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19話 新任教師

「ちっ、くそ、面白くない」

月曜日。俺は帰り道、1人で学校から家に帰っていた。
あのお泊り会は最悪だった。まさに悪夢の出来事だった。
仕方なしに流れに身を任せたが、待っていたのは色葉と仲山による69という信じられない光景だった。

俺はその事を考えると頭がおかしくなりそうだった。

もちろん自分も他の女の子としてるのだから身勝手なことも理解している。
だけどそれとこれとは話は別だ。
俺は心情的には一番色葉としたかった。
けど、最初の花梨はルール上仕方なく、そして次の美羽ちゃんは守らなければならない対象だったから無理だった。
色葉だって俺と一番したかったのは間違いないはずだ。あの色葉との帰り道の出来事があるから断言できる。

しかし結果的に起こったのはこのありさま。
気が滅入るし、胸糞が一日中悪い。
仲山はぶん殴っておいたが、気が晴れない。
お泊り会が終わった後も、俺に対する態度があまり変わらなかった色葉を見てからも、ますますそう思う。
色葉じゃなく、他のメンバーも変わらなかったのだから、言葉も出ない。まるであれが日常の一コマだったと受け入れてるようだったのだ。


俺は道に転がってる小石を蹴りながら、家に向かう。

まだ仲山との仲は決定的に決裂していない。
あいつはまだ俺に協力すると言ってくれている。
起こってる出来事を考えると、事態は少しずつ悪くなってるが、仲山はまだ放課後の部活には参加しないだろう。



(もう仲山に対して暴力の脅しは効かないかもな……)

お泊り会で、ゲームを続行するかしないかで揉めたときのことを思い出す。
あいつはついさっき殴られたのに、千雪さんに味方した。
いったい千雪さんと何があったのか分からないが、殴られた痛みを押しのけて賛成したのだから、それなりの理由があったんだろう。今日、殴ったときに千雪さんと何があったと聞いても言葉を濁すだけだった。
そうなると、俺にまだ協力すると言っている仲山が千雪さんと繋がってる恐れがあるので、信用できないということになるが、
少なくとも部活に参加しないのだからそこだけは安心だ。仮に参加しても俺が毎日色葉と美羽ちゃんに仲山が部活に参加したか訊けばすぐに発覚する。
そしたら俺がまた奴に鉄拳制裁すればいい。あいつだって殴られるのは嫌だろう。
あいつが俺を無視して参加するという最悪の事態に備えて表面上は仲良くしておけばいいのだ。

俺は家に帰ると、今日は不貞寝することに決めた。
色々調べなきゃいけないが、そんな気分じゃない。少なくともお泊り会のことを忘れるには、今日はゆっくり寝ないといけない。
幸い月曜だし授業が終わるのも遅かった。今からだとすぐに外は真っ暗になっただろう。

俺は夕飯を食べ、熱い風呂に入ったあと、すぐに就寝した。

こういう日は早く寝てすべて忘れるのが吉だろう。



火曜日。
俺が登校すると、教室がざわついていた。
俺は、机にポツンと座っていた美羽ちゃんに話を聞く。

「美羽ちゃん、おはよう。みんなざわついてるけど、何かあったの?」
「あ、浩介さんおはようございます。実は今日新しい担任が来るみたいで、みんなその話で持ちきりなんです」
「こんな中途半端な時期に……?」

すでに5月半ばになろうかというこの時期に入ってくるなんて。

「はい。なんでも担任の村川先生が、家庭の事情で急に引っ越すことになったみたいで……」
「ふーん。あの先生がね」

あのおばちゃん担任を思い出す。
いつもニコニコしてて置物のようだった。

「それで今度の先生も都会から来た若い先生みたいなんです」
「へー」

俺は何気なく話を聞きながら周囲を見ると、仲山以外は誰かしら話をしており、
中には職員室まで覗きに行った小学生もいた。


(なんだかな……)

