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モブの植木鉢小説館

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6話 テレビ局

夏川健太──。
言わずと知れた人類の希望である。
健太が男であることは世界中の人が知っていると思われがちだが、実は違う。

なぜなら彼が男だとばれれば日本中の女たちが彼を巡って殺し合いをしたりするなど混乱が予想されるからだ。
故にこのことを知っているのは、夏川健太周辺のごく限られた大人と上層部のみである。
健太のクラスメイトも実は、厳しい選考のもと決定された。
全てはこの種馬。
自然繁殖させるためのこの種馬を大事に育てるためなのだ。


だが、どこの世界でも秘密を嗅ぎつけて、甘い汁を吸おうとするものが現れる。


そう、楽しくデパートに買い物に来ていた健太に、その魔の手が迫っていた。









その日、テレビ局の仕事で取材に来ていたレポーターの女が珍しいものを見つけた。

「何かしら、あれ……」

たまたま目が行ったぬいぐるみ店の奥で3人の少女が固まっているのだが、その様子がおかしい。
短いポニーテールの子が友達と見られる2人の少女を隠すように立ち、その後ろで何やら2人の少女がゴソゴソしている。
明らかに不審なものを感じとる。

まさか万引き?

レポーターが他のスタッフにここで待つように言うと、自分だけが店に入って彼女たちに近づいていく。
あくまでも客を装いながら、彼女たちを観察していると、棚のぬいぐるみをいじっている後ろにいた少女が、妙な動きをしていることに気付く。
その子は長い黒髪の少女の後ろに立ち、腰を微妙にクイクイ前後に動かしている。
大きな動きで腰を振っているわけではないのだが、確かに振っているのだ。

何をやっているのかしら?

万引きとは違う動き。
レポーターは角度を変えて、もっと何か分からないか目を凝らす。
すると腰を振っている女の子が、ぬいぐるみの子のお尻を掴んで腰を深く押し付ける行為を繰り返しているのが分かった。

あれってどっかで見たような……。

レポーターは意を決してハイヒールを響かせながら彼女たちに近づいて行く。
すると腰を振っていた子の動きが止まり、人形のように固まった。
レポーターはますます不審を強めながらその子の後ろで立ち止ると、気づかれぬように腰の部分を注視した。


あっ、女の子のお尻が丸見えになってる。

ぬいぐるみを見ていた女の子がお尻を後ろに少し突出し、スカートをたくしあげお尻を丸出しにしている。
もっとも問題はそれだけではない。
お尻を丸出しにした子の後ろいた子が自分の腰をしっかり前の子のお尻にくっつけていたということだ。
いったいなんでそんなことをしているのか分からないが、見れば見るほど怪しい……。
しかも自分に見られまいとしているのか、それを隠そうとしている。

暫く何か起こらないか観察していたが、自分が真後ろに来たことで何も変化がなくなってしまったので、諦めてそのまま通り過ぎた。

「どうでした?」

スタッフが戻ってきたレポーターに言うと、レポーターは首を振った。

「万引だと思ったけど違ったみたい。でもあの子たち何かきな臭いわ。後をつけて調べるわよ」
「わかりました」

ぬいぐるみ店から出た3人の少女の後を、テレビ局の取材陣はある程度の距離を離してついていった。



彼女たちが次に行ったのは、おもちゃ屋さんだった。
腰を振っていたあの短髪の女の子が、熱心にゲームのパッケージを見ており、他の子は付き添いといった感じだった。

「カメラを一応まわしといて」
「えっ、買い物に来ている一般人を撮るんですか?」
「ええ、なんかあの子たちから、スクープの匂いがするのよ」

物陰からレポーターが撮影スタッフに指示を出す。

「いいんですか。子供相手にこんな真似をして……。上にばれたらただじゃすみませんよ」
「いいから撮って。私が全責任を持つから」
「本当にどうなっても知りませんからね」

特に変わり映えもなく次から次へとパッケージの裏を見ている少女に、カメラを向けるスタッフ。
カメラマンから見ればごく普通の子供にしか見えないが、数々のスクープをものにしてきたレポーターが言うなら間違いないだろう。
ジーと無機質なカメラが彼女を捉える中、3人は自分たちに気付かぬように買い物を楽しんでいる。

