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12話 謎2

水曜日、昼休み。
俺は仲山を脅し、放課後の部活をさぼることに決めた。
単純に仲山と一緒に適当に理由をつけ、部活をさぼるのだ。
少なくとも今日と明日は、これでさぼれるはずである。
あんまり長くさぼると、千雪さんに勘付かれるだろうが、時間は稼げる。
花梨が日曜日に俺の家で話したことを千雪さんに言ってないことから、花梨も黙認するだろう。
俺のやり方に少なくとも時間をくれるはずだ。

俺はその間に出来るだけ色々調べながら、今週を乗り切らないといけない。
ばれたらばれたでなんとかなりそうな気もするが、千雪さんには花梨にない凄みを感じる。ばれない方が懸命だろう。

俺は仲山を呼び出し、今日の放課後の部活を俺と一緒に休むようにいう。
最初は少し渋っていた仲山だったが、このままだとまた罰ゲームをやらされ、後悔することになるぞと脅すと頷いた。取りあえずこれで今日の部活の罰ゲームはまぬがれたといっていい。




俺は放課後、千雪さんが何かを言う前に、仲山に目で合図すると
皆に向かってすまなさそうに口を開く。

「ごめん、今日、俺と仲山は用があって部活休むから、あとよろしく」

鞄を持ち、急いでる風を装う。
だが、案の定千雪さんが俺たちを呼び止めた。

「用って何の用?」
「いや、それはほら男同士の約束で……なっ! 仲山?」
「は、はい」

俺は仲山の肩に手をまわし、仲の良さをアピールする。
千雪さんはそれを見て少し首を傾げると、仕方ないなあといった風の態度をしてから
柔らかな口調で俺たちに別れの挨拶を告げ手を振った。

「……そう、分かったわ。じゃあ、また明日ね」
「はい、じゃあ!」

俺は最後に皆と挨拶を交わし、仲山を連れて学校を出た。
これで今日は免れた。





「芝山先輩、どうするんですか? 今日、逃げれても明日は無理ですよ……」
「いや、明日も大丈夫だ。2日くらいならなんとか誤魔化せる」

帰り道、俺は仲山と今後について話していた。

「そ、そうじゃなくてですね」
「わかってる。誤魔化しきれないって言ってるんだろ」

こいつの言いたいことは分かってる。だから今週でなんとかしようって考えてるんじゃないか。
分かってることを言わないでくれ。

「ならどうするんですか?」
「……今考えてる」
「そ、そうですか」

俺の顔に険しいものが走ったのを見た仲山が、慌てたように口を閉じる。
やっと空気が読めたか。しかし1人で考えるのも厳しいな。

俺は急にオドオドし始めた、仲山に意見を聞く。

「仲山ならどうやって逃げる。何かいい考えはないか?」
「え、えっと待ってください。芝山先輩は、この罰ゲームに反対なんですか?
確かに罪悪感には苛まされますが、それも一時的なものですよ。ぼ、僕としてはあんな可愛い子にしてもらえるなら、罪悪感を感じるのも仕方ないかなって……」
「………」
「い、いや、今のは冗談です。す、すいません」

俺の沈黙にすぐに意見を翻し謝る。
やっぱりこいつの意志は弱い。連れてきて正解だった。
しかし弱った。こんなに弱いと目を離せないぞ。

俺は手を振って構わないと言うと、改めて意見を求める。

「そ、そうですね。ずっと逃れ続けるなら家の用事って言うしかないですね。でも部活は絶対参加が学校の決まりですし、罰ゲームが嫌なら部活を変えるしかないかもしれないですね」
「なるほど。その手があったな……」

人数が少ないから忘れていたが、部活を変えるのはいい案だと思う。だが、極端に仲良くなることを目的としている千雪さんや花梨は諦めないだろう。
部活以外で誘ってくるはずだ。
その手は使えない。

色々調べるにしても時間は限られている。
今週が無理なら来週も時間が欲しい。そう、一か月くらい時間が欲しいのだ。
それくらいないと分からないんじゃないかと思うのだ。

その為にはどうするかと俺は考える。

やはり1人で情報を集めるのは厳しい。仲間がいる。
だが女の子は論外だ。となると……。

俺は隣の仲山をじっと見る。
こいつは村の外から来たから、この件に絡んでないのは確かだし、こいつが自分の意志を貫けば、色々と調査もやりやすいかもしれない。
こういうのはなんだが、もし村がこの件に絡んでいて制裁を受けるにしても、俺や仲山は男だから女の子がひどい目に合うよりかは、まだマシだとおもったのだ。

