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モブの植木鉢小説館

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3話 天敵

花梨を連れて教室から出た俺は暫く歩くと、階段のある廊下の陰に花梨を連れ込み、軽く頭をチョップする。

「うっ、痛いよ~。お兄さん」
「黙れ、おまえの口の軽さに対する罰だ。もう少しで俺の学園生活が暗黒に染まるところだったんだぞ」

俺は先ほどの色葉の冷たい目を思い出して、ぶるりと震える。
バレたらえらいことになっていただろうな。
美人が怒ると怖いよ。というか、あいつが笑ったところを見たところがねぇー。

「でもお兄さんだって悪いんだよ。私にえっちなことをしたのは事実だしー」
「あれはお前が変なこと言って意識させるからだ!」
「でもやったのは事実だしー」

水掛け論になりそうで、俺は自分の額に手を当てる。
この女を黙らせるにはどうしたらいいんだ。
楽しんでるからたちが悪い。とんでもない奴に弱みを握られてしまった。

「まあまあ、お兄さん元気だしなよ。人生悪いことばかりじゃないんだし」
「……そうだといいがな」
「大丈夫、えっちなお兄さんにまたいい思いさせてあげるからさ」
「本当か!?」

思わず反射的に聞いてしまう。
花梨がニヤリとした顔をしているので、俺は引っかかったと後悔する。
こいつに本当に遊ばれている。
小悪魔みたいな奴だ。

「ふふふっ、別に嘘じゃないよ。帰りにアイス買ってくれたらいい思いさせてあげる方法教えてあげるんだけどな~」
「………」

こいつのペースに乗せられている。
しかし騙されても口止め料くらいにはなるか……。

「わかった。帰りにアイス奢るよ」
「さっすがー、お兄さん話が分かる~」

苦笑いしながらはしゃぐ花梨に視線を送る俺。
騙されると思ってても花梨の思い通りに動かされている。
やっぱ男は可愛い女の子には弱いのかと思いながら、放課後を待つのだった。


放課後──。

俺は花梨と一緒に駄菓子屋に向かっていた。
そこにしかアイスが売ってないからである。
俺は歩きで花梨は自転車なので、花梨は自転車を押して俺と一緒に歩く。
ついでに俺の鞄を自転車のカゴに入れると、花梨がブーブー文句を言ってきたが「アイス」の一言で黙ってしまった。
こいつは甘い物には弱いらしい。こっちも少し弱みを握った感じでいい気分だ。
今度、口が軽くなりそうだったら「アイス」の一言で黙らせよう。

「それで駄菓子屋はどこにあるんだ?」

村の地理に不慣れな俺が聞く。

「あそこだよ。ほら、あの木の近く」

花梨が指を指して場所を教える。
俺が目を凝らしてみると、確かにいかにもと言った風の看板を掲げた古い木造の店があった。

俺は分かったと返事をすると、ゆっくりふたりでそこに向かう。
周囲に何もないせいで風が気持ちいい。
田園風景をこうやってのんびり歩くのもいいもんだと、ほっこりする。
自転車の車輪のまわる音を聞きながら、駄菓子屋に辿り着いた。

花梨は店の前に自転車を停めると、すぐにアイスの入ってるアイスケースを漁り出す。
俺は100円までだからな、と釘を刺すと、花梨がアイスを選ぶのを待つ。

そして店全体を眺めていた俺だったが、ふと、花梨に視線を向けると、アイスボックスに身を乗り出しているせいか
花梨のお尻とスカートからのぞく白い太ももに目が入り、自然とそちらに目が固定されてしまう。

白いセーラ服に黒のスカート。
スカートの丈が短いせいで、太ももが大きくさらけだされ刺激的だ。
お尻も微妙に揺れたりするので、性的ないやらしさを感じてしまう。

俺は昨日のことでかなり意識しているなと思いつつ目を逸らすと、店の中のレジにいるおばちゃんと目が合い、軽く目礼する。
そして花梨がバニラのソフトクリームを取り出し、俺に渡すと、俺は財布から100円出してレジで会計を済ませた。