そうしてゲームを物色し終わったのか、やがてゲームの箱を棚に戻して3人は店を出て行った。

「出て行きましたね。何事もなく……」
「そうね」
「まだ撮影を?」
「当然でしょ、行くわよ」

レポーターが再び追跡を始めるなか、スタッフたちは顔を見合わせ、溜息をつくのだった。


レポーターの追跡が続く中、3人の少女たちはデパートのなかをあてもなくうろつく。
5階に行ったり3階に行ったりと、あちこち移動する。
さすがに少女たちは若いだけあって元気だ。こちらは今まで取材やら何やらで仕事をしていたので、疲れが目立ってくる。

「もう、いいんじゃありません? 何も出てきそうにないですよ……」
「何っ言ってるの。もうちょっとじゃない。絶対に何か出てくるから頑張って!」

レポーターが弱音を吐くスタッフを叱咤しながら、なおも追跡を主張する。


彼女たちはついにペットショップに辿り着いた。

(スタッフも限界だし、やっぱり駄目なのかしら……)

動物の入ってるゲージの前ではしゃぐ3人を眺めるレポーター。
カメラはいまだ廻しているが、やはりスタッフの疲労も不満も限界のようだ。
あまりしつこく撮影続行を主張すると、後々の関係にも響くだろう。

子犬のゲージの前で、腰を屈めて子犬に手を振る腰をふっていた少女。
その無邪気な姿を見ているうちに、レポーターの脳裏に電流が走る!

──まさかさっきのって!!

噂で聞いたことがある。
人工授精で生まれた男じゃなく、自然繁殖で生まれた男の噂を。
それは匿名の情報提供だったが、当時はそんな事あるわけがないと上層部が一笑に付し、握りつぶした情報だ。

もしあれが真実だったら──?
もし上層部がそれを知っていて、隠ぺいした情報だったら?

犬や猫の交尾の仕方を思いだし、興奮気味になるレポーター。
腰を振っていた少女は、スカートを履いていない。まるで男の子のような恰好。
確証がないのに、すでに男だと決めつけかかっている。

(なら私はこの真実をお茶の間に届けないとね!)

報道に携わる者として、このスクープは見逃せない。
なぜ交尾をするような男の存在を隠しているのか脳裏に疑問がよぎったが、目の前のお宝を前にその疑問は霞む。
仮に隠していることを知っていたとしても、この事実をレポーターはお茶の間に届けていただろう。
真実をお茶の間に伝えるためという偽りの大義のもと、自分の欲のために報道するのだ。その結果がどうなろうと、そ知らぬ顔をして。

レポーターは意を決して、犬猫のゲージの前にいる少女たちに近づいて行った。

「ねぇ、きみたちちょっといいかな?」
「はい、なんですか?」

ゲージから振り返った3人の少女。

「私はテレビ局の者なんだけど、さっきぬいぐるみ屋さんで変なことしてたわよね?」
「えっ……」

少女たちが固まる。
全員がしまったという顔をして青ざめている。

レポーターはそれを見て確信を深める。

「あなた達が悪いことをしたのは知っている。本当はあんなとこでしちゃいけないことだよね」
「は、はい……」

半ズボンを履いた短髪の少女が半べそをかきながら答える。
レポーターは内心可哀想だと思ったが、それでもスクープを前に心を鬼にして話を進める。

「学校やお店の人が知ったら大変なことになるわよね」
「が、がっこうは大丈夫よ」

今度はポニーテールの子が頭を振る。

「でも、お店の人は違う。そうでしょう?」

学校は交尾することを認識している?
そう思いながらも幼い彼女たちをやりこめていく。

「そうだけど……。お姉さん、ひょっとして店の人にいうの?」

不安そうな顔で再び短髪の少女が言った。

「それはあなたたち次第ね。今後はそういうことを外でしないって約束すること。
それからあなた達がぬいぐるみ屋さんでやっていた行為を実演してくれないかしら。そしたら黙っててあげる」
「ほ、ほんとに?」
「ええ、嘘はつかないわ」

顔を見合わせる3人。
そして暫くしたあと、短髪の少女がいった。

「じゃあ、しますから黙っててください。でもここじゃあ店の人にばれるので他の場所に行って……」
「わかったわ」

レポーターは頷くと、彼女たちについてくるように言って、スタッフたちにも目配せする。
そして彼女たちを連れて、人気のないお店に行くと、店員を呼んで金を握らせた。

「じゃあ、ここでやって。店の人には話をつけたから」
「は、はい」

長い黒髪の子と短髪の少女がその時のことを再現する。
スカートを履いた少女が棚に手をついてお尻を突きだし、短髪の少女がズボンのボタンを外し長い棒を、つまりおちんちんを取り出す。