「なぁ仲山。ちょっと話があるんだが時間あるか?」


俺は仲山をこの件に巻き込むことに決めた。




帰宅後、俺は私服に着替えると自転車に乗って、仲山の家に向かった。
家の場所は別れるときに聞いたし、まだ時間は明るい。
しかも今日は仲山は家に1人らしいし、色々と相談するにはうってつけの場所だった。

俺は自転車のペダルを軽快にまわしながら道路を進む。
途中、村人の何人かとすれ違ったが、全員と挨拶した。
俺は向こうの事を知らなかったが、向こうは俺の事を良く知っているようだった。
俺を見つけるなり手を振り、もう学校は終わったのかとか、どこに行くんだい?とか色々聞いてくる。
普段ならなんとも思わなかっただろうが、見ず知らずの人に自分の事をよく知られているというのは怖い物がある。
俺は適当に愛想笑いを浮かべながら返事をし、村人たちと別れた。
視点を変えればホントに田舎は怖い。

俺は村の東にある一本杉を目指し、そして仲山の家に辿り着いた。

「仲山来たぞ」
「先輩どうぞ……」

俺が門の中に自転車を入れると、仲山はドアを開けて入れてくれた。
仲山の家は古い木造の一軒家である。

俺は玄関で靴を脱ぎ、居間に通されると、テーブルの前の座布団に座る。
仲山は台所に行き、麦茶を持って来てくれた。

「すまん、ありがとう」
「い、いえ」

俺がコップを手に取り、沈黙が降りる。
どうしたらいいのか分からないのだろう。俺の顔色を窺っている。
そんなにみられると、麦茶が飲みにくいんだが。

俺は麦茶を一口飲むと、コップをテーブルに置いて対面に座る仲山と目を合わせる。
すると仲山はすぐに目を逸らして、下を向いた。

「仲山、さっそく話を始めるが、俺はこの異常な罰ゲームを逃げるのではなく、やめさせたい。そのためにはおまえの協力が不可欠だ。協力してくれないか?」
「それはあの罰ゲームがなくなるってことですか?」
「ああ、そうだ。何か不満でもあるのか?」

ギロリと睨むと、仲山は縮こまった。
さっきから罰ゲームがなくなるのかってしつこく聞いてくるな。やっぱり不満があるんだろうな。
まあ、その気持ちは分からない訳でもないが。

「い、いえ、ないです」
「そうか。なら協力してくれるんだな」
「は、はい……」

なんだか強引に言わせているような気がするが、しょうがない。とにかく時間がないのだ。
出来るだけ早く解決すれば、仲山を早く解放できる。それまでは我慢してもらおう。


俺は自分が疑問に思っていることを仲山に話し、これからしようとしていることを全て伝えた。





「話は分かりました。芝山先輩は脅されてるからあんな罰ゲームをしてるって思ってるんですね。
それで、犯人の手がかりとかあるんですか?」
「……はっきり言ってないな」

俺は胡坐をかき腕を組んで偉そうに言う。

「じゃあ、どうするんですか?」
「それをふたりで考える。何か犯人や原因に心当たりはないか。やめさせる方法でもいいが」

う~んと首を捻る仲山。
暫くしてから口を恐る恐る開いた。

「犯人がいるかどうかは置いておいて、家の事情とかどうなんでしょ。千雪さんの家は神社ですし、田舎特有の何かがあるのかもしれませんよ」
「なるほど。だが、それだと花梨はどうなる。あいつは神社に関係ないぞ」
「ええ、でも僕たちが知らないだけで花梨先輩の家は何をやってるか分かりません。ひょっとしたら神社関連かもしれませんよ」

なるほど一理あるなと思う。だけど色葉や美羽ちゃんが何も知らないというのは気にかかる。
俺がそれを指摘すると、仲山は目を伏せて考え、長女だけに教えられた秘密かもしれませんと言った。

俺は取りあえずこの事は置いといて、視点を変えてみることにした。

「仲山、じゃあ、この罰ゲームにどういう意味があると思う? いや、なんの得があるってことでもいい。
俺が以前千雪さんに聞いたのは仲良くなるためと言ってたんだが、俺はそれを信じていない。むしろ誰かに脅されたから言ったと思ってる」
「え、えっと、それは……」

