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13話 謎3

木曜日。
俺たちは予定通り今日も部活をさぼった。
さすがに今日も休んだことで、千雪さんは怪訝な顔をしたが、なんとか誤魔化した。
やはりもって今週中──。
明日も休めば、きっと気づき、部活外で俺たちを誘惑してくるだろう。

俺は今日も仲山と帰りながら、昨日花梨の家に行ったことを話す。

「花梨先輩の家は大金持ちだったんですか」
「ああ、すごい家だったよ。びっくりした」

俺は花梨の家の大きさを語る。

「それで花梨先輩の家は神社関連でした?」
「いや、それは分からなかった。ただ、外から見た感じだと違うようだったな。
この辺りはもうちょっと調べてみないと分からない。今日、じいちゃんの家に行って村の事とか花梨の家のことを聞いてくるよ」
「わかりました。僕も帰ったあと、神社に行って調べてみますね」
「ああ、頼む」

俺は仲山と別れ、道で手を振って離れた。
いよいよ、今日から本格的な調査開始だ。

俺は自分の部屋に鞄を置き、そのまま自転車でじいちゃんの家に向かった。







「じいちゃん、それで花梨の……いや、遠山花梨の家の事教えてほしいだけど」
「なんじゃ、なんでおまえがそんなことを気にする?」
「いや、昨日遊びに行ったらすごい家でさ。その……、結局インターホン鳴らせずに帰ってきちゃったんだよね。
だから気になっちゃって」
「ふん」

俺は家に帰って机に鞄を置くと、そのままじいちゃんの家に聞き込みにやってきた。
じいちゃんはもうすぐ72になるかという歳で、性格は気難しい。
ばあちゃんと2人暮らしをしている。家は古典的な日本家屋だ。

「学校でちゃんと勉強はしとるんか?」
「いや、だから花梨の家のことを教えてくれよ。いったい何をしている家なの?」
「ふん、勉強を真面目にしとらんもんには教えん」
「勉強してないって言ってないだろ」

すぐこれだ。何か聞いても素直になかなか教えてくれない。
顔を合わせたらなおさらだ。
孫に会えて嬉しいから話を引き伸ばそうとしているのかねぇ。ツンデレなところあるから……。

俺は機嫌をとるように、じいちゃんが大切にしている盆栽を褒める。
すると、じいちゃんは頬を緩ませ、俺の話に乗ってきた。

「そうか、おまえもワシの盆栽が分かる年になってきたか。それでなんじゃったかな。
遠山の家の事が聞きたいんじゃったな」
「うん」
「遠山の家はな。まず村の村長をしておる」
「村長……」

俺は呟く。

「そうじゃ、そしてこの辺り一帯の大地主でもある。ワシの家は違うが、遠山に土地を借りて農業をやってるものも多いな」
「へー」

これは意外だ。あの花梨が村長の孫娘だったなんて。
でもそれって、逆に言えば村長の発言力が大きいってことだよな。
どういう人なんだろう。
俺は訊いてみる。

「その村長って人はどんな人なんだ?」
「……石頭じゃよ。どうしようもなくな」

じいちゃんが顔を曇らせ、俺はそれ以上聞けなくなる。
ひょっとしてじいちゃんと仲が悪いのか。
雰囲気が重い。

俺は話題を変えて、村の事について訊いてみる。
具体的には、しきたりとかそういうのだ。

するとじいちゃんは首を振った。

「ワシは長いこと、村の会合には顔を出しておらんからの。昔からの風習が今でも残ってるかは知らん」
「昔はこの村にどんな風習があったんだ?」
「大したことはありゃせんよ。山にある泉に毎年、豊作を願って捧げものをするだけだ」
「捧げものって?」
「……畑でとれた作物じゃ」

そうなのか。なら大して手がかりになりそうなものはないな。
もっとおどろおどろしい風習が残っていたとしても、子供に聞かせるべきではないから口に出さないと言う事もありえるが。
しかしじいちゃんの口ぶりからはそんな風習などないように聞こえる。