俺は別に新しい教師が来ようと興味が持てないので、どうでもいいことのように思えてしまう。
どうせこのカオスなクラスでは教壇に立って授業をするわけではない。
いつものように自習に近い授業になるだろう。

俺の考えを読み取ったのか、美羽ちゃんは苦笑いしながら言う。

「男の先生だという話だから、小学生組は浮き足だってるのかもしれません」
「ああ、そういうことか」

それなら分かる。小学生組は女の子だけだし、都会から来た若い教師ということで、
いけてるカッコイイ男を想像しているのだろう。まったくもって面白くないし、興味もないが。

俺は美羽ちゃんにありがとうと告げると、その場を離れて自分の席に戻った。

見てやろうじゃないか。どんな男かを。
そして女子共は絶望するがいい。
そうそうカッコイイ男などいるはずがないのだ。







「都会から来た秋川です。今日から皆さんの担任になります。
みんなよろしくね」
「………」

教室にやってきたのは予想外にもイケメンな20代前半の教師だった。
信じられないことに背も高く、髪も茶に染めた今どきの若者だ。
小学生組の女の子が案の定、きゃあきゃあ言って目をハートにさせ手を振っている。
気分が悪いが、イケメンだと認めざるを得ない。
というか、すげえキザな感じだ。俺の嫌いなタイプだな。

俺は制服組の女の子がどういう反応をしているか気になり目を向けると、
制服組の方は花梨が興味深そうに見ている以外、比較的落ち着いていて目立った反応はなさそうだった。
小学生みたいにきゃあきゃあ言ってない。
特に色葉の視線は冷めたものだったのでホっとする。

ホームルームが終わり小学生に混じって花梨が教壇前の秋川の元に行くのを見ながら、
俺は態度や仕草から、いけすかない思いを消せないでいた。
そしてその懸念はすぐに当たることになる。







4時間目、体育の時間──。
今日は天気がいいからと、制服組は外で体育をすることになった。
俺たち制服組は全員体操着に着替えてグラウンドの入り口で待っていると、
チャイムがなりジャージ姿の秋川がやってきた。

「男はグラウンドをランニングだ。走れ」

それだけ言うと、俺と仲山を蔑んだ目で見下ろし、すぐに走るように命令する。
俺と仲山は当然教師なので何も言う事はできず、不満を隠しながらゆっくり背を向け走り出す。

「女子はまず、怪我をしないように体育館で柔軟体操だ。いいね」

男子の時とは違い、えらく甘い口調で優しく言った秋川の声が背後から聞こえ、俺は怒りを募らせた。



「おい、仲山。あの教師どう思う?」

ランニングを始めて5分。
俺たちは真面目に走ることをせず、仲山と肩を並べて走りながら話をしていた。

「えっと、どうって……?」
「馬鹿、あの教師の態度だよ。俺たちと違って女子にはえらく甘いだろ」

すでにグラウンドから消え、体育館に女子たちと一緒に行った秋川のことを俺は話題にする。
正直なんでこんなややこしいときに、あんなムカツク教師まで現れたのか……。
人生とことん上手くいかない。

「この学校は可愛い子ばっかりだから、知らず知らずにああいう態度になったのかも……」
「違うだろ、あれは最初からそういう態度だったろ。都会にもいたよな、ああいう女子だけに甘い教師って。
男連中にはすげー嫌われてたよな」
「……そうですね」

ようやく俺の意見に納得したのか、頷いた仲山。
あの秋川のあからさまな態度を見て、一瞬でも庇おうとした仲山の神経を疑う。
何考えてるんだこいつは。

俺と仲山はそれから無言で走っていたが、やがて前方に体育館が見えてくると、
体育館で体操をしているであろう色葉たち女子が気になり始める。

(まさかと思うがあのクソ教師。セクハラとかしてねーだろうな)

