2ntブログ

モブの植木鉢小説館

NTR小説置き場

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

11話 謎

休みが明け、学校に行った俺はクラスのみんなに元気よく挨拶してまわる。
昨日寝ながら考えたのだが、やっぱりクラスの雰囲気をもっと明るくしていったほうがいいだろう。
俺のキャラじゃないんだが、積極的にクラスを盛り上げれば自然と仲が深まる。そう思ったのだ。

「仲山、おっす!」
「お、おはようございます。芝山先輩」

俺が大きな声で挨拶すると、教室に入ってきた仲山がオドオドしながら頭を軽く下げた。
相変わらず元気ない奴だな。休日はどうせアニメやゲームやってたんだろう。ちょっとは外で遊べばいいのに。
俺は内心で少し呆れながら、軽く肩を叩くと、次に色葉に挨拶する。

「色葉おはよう!」
「おはよ、……なんかあんたテンションおかしくない?」

あまりに元気よく挨拶したからおかしいと思われたようだ。
怪訝そうな顔で俺の表情を窺っている。
だが俺はそれを意にかえさず、笑いながら話しかける。

「いつもこんな感じだぞ。今日も一日頑張ろうぜ」
「うん……」

気味悪い物をみたように頷き、色葉は自分の机に座った。
俺は最後に教室に来た花梨に挨拶すると、授業を受けた。
もうあんな罰ゲームをしないためにも、俺が主導権をとって俺のやり方で皆を仲良くしないとな。
そしたら花梨も全てを話してくれるだろう。もういちいち罪悪感に苛まされるのは嫌だ。


昼休み。俺はみんなに一緒に昼飯にしようと声をかける。
いつもは千雪さんが呼びかけるのだが、今日は俺から言い出す。
普段と様子が違う俺に皆は不思議そうな顔をしていたが、特におかしなことも言ってないので、素直に机を並べ始めた。

「色葉、その卵焼うまそうだな。俺のソーセージと交換してくれ」
「別にいいけど……」

話ながら弁当を食べる俺たちだったが、今日は一歩踏み出してみんなにおかずの交換をしないかと提案する。
仲良くなるにはお互いをよく知らないといけない。
それにはより親密にならないと駄目だ。

基本的にこのクラスに一番馴染んでいないのは仲山だ。
あいつは、まだ誰とも必要なこと以外あんまり喋ってないし、自分から誰かに話しかけることも少ない。
積極的に喋らせ、もっとクラスに関わらせたい。

仲山が隣の席に座る色葉とおにぎりを交換するのを、俺はいいかんじだと見つめる。
色葉は仲山におにぎりだけでなく、卵焼きや揚げ物までもおまけで与えている。
何やら、もっといっぱい食べて元気だしなさいと言って、世話をするようにあげているようだ。
普段喋っていないあいつらが俺の提案で少し仲良くなったみたいで、ちょっと得意気になる。この調子だとみんな仲良くなるのは早いかもしれない。

俺はワイワイと楽しそうにおかず交換をする勢いを殺さない為、雰囲気がより和やかになったところで昨日の夜に考えていた提案をする。

「あのさ、今度の休み、弁当を持ってピクニックか誰かの家でお泊り会をやらないか?」
「いいわね。私は賛成」

千雪さんが手の平をポンと叩いて賛成してくれる。
乗り気のようでみんなにやりましょうと促している。
なんだ、始めからこうやってれば良かった。千雪さんや花梨はなんでこうやって提案しなかったんだろうな。

「でもお泊り会は置いといて、ピクニックってどこ行くの? この辺りは何もないよ?」

花梨が俺に訊き返してくる。

「う~ん、それは……。あっ!そうだ。釣りとかはどうだ。山の中には川とかあるだろ。河原で焚火とかして釣りをしながらカレーを作ろう」
「あっ、それはいいですね」

美羽ちゃんが楽しそうな顔で賛成する。
料理を作るのとか好きそうだもんな。

俺が色葉を見ると、視線に気づいた色葉も仕方ないわねと言った感じで賛成し、
仲山もみんなが行くならと言って賛成した。この流されるところがあいつの悪いところだ。
人の事言えないけど。