ああ、わからん。
じいちゃんは基本、いつも険しい顔をしてるから表情が読みにくいんだよな、くそっ。

俺が内心で悩んでいると、今度はじいちゃんが俺に訊いてくる。

「なんじゃ、浩介。なんでお前がそんなことを訊いてくる。何か学校であったのか……?」
「いや、別にないけど……」

じっと見つめてくる。
嘘か本当か確かめているようだ。
この空気が辛い。

あんまり嘘つきたくないんだけど、仕方ないよな。こんなこと話したら、間違いなく殴られるだろうし、何が起こるか分かんないし。
沈黙を貫いていると、じいちゃんが重々しく言った。

「……まぁええ。じゃが、何かあったらすぐワシに相談せぇ、いいな?」
「分かったよ。じいちゃん」

内心でごめんと言いながら、俺はじいちゃんの家を後にした。

情報はあんまり訊きだせなかったが、しょうがない。
ばあちゃんにも聞きたかったが、買い物に行ってたし。


やはり犯人説が有力なのだろうか……。


ここは、仲山の報告に期待することにしよう。












僕は、芝山先輩と別れてから家に帰り神社にやってきていた。
神社と言っても本殿に行ったわけではなく、その前の階段前である。
神社は山の上にあり、階段を50ほど上らないといけない。
僕はそこから本殿に行こうか迷っていたのだ。

(やっぱり先も調べないとまずいよね……)

僕は、階段前の赤い鳥居の下で階段上を見上げる。
階段上に行ってしまえば簡単には引き返せない。上で3姉妹のうちの誰かに見られたらやっかいなことになる。
部活をしているはずだが、今日は木曜日だし、男連中がいないから部活をやめて帰ってきたという可能性もあり得る。
特に千雪さんに見つかるのはまずい。
上がどうなってるか分からない以上、足が非常に重かった。

しかし調べないと、芝山先輩が怒るだろうなと覚悟を決める。

(見つかったらたまたまここに来たって言ったらいいわけだし……)

僕は左右を見渡し、誰もいないか確かめると、ゆっくりと音を立てないように階段を上りはじめた。




「ここが芹沢神社……」

階段を上りきった僕が見たのは、竹林に囲まれた見事なまでの赤い神社。
本殿は思った以上に大きく立派で、由緒正しき格式を感じる。
幸いなことに本殿近くには誰もおらず、無人のままだった。

(これからどうしよう……)

僕は考える。
勢いで来てしまったが、このままでは神社の外観を見て帰ることになりかねない。
僕には芝山先輩のように村に親戚がいるわけじゃないのだ。得られる情報は限られている。

僕は、こうして考えているうちに誰かに見られるんじゃないかと不安になり、辺りをキョロキョロと見渡す。
そして神社の閉まっている社務所が目に入り、その陰に隠れた。


僕は社務所の陰に隠れると一息つく。

こうしていると僕は本当に卑屈だ。
自信がなくて、臆病で、いつもオドオドしている。
自分でも嫌になるのだが、どうしようもないのだ。僕にはなんの取り柄もない。
運動だって苦手だし、勉強だって出来ない。容姿だって特に優れているというわけもない。
人に誇れるようなことが何一つないのだ。

さながら恐竜時代に現れた卑屈なネズミなのが僕のポジションだろう。
強くたくましい恐竜の顔色を窺ってコソコソ生きるのだ。

こんな状況でそんなことを考えて溜息をつく。

これも普段人と接することなく教室でポツンと1人だった僕が、こっちに引っ越してきて
皆と仲良くなりはじめたから頭に浮かんで来た事なのかもしれない。
僕は社務所の陰から辺りを見渡し誰もいないことを確かめると、ゆっくりと歩き出す。
向かう先は神社から帰り道に続く階段だ。
神社のまわりをグルリと一週して帰ってもよかったが、神社のまわりには家にある塀がないため、見つかったら不審者扱いされて捕まるかもしれないと思ったのだ。
大した成果はあげれなかったが、捕まるよりかはましだろう。

