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27話 砂の城 2

「本日は練習を休みにして自由行動とします。各自明日まで好きにすごしてください」

昨日の練習を休み、ようやく体調が戻った僕だったが、宿泊所のロビーで副部長のその言葉を聞いて拍子抜けした。

気分のいいまま皆のところに向かい、称賛の視線や声を浴びながら練習ができるとはりきっていたのだが、残念だ。
いつもなら全員がロビーに集まってるはずなのに、部長の千夏先輩を始め半数以上がこの場にいないことに疑問をもったが、
事前に聞かされていたのかもしれないと、隣にいる美奈を誘ってとりあえず部屋に戻った。

「今日、どうする?」

別に美奈と一緒に行動するつもりがなかったのだが、つい聞いてしまう。
仲のいい友人もいないし行くところもないし、必然的に一緒に行動できる相手が美奈になってしまう。
千夏先輩とふたりで過ごしたかったけど、そうなるとそれを知った美奈が怒りだすのでしょうがない。

「外で遊ぼ!近くに川があったから魚がいるかも!」
「魚かあ……」

釣り道具があれば釣りができるかもしれない。
美奈はじっとしてるのを嫌がるかもしれないけど、千夏先輩とゆっくり話しができるチャンスだ。

「よし、行くか。千夏先輩も一緒でいいよね」
「うん!」

川に行くことが決定し、ウキウキ気分の美奈は大きく笑顔で頷く。

「じゃあ、千夏先輩を呼びに行ってきて。僕は釣り道具がないか聞いてくるから」
「わかった!」

美奈が部屋を出て行き、僕も釣り道具を持っていそうな、施設を管理してる大人を探すため、少し後から部屋を出る。

廊下はしんとしており、練習がきつかったから寝ている人もいるかもしれないと、足音をなるべく立てないよう気をつける。
一階にあるロビーに行き、そこに人がいないと分かると、大人がいるであろう管理人室を探してウロウロする。

大体管理人室というのは廊下の端で泊まる人が寄り付かない場所にあることが多い。
だから僕は普段立ち寄ることのない廊下の先を目指す。

食堂の前を通り、来たことのない倉庫室のさらに先を行く。
突き当りの非常口まで来ると、その横に管理人室とプレートが掲げられた部屋を見つけた。

(ここかな?)

曇りガラスの張った鉄扉をコンコンとノックする。
すると、暫くしてから「はーい」と言って人のよさそうなおばさんが出てきた。

「すいません。近くの川で釣りをしたいんですが釣竿二本ないですか?」
「釣竿? ちょっと待ってね。確かあったような……」

部屋から出てきたおばさんは、僕を倉庫室の前に連れてくると、一人で中に入っていく。
5分ほどしてから、リールのついてない釣竿を二本持って出てきた。

「ありがとうございます。夕方に返しに来ますね」
「ええ、お願いね。倉庫室の前に立てかけて置いてくれたらいいから」
「はい」

僕はペコリと頭を下げて、部屋に戻る。呼びに行くだけだから美奈も帰ってきてるだろう。

部屋に戻ると、美奈がすでに帰ってきており、僕を見るなり駆け寄ってくる。

「千夏先輩にちゃんと言ったか?」
「ううん、千夏がいなかったから言えなかったよ。どっか行ってるみたい」
「え~、そうなのか」

千夏先輩と一緒に行こうと思っていた僕は、ガッカリ肩を落とす。
隼人との勝負の事で沢山褒めて欲しかったのに。

「ねぇ、もう行こ! はやくいこー!!」

待ちきれない美奈が僕の腕を引っ張り催促するので、僕は仕方なさそうに一緒に部屋を出た。

結局美奈と2人きりか。のんびり釣りをしながら千夏先輩と話をしたかったのに。


・・・・・・
・・・・・
・・・


宿泊施設を出た僕は、美奈の先導で川を目指していた。
川は宿泊施設の裏を少し行ったところにあり、近くにハイキングコースらしき道がある。
美奈は小走りで先を行きながら、時折振り返って「はやくはやく!」と急かしてくる。



(何をそんなに急いでるんだ)