でも反対もなかったし、それは良かったか。

俺はみんなとピクニックの話で盛り上がりながら弁当を食べ終えた。





放課後。俺は帰ろうとする千雪さんを呼び止め時間を作ってもらった。
昨日花梨に問い質したことを千雪さんにも聞くためである。

「なにかしら、芝山くん」

俺がこれから何を言うのか知りもしない千雪さんが、不思議そうに言う。

「えっと、ちょっと聞きたいことがあって」
俺は下手に出る。
まともに言っても教えてくれなさそうだから、上手いこと誘導して引き出すのが目的だ。

「んっ?」
「ああ、えっと、あの罰ゲームまたやらないんですか?」
「なに、芝山くん。あの罰ゲームやりたくなっちゃった? 男の子だもんね。仕方ないよね」

口元に手を当てクスクス笑う千雪さん。
花梨から昨日の話を聞いてないのか。
俺の話の切り出しに疑問を持った様子はない。

「我慢が出来ないなら今シコシコしてあげてもいいわよ?」

ゴクリと唾を飲み込む。この妖艶な態度、この人は本気だ。
清純な見た目のギャップですごい破壊力になっている。
だが、ここで誘惑に乗っては、俺の決意が鈍り早くも計画が失敗することになる。
俺はすぐに、頭を横に振って、その誘惑をかわした。

「いえ、今は大丈夫です。それよりまだ続けるんでしょうか?」
「ええ、そのつもりよ。みんなもっと仲良くならないとね」

やはりと少し薄ら寒くなる。
何を考えているのか分からないが、今以上に仲良くなって、それがいったい何に繋がるんだ。
俺はそれを聞きだすため、喜んだふりをしながら遠まわしに聞く。

「マジですか。じゃあ、水曜の部活を楽しみに待ってます。それにしても今のままでも結構仲がいいと思うんですけどね。
千雪さんから見たらまだ仲が悪く見えますか?」
「う~ん、別に仲は悪くないけどね。だけどこれだけでは不十分だわ。私たちはもっと親しくなったほうがいいと思うの。みんなが羨むくらいに」
「そうですか、羨むくらいに……」

俺は言葉の意味を考える。だけど駄目だ。さっぱり分からない。
以前、千雪さんが思い出を元気に変えて大学に行きたいとか言ってたが、それを信じることはもはや出来ない。
千雪さんから感じるのは、その異常性だ。
悪く言えば千雪さんは壊れている。

俺はそこからさらに踏み込んで、それとなく質問する。

「羨むくらいって、どのくらいですか? まさか全員肉体関係を持つくらいってことはないでしょ?」
「……そうね。セックスするのはなしね。芝山くんはしたいの?」
「い、いや、さすがにそこまでは……」
「ふふっ、そうなの? 慌てちゃって怪しいわね」

千雪さんが笑うのを見ながら、さすがにそこまではやらないかとホッとする。
男ならセックスできるなら喜ぶべきなのだろうが、状況が状況だ。訳も分からず利用されるのは嫌だ。

「でも芝山くんが、罰ゲームに乗り気になってくれたのは嬉しいわ。君はあんまりやりたくなさそうだったしね。
水曜に私がフェラすることになったら、すごくサービスしてあげるわよ。口の中で2回連続で出しても許してあげちゃう。胸を触るのも許してあげちゃおっかな」

耳元で囁かれてグラっとする。甘い誘惑だ。
こんな黒髪ロングの美少女に言われたらおかしくなってしまう。
ここが学校じゃなかったら思わず襲ってしまいそうだ。

俺は必死で気を押さえると、いよいよ核心に迫った質問を口にした。

「それはすごく嬉しいですけど、そこまで仲良くなって何かあるんですか?
いや、仲が悪いよりはいいのは当たり前なんですけど、そこまで仲良くなって意味があるのかなって」

「………」

途端に黙り込んだ千雪さん。花梨と同じパターンだ。
だが、ほんの一瞬、俺は千雪さんの表情に陰りが見えたのを見逃さなかった。

やはり何か事情がある。

俺は確信すると、これ以上問い詰めることはやめ、慌てた振りをしながら言った。

「すいません。急にトイレ行きたくなったんで、今日はこの辺で。じゃあ、千雪さんさようならー」


背を向けた俺に、千雪さんからの別れの挨拶はなかった。



火曜日。
俺は昨日のことを踏まえ、周りの状況から調べることにした。
千雪さんや花梨は、何か事情があってあんなことをしている。それはただ仲良くなりたいだけでなく、なんらかの事情によってああいうことをしている。
それがなんなのか分からないが、彼女たちに近い色葉や美羽ちゃんなら、なんらかのヒントを持ってるかもしれない。
罰ゲームにふたりは抵抗してたから事情そのものは知らないだろうが、僅かなヒントでもあればいい。