「ありがとお兄さん」
「これは口止め料も入ってるからな。覚えとけよ」
「ケチー」

ソフトクリームの蓋を取り、さっそく花梨はペロペロ舐めながら、俺を誘って近くの背もたれのある緑色のベンチに座る。
俺は花梨の隣に座って足を組んで、ボーとしていた。

「そうだ。いい思いの話聞きたい?」
「ん、ああ、そういえばそんなこと言ってたな」

どうせからかわれてるのだろうと期待せずに聞く。

「なんだ。お兄さんはあんまり興味ないの? えっちなことなのに」
「おまえの言う事だからな。期待していないだけだ」
「ふ~ん、そんなことを言うと後悔するよ? すっごい話なんだからね」
「そうかそうか」

なんだ花梨がえっちなことをさせてくれる話じゃないのかと思いつつ軽くあしらう。

するとその態度を見た花梨が嘘じゃないとムキになって言う。

「うちって水曜から金曜まで放課後に部活やってるんだけど、さっきの女の子のメンバーで、いつも罰ゲームつきのゲームをやってるんだよね」
「ほう」

部活なのに遊びなのか。

「それで、お兄さんが入部してくれたら、罰ゲームでえっちな命令させてあげるよ」
「あほか」

俺は思ってもみない提案に笑う。
そんなのありえるわけがない。
第一、さっきの色葉の態度を見ても、そんなの許すわけないだろ。
それにその罰ゲームだと花梨もえっち目に合うことになる。

「あのな。そんなの無理に決まってるだろ……。色葉が許すわけない。殺されるぞ。
それにおまえだってえっちな目に合うってことじゃないか」

「んー、そのあたりは大丈夫だよ。私は色葉ちゃんの扱い方が分かってるし、、それにお兄さんなら……

……私いいよ?」

(うっ!)

花梨が少し上目遣いで俺を見たことで、ドキリとする。
こういう可愛い子の上目遣いは反則だ。

花梨は俺の表情の微妙な変化に気付いたのか、ニヤリとする。
またしてもやられたか。

俺は内心で渋い顔になって、話に乗ったふりをしながら、疑問に思ってることを突く。

「そもそもなんでそんなこと俺に言うんだ? 別におまえになんの得もないだろ?」

それが一番の疑問。こんなこと俺に提案してどうするんだ。
なぜそんなことを言うのか。自分だけがえっちなことをしたければ、自分にしていいよと、こいつの性格ならストレートに言いそうなのに。

「ええと、それには訳があって……」

途端に言いづらそうになる花梨。
ソフトクリームを舐めながら目を泳がす。

「いいから言ってみろ。でないと、そんな胡散臭い話。誰も信じないぞ」
「う…んー」

尚も口ごもる花梨。
嘘ではなく何か訳があるのは確かだが、言いにくい話のようだ。
ま、確かに俺はこいつと出会って3日だし、込み入った事情があるなら話すのは無理かもな。

俺はベンチから立つと、尻についた埃をパンパンはたいて、ベンチに座ってる花梨を見下ろす。

「無理には聞かない。俺と会ってあんまり日にち経ってないからな。まぁ話したくなったら話してくれ。じゃあな」
「……うん。またね」

花梨に背を向けて歩き出す。
ちょっと冷たいかもだけど、もう4時だし、あんまり帰りが遅くなると道が暗くなって面倒だ。
この駄菓子屋って家から反対にあるしな。

俺は最後にチラリと後ろを振り返り、花梨がソフトクリームを舐めているのを確認して家に帰った。


……そういえば最初に会った時からえっちがどうとか言ってたな。

ま、いいか。そのうち喋るだろ。



翌日。火曜日。
俺は昨日のことなど忘れたように学校に行き、いつもと同じように過ごしていた。
そして放課後になり、鞄を持って家に帰ろうとしたところで、教室の後ろのドア付近にいた千雪さんに呼び止められた。

「芝山くん帰るの待って。芝山くんは今日掃除当番なの」
「あっ、そうなんですか」

俺は足を止めて教室を見る。
人数少ないし、掃除当番なんかすぐ回ってきそうだ。

「うん、それで今日は色葉ちゃんと美羽ちゃんの3人でやってくれるかな」
「……わかりました」

内心でゲッと思う。
色葉は知っての通り、俺とはあまり相性がよくなさそうだ。
まともに喋ったのは昨日の弁当の時だけで、そのときは俺は睨みつけられた。
そして美羽ちゃんだが、この子とはまだまともに喋ったことがない。
大人しい性格だから自分から喋ることは少ないし、俺とは朝の挨拶でペコリと頭を軽く下げるか、小さな声でおはようございます、というのしか聞いたことがない。

