修学旅行は無事終わった。
長いようで短く、あっというまに楽しい時間は過ぎた。
僕たちは地元に帰還し、家に帰って楽しい思い出話をする。
お母さんに旅行の話をすると、楽しそうにテーブルに肘をついて聞いてくれた。
あと大きな行事と言えば、卒業式だけだ。
それが終わるとクラスのみんなとお別れになる。
まりなちゃんと千早ちゃんは同じ学校だけど、もしかしたら他の学校に行く人いるかもしれない。
なんだか妙な気分になりながらも、また、まりなちゃんやみんなと一緒のクラスになれることを祈った。
ついに僕らは卒業式を迎えた。
4月からは中○生だ。
卒業式は保護者のみんなが勢ぞろいして、なかには赤ちゃんを連れて参加している人もいた。
結局クラスの半分くらいが妊娠しちゃったけど、赤ちゃんを産んだのはそのうちのさらに半分くらいだ。
もちろん残りの半分が産むのを拒否したというわけでなく、まだ出産時期を迎えていないだけ。
なので大きなお腹になった子もちらほらと卒業式の列にいる。
「またみんなと一緒のクラスになれるといいね」
「うん、そうだね」
僕とまりなちゃんと千早ちゃんは卒業式を終え、校門で校舎を見上げる。
思えば色々あった。
物心つかないときからここに入学し、みんなと出会い、そして勉学に励んだ。
色んな行事があり、中には嫌なこともあったけど、結果的にはいい友達に巡り合えて、良き思い出になっている。
中学に入っても僕らの友情は続くけど、きっとこの学校であった思い出を忘れないだろう。
「行こうか」
「そうだね」
みんなとの別れの挨拶を済ませ、学校から離れる。
中学が始まるまでは春休みだ。
入学式。
ついに僕は中○生になった。
おちんちんがついてないまりなちゃんたちは完全にスカートになり、僕はズボンという完全に違った制服になった。
まりなちゃんたちの胸は制服越しなのか大きく見え、そしてスカートは私服じゃないためか、相当短くなりちょっと動けばパンツが見えそうになっている。
どうしてあんなに短いのか分からないけど、形のいいお尻が目にはいると、おちんちんが刺激されてしまう。
また中学からは全員寮に入ることが義務付けられ、家から通うことができなくなった。
話しによるとクラスごとに生徒が割り当てられるらしい。
僕たち3人は同じクラスになれることを願いつつ、
人混みを掻き分けクラス分けの張っている校舎の玄関前にいった。
「えっと……僕は……」
自分の名前を探しながら僕は視線を動かす。
田舎のせいかクラスは3つしかなくてABCまでしかない。
「あった、僕はAクラスだ!」
「わたしも!」
僕と千早ちゃんがほぼ同時に声をあげ手を取り合う。
どうやら千早ちゃんもAクラスみたい。
「まりなちゃんは?」
「………」
まりなちゃんの顔が曇る。
それだけで分かった。まりなちゃんは別のクラスになったということに。
時間が来て入学式が始まった。
僕と千早ちゃんがAクラスで結局まりなちゃんはBクラスだった。
千早ちゃんが別に永遠の別れじゃないんだからとまりなちゃんを慰めていたが、
まりなちゃん、そして僕は大ショックだった。いつも一緒にいたのに別れ別れになるなんて。
入学式でもバラバラの席になり、まりなちゃんは僕より後ろの方の席にいるので姿が見えない。
なんだか寂しい。
入学式が終わりHRが始まると、また僕の担任になった塩田先生がおちんちんの説明をして当番を決める。
なぜ小学校から中学校の先生になったのか分からないけど、塩田先生が担任になので安心できる。
ごわごわした制服といい、なんか小○生のときと全然クラスの雰囲気が違うんだもん。
見知らぬ顔もいるクラスメイトの何人かを確認していると、HRがいつのまにか終わる。
ホームルームが終わると、鞄を持って千早ちゃんと一緒に、隣のクラスにまりなちゃんを迎えに行った。
これからどの部活に入るか、見てまわる約束があるのだ。