俺は朝一番に教室に行くと、色葉や美羽ちゃんが学校に来るのを待った。
そして都合がいいことに美羽ちゃんが俺の次に登校してきた。

「美羽ちゃんおはよう」
「おはようございます、浩介さん。今日は早いですね」
「ああ、たまたま早く目が覚めてね」

俺はいつも通り挨拶を交わしながら、世間話を装って千雪さんについて変わったことがなかったか聞いてみる。

「姉さんですか。う~ん、変わった事と言えば、あの……その……罰ゲームのことでしょうか」
「ああ、なるほど」

確かにそうだ。あれ以上変わったことはないと言えるだろう。自分から率先してゲームをしようとしているし、
それをみんなに強制しようとしている。
だがこの言い方だと、俺や仲山が転校してきて急に変わったことになる。

「あのさ、あの罰ゲームって以前に学校でやったことなかったのか? 例えば俺が転校してくる前に他の男子がいたときにやってたとかさ」
「そ、そんなことないと思います。私だって初めてこの前に聞きましたし」

村の忌むべき悪習かと思ったが違ったようだ。都会で流行ってた罰ゲームと言ってたし、その可能性も低いか。
いや、美羽ちゃんが知らないだけで残ってる可能性もある。
だけど、それだと千雪さんがそれを廃止すればいいだけの話である。わざわざ続ける意味がない。
となると、村人に強制されてる可能性があるが……。

俺はそこで村に住む人たちの姿を頭で思い浮かべる。
この村に住む俺のじいちゃんはいい人だし、何度か挨拶を交わしている村の人たちもいつもニコニコしてていい人ばかりだ。
駄菓子屋のおばちゃんも気のいい人だったし、とても強制しているとは思えない。

そうすると、俺と仲山が転校してきてからあんなことを始めたと言うことになるが、結論を出すのは早い。
色葉にもいろいろ聞いてみよう。


「色葉、ちょっと話いいか?」
「ん、なに?」

昼の休憩時間。
弁当を食べ終わり、廊下で待ち伏せして色葉が出てきたのを捕まえる。
幸いなことに一人だ。誰にも見られていない。

「ここじゃ、まずいから他に行こう。ゆっくり話したいんだ」
「えっ、それって……」

急にもじもじし始めた色葉。
何を勘違いしているのか、頬を赤く染めている。

俺は取りあえず色葉を連れて校舎を出ると、体育倉庫の裏まで引っ張ってくる。

「え、えっと。何かな、用って」
俺を意識しているのか、上目遣いで恐る恐るといった風に聞く。

「ああ、ちょっと千雪さんのことで聞きたいことがあって」
「…………………ふーん」

途端に機嫌が悪くなった色葉。腕を組んで目を細める。

「それで何が聞きたいのよ?」
「千雪さんに最近変わった様子なかったか?」
「どういう意味よ」

色葉がぶっきらぼうに返事する。
なんか投げやりだ。

「いや、最近行動に変わった事なかったとかさ。いつもと様子がおかしかったとかあるだろ」
「それって、浩介に会って態度が変わったとか聞きたいわけ?」
「そうじゃなくて」

言葉に刺々しいものが入り始め、俺は四苦八苦する。
どうも勘違いされてるようだ。俺はその誤解を解くべく口を開く。

「俺は千雪さんのことなんとも思ってない。その……、俺は色葉とキスしちゃったわけだし」
「浩介……」

あっというまに態度をしおらしいものに変え、色葉は顔を真っ赤にした。
多分、あの日のことを思い出しているんだろう。俺も今思い出したし。
というか、色葉の態度がころころ変わるな。

