ。
君は2組で僕は5組。だから分かるだろう? 僕がこんな手段を取るしかなかったのは」
「わかります。でもさっき言ったことは……」

秋川の傍に控える玲奈を見て、自分を処女便器と言ったことに疑問を呈する。

「それはこの子の嫉妬だよ。僕が君のことが好きだと知ってるから彼女は君に嫉妬しているんだよ。だから気にしないで」
「そうだったんですか……」

いつのまにか秋川の腕に抱かれ、見つめ合うような恰好で甘い言葉を聞かされ、女子生徒はメロメロになっていく。

「これから君の心を癒してあげる、いいね?」
「はい……」

秋川の手が伸び、ゆっくりと名前も知らない少女の制服を脱がしていく。
秋川にとっては全ての少女は肉便器なので、特別なことがない限り名前などどうでもいいことは言うまでもない。
ただ、重要なのは自分のコレクションに加わる資格があるかどうか。締りがいいかどうかの話である。

少女はうっとりした表情で秋川のなすがままになっている。
そうやって全裸になった少女は、そのまま秋川に抱かれた。


・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・


「これで3人目。人目につかぬようやるのが面倒だな。」
「はい。ですが私たちを監視している者もいるので仕方がないかと」
「それは分かってる。ただ面倒に思っただけだ。」

行為が終わり、新たな肉便器を獲得した秋川は、そのまま体育倉庫で玲奈と会話をしていた。
もちろん倉庫は何事もなかったように綺麗にされている。そして、獲得した肉便器は不戦の条約が破られたことを隠すため、2組に残しておくことが決められていた。

「しかしチョロチョロしているのが多いな。俺についている監視は3人か。恐らく1、2、4組の連中だろうが、うっとおしい。なんとか処分できないか?」
「それは難しいかと。監視に来ているのは全て他の男子の所有物です。秋川さまが使うべきモノではありません」
「そんなことは分かってる。俺が言いたいのは、俺を監視している連中を消し去りたいということだ。暴力でも脅迫でもなんでもいい。何か思いつかないのか!」

秋川は苛立ったように声をあげ、玲奈を睨みつける。
常日頃から監視されているというのは気分の悪いことだ。しかも監視のせいでこうして自由に動くことも苦しくなっている。
相当気分が悪い。

「……お金ではどうでしょう?」
玲奈が淡々と言った。

「金だと?」
「はい。進級すれば大金が学園から支給されます。その一部分を割いて監視たちに渡すのです。そうすれば人目を気にする必要はないかと」
「買収か……」

秋川は思案に暮れるように、胸の前で腕を組んだ。

「その案はいいかもしれんな。玲奈、確か肉便器共は進級の際2000万円貰えるんだったな」
「はい」
「なら、肉便器から500万ずつ俺の為に差し出すように誓約書を書かせろ。わかったな。」
「全員にですか?」
「そうだ。俺の現在の所有物は何人か分かってるな。」
「はい、秋川さまの所有する肉便器の数は51人です。」

玲奈は淀みなく答える。

「それはかなりの人数だな。500万ずつ徴収したら相当の額になりそうだ。そこからお前に3000万預けるからそれでなんとかしろ。」
「畏まりました」

自分が進級した際のお金を出すとは言わないあくまでも自分勝手な秋川。肉便器が自分に尽くすのは当たり前という考えである。
仮にお金が絡んでいても関係ない。不満が出ることすら思いつかないのだ。
彼の女性蔑視は度を越えている。

「では、続きをするぞ。俺はここで隠れているからうまいことまた連れてこい」
「はい」

そうやって再び玲奈は新たな獲物を確保するために体育倉庫の外にでる。

勇太の手つかずのクラスメイトは、こうやって削られていった。


















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  1. 2016/10/10(月) 00:01:55|
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