「スクープよ、カメラとって!」

完全にその子が男だと知ったレポーターは興奮を隠せず、カメラスタッフの元に向かうと慌てて指示する。
スタッフも慌ててズームでおちんちんを撮った。


今自分はとんでもないスクープを手に入れた。
レポーターは叫びたい気持ちを押さえて、
本来の仕事に戻った。

「みなさんこんにちは、レポーターの柴崎です。今、私は恐らく自然妊娠で生まれたらしい男の子の単独インタビューに成功しました!
インタビューを聞く前に視聴者のみなさん、まずはこれをご覧ください。
幻とまで言われた天然ものの男の子が同世代の女の子とデパートのなかで交尾しています。こんな公共の場でいいのでしょうか!」

ふたりが立ちバックで交尾しているところを遠くからカメラで撮影する。

「ちょっとインタビューしてみましょう。私も緊張しています」

レポーターはマイクを片手にカメラ目線で話しながら健太たちに近づく。

「こんにちは~機嫌はどうかな。えっと……」
「ぼ、ぼく? 僕の名前は夏川健太……です」

健太が少女のお尻を突きながら答える。

「そう、健太、健太さんね。そっちの子は?」
「……千早です」
「千早ちゃんね。えっと、君たちはいま何をしているのかな?」
「なにって、おちんぽみるくを千早ちゃんのおまんこに出そうとしているんだよ」

健太は少しびくつきながら言う。

「そ、そう、それは邪魔しちゃったわね。千早ちゃんはこんな場でおちんぽみるくを出されちゃっていいのかしら?」
「そ、それは、恥ずかしいですけど、健太が我慢できないって言ってるし……」

顔を赤らめながら千早も答える。

「な、なるほど。我慢できないなら仕方ないですね。元気があることはいいことです。
それで他に聞きたいことがあるんですが、君たちは同級生かな?」
「はい、そうですけど」

蚊帳の外だったまりなが代わりに返事をする。

「へー、それじゃあ3人はいつもこんなことを?」
「はい。始めたのは最近ですけど、毎日学校でしてます」

レポーターはそれを聞いて少し驚く。

「学校でもしてるんですか。どこの学校かな?」
「それは……」
「大丈夫よ。ちゃんとカットするから話の流れで言って」
「はい。国立暁学園です」

カットするのならこんな話を聞くわけがない。まりなはそれに気づかずに答える。
レポーターの目的はズバリさらなる調査だ。
この撮影は録画だが、放送されればお茶の間に衝撃を与えるだろう。
視聴率50%、いや特集を組めば80%は固いかもしれない。

脳内でスクープをゲットした自分が称賛される未来が思い浮かび、レポーターは口元が緩みそうになる。

「なるほど、君たちは国立の学校に通ってるのね。えらいわね。ちゃんと勉強してる?」
「は、はい。や、やってます」

健太の腰がどんどん速くなっていく。これが以前アニマルビデオで見た通りならおちんぽみるくを出す前兆なのだろう。
取材しているのに大胆ねとレポーターは呆れながら、様子を見守り続ける。
そして暫くすると、健太の身体がピンとなって腰をぐっぐっとお尻に押し付けるような形になった。

「あっ、あっ、あっ」

健太が少女のような声を出し、千早が何かに耐えるように顔をうつ伏せにする。
これが生種付けだ。
まさかカメラの前で種付けしてくれるとは思わなかった。
普通の一般人なら緊張で会話もままにならない人がいるのにだ。

豪胆と言うかなんというか、自分的には美味しいが、ここまで上手くいくと怖くなってくる。

しかしこれはまさに天が与えた千載一遇のチャンスだと喜びで恐怖を塗りつぶす。

まずは早く帰って編集しよう。
顔は編集してモザイクを掛ければ未成年だという批判は免れる。
レポーターは微笑みを浮かべて、3人を解放すると、カメラマンを引き連れその場を立ち去るのだった。


その後……。

レポーターは謎の左遷で地方に飛ばされた。
この映像が世に出ることはなく、健太たちは今日も平和な学校生活を送ることになるのだった。


















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  1. 2014/03/29(土) 00:00:01|
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ntr属性なのに超純愛ゲーをやって自己嫌悪になった男。リハビリのために小説を書いてます。
ほぼ賢者モードで書いてるので期待しないでください。

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