俺は周囲を見渡し、グラウンドに誰もいないことを確認すると、隣で黙々と走る仲山に声をかける。

「仲山、ちょっと体育館の様子を見に行こう」
「えっ……」

俺の言葉が以外だったのか、仲山が驚きの声をあげる。
その視線はなんのために?と言っている。

「ちょっと女子たちの様子を見に行くんだよ。あのセクハラ教師が悪いことをしてないかな」

俺はすっかり秋川のことをセクハラ教師と決めつけ、渋る仲山を強引に体育館まで連れて行った。



「よし、こっから覗くぞ」
「は、はい」

体育館に着いた俺たちは、体育館の下窓から中を覗くべく、腰を屈めて中を覗きこむ。
俺の予想では秋川は必ず女子にちょっかいを出しているはずだ。
目を凝らしてみると、女子たちは全員お尻をペタンと体育館の床にくっつけて足をハの字にして柔軟体操をしている。
こちらに背を向けていて助かった。顔がこっち側だったら一発でばれてただろう。

俺は目をキョロキョロ動かし、秋川の姿を探す。
すると秋川は花梨の後ろで笑いながら馴れ馴れしく背中を押していた。

(あの野郎、やっぱり……)

ふつふつと怒りが燃え上がる。
俺はああいうタイプが大嫌いなのだ。異性相手だとガラっと態度を変える奴が。
教師のくせに軽蔑に値する。

俺の機嫌が悪くなったのに気づいたのか、仲山は俺から少し距離を取りながら小さな声で俺に話しかけてくる。

「落ち着いてください。あれはただの柔軟体操です。背中を押してるだけですよ」
「わかってる。だけどあの馴れ馴れしさはおかしいだろ。これから絶対他の場所も触り出すぞ」

俺の言った通り、秋川は俺たちに見られているとは知らず、背中だけじゃなくやがて腕や太ももにまで手を置き始める。
あくまでも柔軟の補助といった感じで見せているが、腰や太ももにもべたべた触っているのだから確信犯だ。
花梨が特に気にしていないようなのでイライラが募っていく。

(花梨の奴、ガツンと触るなって言ってやればいいのに)

背後から覆いかぶさるように圧し掛かり、体重をかけ始めた秋川に殺意の籠った視線を向ける。
別に花梨のことは好きでもなんでもないが、俺たちにランニングさせておいてそれはないだろう。
というか、いつまで好きにさせてるんだ。

俺が色葉や他の女の子に目を向けると、他の子は花梨と秋川の様子を見ても特に止める気配はない。
こっち側からだと背中や後頭部しか見えないのだから、もう一つ様子がはっきりしない。
あれくらい当たり前だと思ってるんだろうか。
女の子の表情を見る為に反対側にまわろうか考えるが、絶対に見つかるのは確かなので迷う。

こうなったらランニングが終わったからと言って踏み込んでやろうか。
俺は柔軟体操をする色葉の揺れるポニーテールに視線を送りながら立ち上がろうとすると、
仲山があっ!と小さな声をあげた。

「どうした?」
「えっと、あれ……」

仲山が中を指さしながら覗きこんでいるので視線を戻すと、
今度はあの教師、美羽ちゃんの背中を押し始めている。しかも今度は手つきがあからさまで、背中から腰へと擦るように触っている。

俺はもう我慢できなくなり、すぐに体育館の扉をガラっと開けて飛び込んだ。

「先生、ランニング終わりました!」

俺の元気のいい声に秋川は顔を顰める。
明らかに邪魔されて気分を害している。

「……そうか。なら今度はグラウンドで準備体操だ」
「俺たちもここでやっていいすか?」

追い出そうとした秋川に反抗する。

「ダメだ。グラウンドでやれ」
「いや、だってここでやっても変わらないでしょ。先生だって俺たちがサボらないか見ることができるし」

バチバチと絡み合う視線。
ここで引いたらこいつはセクハラ三昧するだろう。

「男子と女子の体育は別だ。一緒にやる必要はない」
「ここは人数少ないし、第一俺たちがさぼったら先生どうするんですか?」
「その時はその時だ。あとで罰としてグラウンドを走らせる」
「見てないのにどうやって?」