隣のクラスに行くと、B組もHRが終わってクラスがガヤガヤしていた。
僕たちは教室の入り口でまりなちゃんを探す。
するとまりなちゃんを見つける前に、入り口で僕と同じズボンを履いた人と出会った。
「おっ、俺と同じ制服着てるじゃないか。隣のクラス?」
「うん、そうだけど」
少し驚きながら僕は答える。
「そっか、やっぱな! 俺は森山隼人。はやとって呼んでくれよ。よろしくな!」
ニカっと歯を見せて僕に手をあげたのが森山隼人というよく日に焼けた子。
僕と同じ制服を着ており、スカートを履いてない。
同じ制服を着ているということは、ひょっとするとひょっとしてだ。
「それでおまえはなんて名前なんだ。教えてくれよ」
「あっ、僕は夏川健太。健太って呼んでね」
「おう、わかった。健太だな。これからよろしくな。じゃあ!」
そう言うと、隼人って子は手を上げ廊下の向こうを歩いて行った。
「なんかすごかったね……」
「うん」
隼人から感じるエネルギッシュな気を感じとり、千早ちゃんが僕に言うと、僕も同意するように頷いた。
確かに今まであったことのない人間かも。
僕より背が高かったし、なんか圧倒されちゃったし。
そんな事を考えていると、こちらにまりなちゃんがやってきた。
「2人ともお待たせ~」
「あ、まりなちゃん」
「ん、どうかしたの?」
僕らの様子がおかしいと思ったのかまりなちゃんが首を傾げると、僕は先ほど会った隼人の事を教えてあげる。
そうするとまりなちゃんは「ああ、あれはね」と言って違う学校から来たおちんちんを持ってる子だと教えてくれた。
僕はふーんと頷きながら、珍しいって言ってたけど同じおちんちんが生えてる人がいてよかったよ、と
内心で喜びながら3人で歩き出すのだった。
「どのクラブ入る?」
「う~ん、まだ決めてないけど私は文科系かな」
校舎を歩きながら僕らはどのクラブに入るか話し合う。
この学校では生徒は部活に所属しないといけないらしい。
僕はよほどなクラブじゃなかったらどこでも良かったんだけど、できれば2人と一緒のクラブがいいかな。
「私はチアガールやりたかったの。前に見に行った試合ですごく可愛かったんだぁ」
可愛い物好きなまりなちゃんは、目をきらきらさせていう。
「うん、チアガールいいよね。でも私はあんまり動くの得意じゃないから無理かな」
「えー千早ちゃんも一緒に入ろうよ」
「う、私そういう目立つのも苦手だし……」
まりなちゃんの説得に
千早ちゃんは胸の前で手を振る。
「じゃあ、健太は?」
「僕もチアガール部は嫌だなぁ」
「えーなんでー」
不満そうにまりなちゃんが頬を膨らませる。
だけどこればかりは仕方がない。知らない人の応援をして何が楽しいのか分からない。
それにあの服。僕に似合いそうにない。
「まりなちゃんがそんなに入りたかったら僕らに気を使わなくてもいいよ」
「えっ、でも……」
「いいから。ねっ千早ちゃん」
「うん、私たちに気を使わないで。合わなかったら来年部活変えれるだろうし」
「う~ん、そっか、わかった、ごめんね、みんな」
まりなちゃんの部活がこれで決まる。
「じゃあ、後は千早ちゃんと僕だね。一緒に見に行こう。まりなちゃんもついてきてくれるよね?」
「もちろん~♪」
僕たちは部活をひとつひとつ見て回った。
「結局、千早ちゃんは茶道部で僕は陸上部かぁ……」
次の日の朝の教室の机で僕はそう呟いた。
あれから色々と見て回ったが、せっかくだからみんなに合せず好きな部活をやろうと決まった。
そして部活に入って1年後に一回また話し合おうってことになったのだ。
僕としては心細かったのでせめて千早ちゃんはって思ったけど、茶道部は退屈そうで嫌だった。正座しないといけないし。
だからと言って陸上部も好きじゃなかったんだけど、まりなちゃんが一生懸命走ってる僕が好きで応援してくれるって言ったので入ったようなものだ。
はじめての寮の一日を終え、どこか疲れている僕。