ちょっとでも早く川に行きたいらしい美奈を見ながら若干呆れる。
まだ午前中で、お昼までまだ三時間くらいある。
そんなに慌てなくても遊ぶ時間は十分だ。

森に囲まれた小道を通り、僕は釣竿を片手にリュックサックを背負って美奈の後を追う。

暫くして川が見えてきた。

「魚いるかな」

川原に降りようとしている美奈を止めて、道の高い場所から下を見下ろす。
川は全体的に幅が狭く、渓流に近い物があるが、流れはそこまで上流ではないため比較的緩やかのようだ。

魚がいるなら緩やかで深みのある場所だろうと、そのような場所がないか探す。すると、川岸の大きな岩影にそのような場所と魚を見つけホッとした。これで釣り道具が無駄にならずに済んだ。

「魚いたね!」
「うん」

美奈がじっと魚を見つめ、僕が隣で頷く。

「美奈は釣りしたことあるか?」
「ううん、ないよ」
「そっか。じゃあ、僕に付いてきて」

川原に降りる道を探し、僕が先に川原に降りる。
美奈は大人しくついてきた。

僕は足元に気を付けながら水際まで行くと、石をひっくり返しエサになる川虫を何匹か確保してから、先ほど魚が沢山いた大きな岩の上にのぼり、そこで美奈に釣竿を渡す。

「僕のやり方を真似して」

竿に巻いてあった仕掛けをほどき、エサに川虫をつけると、釣り糸を垂らした。

「これで釣れるの?」
「多分ね」

岩から身を乗り出し、ウキを見つめる美奈に僕は淡々と告げる。
魚が朝方と夕方によく釣れるのは知っている。まだ昼とは言えない時間だから結構釣れると思う。
釣り人も普段からいるかどうかわからない場所だし。

ゆらゆらと流れるウキを何度か入れ直し、アタリを待つ。

そして待つこと、数分。さっそくアタリが来た。

「きた!」

重い手応えを感じ、僕は釣竿を持ち上げ独特の感触と引きを楽しむ。
何回か釣りをしたことがあるけど、この引っ張り合いがなんともいえない緊張感と興奮を生む。
僕が立ちあがって、しなる竿を両手に魚と格闘しているのを見て美奈も大興奮だ。

立ち上がって僕を応援する。

「健太、頑張って!」

答える余裕がないほど僕は竿に集中する。
実は初めてなのだ。渓流釣りは。テレビでしか見たことがない。

すごい手応えに、僕は竿を持つ手に力を入れながら、ゆっくりと魚を川岸に寄せ持ち上げた。

「すごい!」

25センチはあろうかという川魚に美奈は興奮する。
岩の上でピチピチ跳ねる魚を捕まえようと、しゃがみこんで両手を伸ばし、それから逃れようと魚が跳ねるので、それを夢中で追う。

「気をつけろよ」

魚に夢中で他が見えてない美奈に注意を促す。
魚が釣れて嬉しいけど、美奈が身体のバランスを崩してまで魚を捕まえようとするので、危なっかしい。
僕も手伝ってやり、ようやく美奈は魚を両手で捕まえて、目を輝かせた。

「やった、捕まえたよ! すごく大きい! ねぇ、これ食べれるの!?」
「どうだろう。ちゃんと焼けば食べれるんじゃないかな」

種類は分からない。だけどテレビで似たような魚を塩焼きにして食べてるのを見たことがある。
ここじゃあ、無理だけど、食堂に持って帰ったら料理してくれるかもしれない。

「持って帰る?」
「うん」
「じゃあ、もっと釣らないとね」

今度は自分もと、美奈は針にエサを付け釣りを始める。
てっきりすぐ飽きて川に飛び込むくらいやるだろうなと思ってたので、これはある意味予想外の行動だ。
僕の隣に座った美奈は、糸を垂らすと、熱心にウキを見つめるのだった。











その頃、自由行動になった寮では、部員を巻き込んだ淫らなトレーニングがずっと続いていた。
湯煙がモウモウと立ち込める大浴場で、片っ端から隼人が日に焼けた陸上部員を相手に交尾をしていたからだ。