仲山は言いよどむ。

「なんだ言ってみろ」
「村に新しい血を入れるとか……?」

俺は笑ってしまう。どこのアニメや漫画の話だよ。
第一、俺と仲山は高校生と中学生だ。いくらなんでも早すぎる。想像が飛躍しすぎだ。

俺は笑いながらそれを否定しようとする。
だがそこで、今起きている現実を考えてみたら笑えなくなった。

俺は真面目くさった顔に戻ると、仲山に言う。

「なるほど、閉ざされた村ならあるかもしれないな。だけど考えてみろ。俺たちはまだ10代前半の学生だし、
千雪さんはセックスまでは考えていないって言ってたんだぞ。あり得ないだろ」
「あっ……そうでした」

仲山は忘れてたという顔をして再び考え込んでしまった。
俺は再びコップを手に取り、お茶を飲む。

そして部屋の壁にかけられた時計が3時なのを見ると、仲山に言った。

「とりあえず、神社と花梨の家の場所を調べることにするか。仲山、連絡網を持って来てくれ」

はいと頷き、仲山が立ち上がってどこからか連絡網を持ってくる。
電話番号しか書いてないが、俺はまず連絡網を見ながら、自分の家に電話をかけた。
引っ越ししてきてからまだ数週間。自分の家に電話なんか掛けることなんかなかったため、まだ自分の家の電話番号を覚えてなかったのだ。

プルルルルルル……。

呼び出し音が受話器の向こうから響く。
暫くしてからウチの母親が電話に出てきた。

「あっ、俺。ちょっと聞きたいんだけど、じいちゃんの家の電話番号教えてくれない?」

俺は受話器を耳に当てながら、無言で書くものを仲山に要求する。
仲山は俺のジェスチャーでボールペンと紙を持ってきた。

「うんうん、055……」
俺は教えてもらった電話番号を紙に書いていく。
そして復唱して電話番号を確かめると、礼を言って電話を切った。

「あの……おじいさんに電話って何か意味が?」
「ああ、俺のじいちゃんは昔からこの村で農業やってるんだ。花梨の家はともかく、最低でも神社の場所は知ってるだろ」
「なるほど」

俺は仲山とやりとりしながら、今度はじいちゃんの家に電話をかける。
そして5回ほど呼び出し音が鳴ったのち、じいちゃんが電話に出た。

「もしもし、じいちゃん? ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

俺はこうして神社の場所と、予想外にも花梨の家の場所まで教えてもらった。
上手くいった、上出来だ。
まさかじいちゃんが花梨の家まで知ってるとは思わなかった。
村ってやっぱり広いようで狭いのね。


俺はその後、仲山と分担して神社と花梨の家を調べることにした。
具体的には俺が花梨の家を、そして仲山が神社だ。

帰り道に花梨の家に寄って場所くらい確かめるつもりである。


仲山に、千雪さんや花梨に誘われても、決して誘いに乗るなときつく言い含めて仲山の家を出る。
さぁ、花梨の家だ。







(ここが花梨の家か。驚いたな。じいちゃんが知ってるわけだぜ……)

自転車を漕いで10分。俺は多少道に迷いながら、花梨の家にやってきた。
花梨の家はまるで武家屋敷のように立派で、どこまでも屋根瓦がある塀が続いている。
敷地内にはいくつもの蔵が建っており、すごい迫力を感じた。

(こりゃあ、気軽にインターホンを鳴らすって無理だな)

まるで城門のような門構えを見て息を呑む。
神社関連かは分からないが、少なくとも花梨の家は村でも有数の大金持ちに見えた。
外からは何をやってる家なのかよく分からない。

(こんな村なんだから農業とか不動産関連だと思うんだがな)

こりゃあ、じいちゃんにもう一回詳しく聞いたほうがいいなと思いつつ、俺は取りあえず家のまわりを自転車でグルリとまわる。
花梨の家の敷地は思った以上に広く、50メートル以上はあるんじゃないかと思うほどだ。
塀の中に視線を送りながら、自転車をふらふらと走らせる。
敷地内にはいくつも松が植えられ、大きな屋敷が続く。特に神社関連には見えない。

俺は、あまりここをウロウロしていては人目につくと思い、そのまま家から離れた。


やっぱりじいちゃんに詳しい話を聞いてみよう。

それで分からなきゃ、花梨に正面からだな。
真意が見えないから、危険な感じがするが。

















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  1. 2013/12/11(水) 00:00:01|
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