家じゃなかったせいか緊張してあんまり寝つけなかった。
中○初日としてはあんまりいい一日とはいえない。
今日から授業なので、僕は机から教科書とノートを出す。
制服姿で授業を受けるのがなんとなく違和感があったけどいずれ慣れるだろう。
授業が終わると僕と千早ちゃんはまりなちゃんが一人なので心配になり一緒に隣の教室に行く。
ちゃんと馴染めてるのか心配だ。といってもまだ学校が始まって2日目なんだけど。
隣の教室に行くと僕の懸念をよそに、まりなちゃんは隣の席の隼人とお喋りをしていた。
「あっ、こっちこっち!」
まりなちゃんが教室の入り口で立っている僕たちにぶんぶん手を振り、僕らを呼び寄せる。
「ふたりとも来てくれたなら遠慮せずに教室に入っていいよ。気にしないでいいしさ」
「うん」
僕らは頷く。
すると隣の隼人が話しかけてきた。
「おう、健太おはよう。そっちの子は名前なんだったかな」
「わ、わたしは東山千早……、です。よろしくお願いします」
「そうか、千早ね。俺は森山隼人、気さくに隼人って呼んでくれ」
僕たちは挨拶をかわす。
「昨日思ったんだが、3人は友達なのか?」
「そうだよ。同じ学校出身、幼馴染ってやつだね」
隼人の問いにまりなちゃんが答える。
「そうか、羨ましいな。俺は学校に友達はいなかったからな」
「え、そうなんだ」
僕はびっくりして聞き返す。
友達がいないってどういうことだろう。
「俺はある施設に入れられてて授業はそっちの施設で受けてたんだよ」
「そっか、それは大変だったんだね」
まりなちゃんが同情の声をあげる。
「ああ、だからこっちに来てまりなって友達が出来てうれしいよ」
「え~、そんな大げさだよ」
まりなちゃんが照れる。
そして暫くすると僕たちに顔を向ける。
「健太たちも友達になってあげてよ。いいよね?」
「それはもちろん!」
僕と千早ちゃんは同意する。
断る理由がない。
「マジか。それは嬉しいな。これからよろしくな、ふたりとも」
「うん、こちらこそ」
ガッチリ握手する僕と隼人。
こうして僕たちは隼人という新しい友達が出来た。
昼休み。
いつものメンバーに隼人を加えて4人で一緒にご飯を食べる。
小○校は給食だったけど、こちらでは寮で持たされるお弁当を食べることになっている。
食べるのは隣のクラスのまりなちゃんと隼人の机を中心にしてだ。
「ウチの寮とそっちの寮のお弁当は一緒なんだね」
お弁当を開けて千早ちゃんがまりなちゃんのお弁当に視線をやっていう。
「そうだね、一緒だね」
「きっと不公平がないようにしたんだろうな」
まりなちゃんと隼人が言う。
僕も無言でそれに同意しながら、箸で卵焼きを摘まむ。
「隼人ってもう部活は決めたの?」
「ん、まだ決まってないな」
「じゃあ、私と一緒にチアガール部に入らない? きっと楽しいよ」
まりなちゃんが身を乗り出すと、隼人は首を横に振った。
「すまん、まだ決めてないけど他に入りたい部があるんだ」
「そうなんだ。それじゃあ仕方ないね」
まりなちゃんは肩を落とす。
「それってどのクラブ? 聞きたいな」
隼人がどのクラブに入りたいのか僕は興味がある。
「ああ、それは新聞部なんだ。自分で記事を書いて見たくてね」
「へー新聞部か、ちょっと意外」
「そうか?」
笑いながら隼人は弁当を食べる。
口調から運動系が好きだと思ってたのだがこれは予想外。
どう見ても運動系に見えたんだけどなぁ。
結局全員が別々のクラブになってしまったが、話に関しては弾み、部活について話しあった。
本格的な部活なんて初めてだけど、きっと楽しい思い出が出来るだろう。
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- 2014/04/23(水) 00:00:11|
- 小説
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