「もっと尻を振って! 腰の運動を激しくしないと大会で勝てないぞ!」
「は、はい!」

隼人の腰の上で尻を振るのは隼人や健太と同じ1年の陸上部員。
セミロングの彼女は、健太が美奈の次によく喋る子で、美奈の事についてたまに愚痴を零せる相手だ。

彼女は部長の千夏が大会で好成績を残すため、隼人相手に腰を振ったトレーニングをしてるのを見て、思いきって志願したのだ。

「いいぞ、よくなってきた。もっと腰をくねらせるようにして前後に振れ。俺の胸に手をついてじっくりとな」
「はい!」

体育会系のノリで指導する隼人は教官だ。
騎乗位で自分にまたがる女子部員達に腰の振り方について厳しく指導する。

ふたりのまわりには全裸の女子部員が数人囲み、その中には部長の千夏と副部長もいた。


「部長、ほんとにこれで良かったんですか?」

副部長が、少し離れたところにいる千夏にそっと囁く。

「ええ、彼が速いことには変わりないもの。これで良かったのよ」

千夏は隼人の上で、腰をくねらせながら尻を前後に振る部員を見つめながら少し寂しそうに答えた。
腰を振ってる子は顔を少し赤らめながら、一生懸命だ。

「でも意外です。部長はあの新聞部員を嫌っていると思ってばかり……」
「そうね、でもあの子は陸上をやってないにも関わらずあれだけ速かった。そこは認めないと……」

だんだん言葉に力がなくなり、千夏は副部長の視線から逃れるように顔を逸らした。
部員にばれたことが原因とはいえ、でたらめを言って部員まで巻き込んでしまって部長失格だ。

「それから練習のことなんですが、部長の指示通り、今日は自由行動ということを伝えておきましたよ。丁度、疲労と不満がピークでしたのでいい頃合いでしょう」
「悪いわね」

千夏が感謝の言葉を伝え、心の中で詫びる。まともに顔を見れそうにない。

「私も特訓に参加しますが、ほんとに外にいる他の部員を呼ばなくて良かったんですか? 全員を集合させても良かったと思うんですが」
「それはいいの、ひとりひとり時間も掛かるし、待ってる方も大変だから」

丁度、隼人が腰を突き上げ、上に乗って腰を振ってる子の中に出した。
腰をしっかり掴み、ビュービュー出してるのが透けて見えるようだ。

中に出された子は全て受け止め終ると、ゆっくりと隼人の腰から離れ、おまんこから白い液をとろりと出しながら「ありがとうございます!」と礼を言っている。
その笑顔がとても純粋で、千夏は俯いてしまった。

「次は私の番ね」

千夏の隣にいた副部長が立ちあがり、隼人に近寄っていく。

「次は副部長か。なら千夏先輩みたいにバックでぱんぱんしてやったほうがいいかな」
「それは任せます。部長と同じトレーニングの方が私もいいけど」
「そっか、なら決まりだな」

後から入ってきた部員たちが興味津々で見守る中、長い髪を首元で下に垂らし、副部長は四つん這いになる。

「いい尻してるな、突くたびに尻がゴムまりみたいに弾むから他の奴はよく見ておけよ。リクエストがあったら他の奴にもしてやるから」

隼人は副部長の尻を掴むと、千夏を一度だけチラっと見てから、見せつけるようにちんぽを挿入していく。

「んん、んんん……」

隼人の太い竿に合せて膣口が拡がっていく。
千夏は目を逸らそうとしたが、どうしても目を離すことが出来ない。
もうその理由は分かっている。身体が欲しがりはじめてるのだ。部員達の交わりを見たことによって。

「おらぁ!!」

パンッ!!

乱暴に振り始められた腰。
いつしか副部長が艶っぽい声を出しはじめ、他の女子たちは股に手をやっておまんこを弄り始める。


陸上部員は堕落を始めていた。

まじめだった部員たちが、まるで砂の城を崩すように。










                                      << >>
  1. 2015/07/16(木) 21:54:15|
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  4. | コメント:2
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コメント

更新お疲れ様です
待ってました!
  1. 2015/07/18(土) 18:05:14 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

更新待ってました!!
嬉しいです^_^
  1. 2015/07/18(土) 20:18:57 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

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ntr属性なのに超純愛ゲーをやって自己嫌悪になった男。リハビリのために小説を書いてます。
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