もっと調べたかったのだけどあんな不安なことを考え始めたら落ち着いて調べれない。


僕は階段を下り、そして家に帰ろうと身体の向きを変えたところで、
学校の帰りらしい千雪さんが制服姿で歩いてくるのを見つけて、慌てて階段傍の物陰に隠れた。


タイミングが悪い。

──僕は運のなさを呪う。
別に見つかってもどうということはないが、心にやましいことがあるので、心臓に悪い。
距離が近くになるにつれドクンドクンと心臓が強く音を立てる。

見つかりませんように……。

心の中で強く願い、通り過ぎるのを待つ。
だが、千雪さんは予想に反して、神社に続く階段に行かず、階段の前で左に逸れ竹林に入っていった。


(どうしよ……)

予想外のことが起き、僕は悩む。このまま家に帰るか、後をつけるかを。
ストーカーみたいだが、このまま家に帰っては何も情報を得られないままだ。
それより千雪さんが人気のない竹林に入っていった後をつけたほうが、何か情報が得られるのではないか。
あんな竹林に入っていくなんて怪しいとしか言いようがない。
ようするに気になって仕方がないのだ。

僕は今日何度目になるかの悩みで頭を痛め、
結局千雪さんから十分距離が離れたところで、後をつけ始めた。






足音を立てないよう足元に気を付けて歩く。
竹林は見事なまでに手入れされており、まるでドラマか何かに出てくるような静寂さと美しさを兼ね揃えている。
その静寂の中一人静かに歩く千雪さん。
竹林のなかには身を隠すところがないため、後ろを振り向かれるとほとんど終わりだ。

僕は背を低くし、見つからないように祈りながら歩く。


千雪さんは竹林を分断するような細い道を歩き続ける。
運がいいことに後ろを振り向く素振りがない。
どこに向かってるのか分からないが、竹林の中に入って結構歩いている。
整備されているため、陽の光はある程度入ってきているが、夜中だと街灯もなく不気味だろう。絶対に歩きたくない。

こうして千雪さんと僕は歩きつづけ、やがて竹林の奥に緑色の屋根をしたプレハブが見えてきた。

どうやらそこへ向かっているらしい。


何が目的なのかさっぱり分からないが、芝山先輩の言っていた犯人説が頭によぎる。
こんな人気のない場所に美少女が1人。
人目を避けて誰かに会うにはもってこいの場所だ。

僕は千雪さんが、プレハブの中に入ったのを確かめ、入り口の死角に入る。
プレハブには窓が一つついているが、他に出入り口はない。
僕は離れた場所にしゃがみこみ、息を殺してプレハブを見守る。
もしプレハブに誰かいるなら、用件が終わり次第一緒に出てくるはずだ。

だけどかなり待っているのに、一向に出てくる様子はなく、少し焦ってくる。
確かに竹林には光が入ってくるといっても、その光は他と比べると、弱々しいのは言うまでもない。
腕時計で時間を確かめると、もう5時近い。
このままだと、僕は暗闇の中待ち続けなければならない。それはさすがに嫌だ。

僕は迷う。
もし誰かに会っていないのであれば、このまま帰ってもいいだろう。
だが、会っているなら最低でもその姿か声を確かめたい。かなり距離が離れて尾行しているため、暗くなれば顔を確認できなくなる。
竹林には街灯がないのだ。例えプレハブから出ても、千雪さんと会っていた誰かは、街灯のある道に戻るか分からない。

だから僕は散々迷った末、リスクを冒してプレハブに近づくことにした。
もし誰かいれば、話声くらい聞こえてくるだろう。その内容によっては芝山先輩の予想が当たったことになる。

僕は腰が曲がったおじいさんのように腰を曲げながら、音を立てずに慎重に近づいて行く。
緊張する、心臓はバクバクだ。見つかったら気まずいってもんじゃない。
まずここで何をしていたか絶対聞かれるだろう。場合によっては僕と芝山先輩が放課後に何をしているか疑われる。



僕はまさにネズミのようにコソコソとプレハブの後ろにまわり耳を澄ませた。


















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  1. 2013/12/16(月) 00:00:01|
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