険悪になっていく場の空気。
後から入ってきた仲山や、美羽ちゃんがオロオロしはじめる。

「それをお前に言う必要はない。お前は教師である俺の言うことに従えばいいんだ」

初日から生徒に対してこの態度か。
まともに喋ったのは初めてだが印象通り、最悪の男のようだ。
女子には甘く男子には厳しいキザな男、俺とは決して相容れないタイプの男だ。

静かに睨みあう俺と秋川。
教師だからとかそんなこと関係ない。
こうなったら徹底的に邪魔するだけだ。

そしてそんな俺たちを見かねたのか、色葉が立ちあがって割って入ってくる。

「先生、別に私たちは一緒でもいいです。こうやってる間も時間が過ぎてますし、
授業の続きをしません?」
「……そうだな」

色葉に言われたのかどうか知らないが、俺に対する視線を緩め、女子たちの方へ再び背を向けていく。

「………」

いきなり担任の秋川とは険悪になったが、セクハラは防げた。
女子たちは罰ゲームで性に対するガードが甘くなっている。これからは俺がしっかりしないといけない。
調べることに加えて、秋川への監視もしなきゃいけないことに頭が痛くなったが、さすがに授業以外ではちょっかい出してこないだろうからそこは楽か。
なにせ体育以外は接触するようなことはない。
授業も自習に近い形で会話もない。これ以上の深いかかわり合いは避けれるだろう。

俺は秋川が花梨と笑顔で会話を交わしてるのを見ながら、
改めてこのクズ教師が……と思っていた。


放課後。
その日の授業は無事終わり、俺は1人で学校を出る。
仲山は掃除で残ってるし、水曜にお互い調べたことを報告し合おうと言ってるので問題ない。
もっとも仲山は千雪さんの手下と化してる可能性があるので期待できないが、
近いうちに懐柔しこちら側に引き戻す予定だ。その時に千雪さんとどんなやりとりがあったのか判明するだろう。

俺は今日はどういう調査をしようか考える。
まだばあちゃんは帰ってきてないし、じいちゃんに訊くのも不審がられるだろう。
となると、やれる手は限られてる。

(図書館だな)

あの神社の男性器の像を見てから強くそう思う。
千雪さんの行動がアレと関係しているかもしれないということも疑われる。
本当なら色葉か美羽ちゃんに色々訊けばいいのだろうが、恥ずかしがってたり嫌がってたりしてたので訊きにくい。
ここはまず、図書館で神社や村の事を調べてから、あとで聞けばいい。ある程度の情報を得た後の方が理解も早いだろう。

俺は家に帰ると、母親に図書館はどこにあるか訊く。
だけど母親も知らなかったので、畑にいる父親も知らないだろうと思い、
じいちゃんに電話をかけた。

「じいちゃん、俺だけど村の図書館の場所知らない?」
「なんじゃ、いきなり……」

相変わらず無愛想な返事が返ってくる。
しかし、図書館の開いてる時間も限られてるだろうと、引き伸ばしをせず適当に誤魔化す。

「あっ、ごめん。実は勉強したいんだけど静かな場所でしたいかなって」
「ほう、それは感心じゃな」

受話器の向こうで頷いているようだ。

「それで図書館は?」
「おお、そうじゃったな。残念ながら村に図書館はない。街に行けばあるが、学校にはなかったのか?」
「それはちょっとわかんないかな。でも調べてみるよ」

村にはなかったのかとガッカリしながら、学校の図書室について考える。
実は学校の方も考えたが、さすがに未成年もいる学校で、あの生々しい神社について詳しく書いている本が置いてあるのだろうかと疑問だったのだ。
とはいえ、調べないことには話にならないと礼を言って電話を切る。

村に図書館がないなら学校の図書室で調べるしかないだろう。

俺は明日だと千雪さんや花梨に見つかるかもしれないと、
掃除が終わって生徒がいないであろう学校に向かうのだった。
















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  1. 2014/01/11(土) 18:50:06|
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