これはなんとも言えない掃除になりそうだと、俺はさっさと掃除を終わらせるべく廊下にあるロッカーから箒を取ってくる。
そして美羽ちゃんが机を教室の後ろに下げているのを見て、俺は教室の空いた場所を箒で掃き始めた。

「ちょっと、美羽に机を下げさせないであなたがしなさいよ」

いつのまにか3人になった教室で、色葉が腰に手を当て言う。
俺は内心で少しムッとしたが、確かに美羽ちゃん一人に任せるのはどうかと思い、箒を壁に立てかけて机を後ろにやりはじめた。
そして全ての机を後ろにやったあとに箒で掃こうとすると、今度はバケツに水を入れてぞうきんを持って来てと言われる。

「おまえが……」

と、言いかけて言葉を止める。
口げんかになりそうだからだ。
上から目線で腹が立つが、俺はこの学校に来て日が浅い。
ここは下手に行こうと、バケツを持って廊下の水道に行った。

ジャー!

水道の栓をひねると、水が勢いよくバケツの中に流れ込む。
俺はその流れ込む水の勢いに目をやっていたが、いつのまにかすぐ傍に美羽ちゃんが立っているのに気づいて振り返った。

「あ、あの……」

手を前にやってモジモジしている美羽ちゃん。
その手にはぞうきんが握られている。

「ああ、ぞうきんを取ってきてくれたのか。ありがとう」
「い、いえ。私もバケツ持ちます」

美羽ちゃんは水が溜まったバケツを持とうとする。
しかし、俺は美羽ちゃんに持たせられないと、それを制止する。

「大丈夫だよ。バケツふたつでも平気だし」

アピールするようにバケツを軽く持ち上げてみせる。
そしてそれを見た美羽ちゃんは軽く目を瞠る。

「男の子って力持ちなんですね」

どこかポーとしたように言う美羽ちゃん。

俺は照れくさくなってそれに答えず、バケツを持ったまま歩きだした。
美羽ちゃんはそれを見て、慌てて俺の後についてくるのだった。


教室に戻ると、色葉は教室を箒で掃除しており、
俺はバケツの水でぞうきんを絞って窓をふきだした。
美羽ちゃんもそれに倣らい、ぞうきんをぎゅっと絞って窓を拭き始めた。

「ねぇ美羽ちゃん。掃除はいつも3人一組なの?」
「え、美羽ちゃん……」

美羽ちゃんと馴れ馴れしく呼んだの悪かったのか、美羽ちゃんは戸惑う。
俺は慌ててごめんと言って謝ると、美羽ちゃんは頭を振った。

「いえ、美羽でいいです。芹沢だと誰が誰だか分かりませんよね。3姉妹ですし」

微笑んで許してくれる。
その微笑みを見てるだけで癒されるようだ。
少なくとも芹沢3姉妹のうち2人の性格はいい。

「掃除はいつも3人一組で交代でやってます。これからは一緒にやることになりますね。先輩」
「ああ、そうだな。それから先輩じゃなく芝山でも浩介でも好きに呼んでいいからな」
「はい」

微笑みあう俺たち。
初めて会話らしい会話をしたなとほっこりする。
心が通じ合うとはこういうことを言うんだろうな。
話してみると、すごくいい子だ。

しかし、こういういい気分に浸ってるところに限って、お邪魔虫が現れる。

「あんた、うちの妹に手を出そうって気じゃないでしょうね?」

いつのまにこっちに来たのかと思うほど、色葉が音もなくあらわれ俺に冷たい視線を浴びせてくる。
だからその視線はやめろっ!
怖いだろうが!

「別にそんなつもりで話しかけたんじゃない」
「ならどういうつもりよ」
「どうももなにも、ただ掃除のことについて訊いただけだ」
「ほんとかしら。それを口実に言い寄ってたんじゃないの? 花梨と何かいかがわしいことしていたようだし?」
「なんだとっ!」

険悪になる空気。
言い争いを始めた俺と色葉に、美羽ちゃんはおろおろしている。

「あのさ、俺がお前に何かしたか? なんでそんなに突っかかってくるんだよ」
「……別に突っかかってないわ。ただ妹のことを心配をしただけよ」
「それにしては言葉にトゲがあったけどな」
「気のせいじゃない」

睨みあう。

「かわいくねー女だな」
「悪かったわね。かわいくなくて」

ツンと色葉はそっぽを向き、掃除に戻っていった。

なんなんだ。あいつは……。















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  1. 2013/11/03(日) 00:00:07|
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