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8──映画研究部──

6月9日 映画研究部 部室 天目雅彦


僕は、天目雅彦。
映画研究部に所属する1年生だ。

この学園にはおじいちゃんでもあり、ここの学園長でもある天目彦三郎のすすめでやってきた。


僕は楽しい学園ライフを送るために、この映画研究部に入部した。
部長の桐沢真由美先輩は、僕たち新入部員を花の咲くような笑顔で歓迎してくれ、入部した当初、男連中はみんな入って良かったと喜んでいた。
だけど暫く立って、それが誤りだと気付く。


───恐怖政治


そう、部長の桐沢真由美先輩は恐怖政治によって、この部を支配していたんだ。
逆らうもの、退部しようとするものは容赦なく制裁し、精神的にも肉体的にも追いつめ服従させる。
すでに部員のほとんどは部長の支配下にあり、毎日を奴隷のように過ごしている。

こんなことってない!
楽しい学園ライフを送るつもりだったのに、これじゃあ、全てぶち壊しじゃないか!

心の中で、そう叫んでも、当然のように何も変わらず、
今日もまた他の部員と同じように、機材の手入れに励む日々を送る。



・・・・・・・


と、まぁ、そんな暗黒部活ライフを送る僕にも、好きな人が出来た。
それは、藤乃宮遥さんっていう一つ上の先輩。
清楚で、可憐で、笑顔の可愛い先輩、ウチの部長とは大違いの先輩。

遥先輩の姿をひとめ見るだけで癒される!

学校のどこからしらで、あの天使のような姿を見かける度に、僕のすさんだ心は洗われ幸せな気持ちになる。
この学校に来て良かったぁ!と思う瞬間でもある。
そう、僕にとって遥先輩はこの暗黒部活ライフを耐えうる一種の清涼剤となっていたんだ。



そんなある日のこと、
僕は桐沢部長から、なぜか1人だけ昼休みに呼び出しを受けた。
なぜ僕だけ?と思ったが
行かなかったら、あとが怖いので部長に指定された映画研究部の部室に向かう。

「遅いですわよ。モブA」
「す、すいません」

そこでは腕組みをした部長と、最近この部にかけもちで入った春山先輩が待っていた。
待たせてしまったせいなのか、部長は少しイラついた様子で、僕を冷たい目で見ている。
しまったぁ。部長より遅くに到着するなんて大失敗だよ。この後、どんな説教をされるかと思い気が重くなる。

あ、ちなみにモブAとは僕の事である。部長から見れば僕たち部員は全員モブらしく、
その日の気分によって、モブAとかモブBとか適当に呼んでいる。
日本人形みたいな綺麗な顔してるのにホント悪魔だよ。この人。

「モブ山くん、彼が今回の撮影者の1人、モブAですわ。顔を憶えておいてくださいませ」
「ああ…」

そして、桐沢部長の紹介に「ああ」と苦渋の顔を浮かべ頷いたこのイケメンさんは、
僕より一つ上の春山先輩、通称モブ山くんだ。
身長は、177、8くらいの長身で、いかにも女子が「きゃあきゃあ」騒ぎそうな甘いマスクをしている。
何を血迷ってこの部に入ってきたのか知らないけど、入部した当初から暗い顔で誰とも口を聞かない先輩、
部室の中でも隅の方にいる未だに謎の多い人物である。
部長からモブ山くんと呼ばれてることから、ある程度部長と親しいみたいだけど、いったいどんなつながりがあるのやら。

桐沢部長と春山先輩の様子をチラチラと盗み見しながら、まさか恋人じゃないよな?なんて思ったりもしたが
僕を無視して話をすすめる二人の会話の様子から、それらしい雰囲気は感じず、なんだかホッとした。

「それでは本日決行しますので、放課後に例の場所に呼び出しておいてくださいませ。よろしいですね?」
「……わかった」

そう言ってこちらに背を向け去って行った春山先輩。
いったいなんの話なのか、さっぱり分からない。
ニヤニヤしながら春山先輩の去って行った方を見つめる桐沢部長を見ながら、僕は話の内容を説明してもらおうか悩む。

モブAの僕に話してくれると思えないけど
ここは聞いておいた方がいいのかなぁ、僕も関係あるみたいだし。
しかし怒られたらなぁ…うーん。

うつむき、部室の長机を見ながら悩みまくる僕に、
予想外にも部長の方から声がかかった。

「さて、あなたにも軽く説明しておかないといけませんわね」

にやついた笑みをそのままに言った一言。これが僕をどん底へ落とす始まりの言葉だった。


12時40分 昼休み 校舎裏


「よし、充電もちゃんとしてあるな」

僕は今、校舎の裏手にある薄暗い藪の中で機材の最終チェックをしている。
なぜこんなところでチェックしているかというと、僕の隣にいる桐沢部長がここで撮影すると言ったからだ。
なんでこんなところに隠れるようにして撮影しなきゃならないんだと思うが、部長命令な以上、僕は従うしかない。
なんという我が身のふがいなさである。


(とりあえず早く来てくれないかなぁ、こんなところで部長と二人きりなんて耐えられないよ…)

僕はしゃがみこみ、部長の言う撮影ポイントを恨めしげに見ながら心の中で呟いた。


桐沢部長から聞かされた今回の撮影内容。下っ端の僕には詳しく教えてくれなかったが、どうやら校舎裏で春山先輩が女子生徒と一緒に何かしらの演技するという事らしい。
そして僕の役目は、その一部始終をくまなくビデオに収めるということ。

話を聞かされた時、初めて部長に指名されての撮影ということで緊張したが
こうして現場に来てみると、特別指示があるわけでもなく拍子抜けする。

せめて、もうちょっと詳しく話を聞いとけば気合いを入れて撮影できるかもしれないのに…
例えば、どんな女の子とか、
と、思い悩んでると。

「きましたわよ。撮影を開始しなさい」

頭上から部長の静かな声が聞こえ、僕は慌ててビデオカメラを撮影ポイントに向けた。


グラウンドの方から2人の男女が肩を並べ校舎裏に向かって歩いてくる。

1人は、顔見知りの春山先輩。
そしてもう1人は…

「えっ…」

思わず小さな声が漏れた。

だってそれは、僕の憧れの…
この暗黒部活ライフの癒しの女神の…

僕の好きな遥先輩だったからだ。


「は、はるか先輩…」

動揺を隠せず再び漏らした声に桐沢部長が反応する。

「あなた、藤乃宮さんの事知ってますの?」
「は、はい」

知ってます。と言葉を続けようとしたが、部長は自分の口に人差し指を当て静かにするようなジェスチャーをし、僕の口の動きを封じた。
続けて部長は、しゃがみながら撮影している僕の耳元で静かに口を開く。

「いいですこと? これから起こることは全てふたりの演技です。決して大きな声をあげたり邪魔したりするんじゃないですわよ」

口元を歪め、まるで脅すような冷たい声。
今までの緩んだ空気が消え、緊張した空気が僕のまわりに張り詰める。
部長の顔からいつのまにか笑みは消え、春山先輩と遥先輩を見つめる目は獰猛な猛禽類のようだ。

「わ、わかりました」

桐沢部長に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で返事を返すと、僕は気合いを入れ直し2人の様子を撮り始めたのだった。





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  1. 2012/08/11(土) 14:32:56|
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