「そ、そうよね。こ、浩介は私と……、キ、キ、キスしたんだし。そんなこと始めから分かってたわよ」

本来なら俺も意識するのだろうが、やはり心に棘が刺さっているのでそんな気分になれない。
ここは一気に話を聞きだしてしまおう。

「それでどうだ。何か変わった様子はなかったか?」
「ん、うーん。特に変わったことはなかったわね。何か気になることでもあるの?」
「……いや、俺の気のせいだったみたいだ、この話は忘れてくれ。千雪さんも変に思うかもしれないからこの事は誰にも言わないでくれ」
「浩介が言うならそうするけど」

何か腑に落ちないような顔をする色葉に向かって、俺はなんでもないように笑いかけた。

「それよりせっかくふたりきりになれたんだし、ちょっと色々話さないか。色葉の事を色々知りたいしさ」

誤魔化すように言った俺は、悪人なのかもしれない。




帰り道。
俺は色葉と美羽ちゃんの3人で掃除当番を済ませ1人で帰り道を歩いていた。
いつもと変わらぬ田園風景を横目に今日あったことを整理する。

千雪さんは、やはり花梨と一緒で何かを隠している。
仲良くなりたいと言ってるが、えっちなことをするのが目的ではないかと、俺は疑っている。
何が彼女たちをそうさせているのか分からないが、それが彼女たちの意志ではないのではないかと思えるのだ。

そして色葉や美羽ちゃんはやはり何も知らないようだ。
これは罰ゲームの反応から予想できたことで、特に驚きはない。だが、千雪さんに変わった様子がなかったとの情報はあまりよくない。
あとは花梨について訊いてみるしかないが、家族である千雪さんの様子におかしいところがないと言われれば、他人である花梨についての情報は期待できないだろう。
一緒に花梨の様子も聞いてしまいたかったが、勘が良かったらすぐに罰ゲームのことで調べてると気づかれるのでまずい。
日曜日に花梨に訊いた時から思ってたが、少し危険な匂いがする。美羽ちゃんなんかが気づいて一緒に調べるとか言い出したら、巻き込んでしまう。

(現状はやはり仲良くやっていくしかないのか)

遠くの畑で野良仕事をしている村人を見ながら、俺は考え続ける。

花梨は仲良くなったら事情を話してくれると言ったが、
千雪さんに言わせれば、普通の仲の良さでは駄目らしい。
俺がピクニックやらお泊り会を提案したが、このままでは厳しいかもしれない。

(やはり別のアプローチが必要か……)

こうなったら村人にも色々話を聞いてみたい。
しかし軽率な行動も避けたいところだ。
閉鎖された村では、噂があっというまに広まるらしい。
俺が千雪さんや花梨について嗅ぎまわってると噂になれば、あっというまに村に広まるだろう。
そうなればよくないことが起きるかもしれない。俺は誰かに強制されてあんなことをしているんじゃないかと疑っているからだ。

(くそっ、まいったな。このままじゃ、俺はともかく仲山がどうするか分からないぞ)

最悪俺は断り続けて罰ゲームに参加しなくてもいい。
だが仲山はどうか。あいつは罰ゲームに興奮していたし、喜んでいた風でもあった。
帰り道で後悔していたが、あいつの意志は弱い。参加しろと言われればうんと言ってしまうだろう。
俺があいつを脅してゲームに参加させなくてもいいが、俺がいない時に千雪さんや花梨が誘惑して仲山を誘う恐れがある。
もし俺の目が届かないところで、このことは内緒だと言われれば、あいつは参加する可能性が高い。
そこに色葉や美羽ちゃんがいたら……。

想像したくないものが頭に浮かび俺は頭を振る。

セックスまでは考えていないことが救いだろうが、それでもやめさせなければいけない。



まずは水曜日からの部活だ。とりあえずは、あの罰ゲームをなんとか回避しないといけない。
















                                            <<  >>
  1. 2013/12/07(土) 00:00:01|
  2. 小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<10話 日曜日 | ホーム | 12話 謎2>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://garagara20.blog.2nt.com/tb.php/197-187ccac6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

モブGR

Author:モブGR
ntr属性なのに超純愛ゲーをやって自己嫌悪になった男。リハビリのために小説を書いてます。
ほぼ賢者モードで書いてるので期待しないでください。

カテゴリ

はじめに (1)
小説 (249)
雑記 (1)

リンク

このブログをリンクに追加する

最新記事

カウンター