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1話 無視

一人になりたい。孤独になってもいいから面倒な人間関係から解放されたい。

このストレスの多い現代社会において、このようなことを考えたことのある人間は少なくないだろう。

これから話す物語は、そんな願いが叶ってしまった一人の少年の話である。





1日目──。

自分の頭がおかしくなったと思う状況になったのは、くそだっるい学校に行くため朝起きて食卓に座ったときだった。
いつもなら食卓に並べられてる朝食が自分のぶんだけなかったのだ。

「ちょっと僕の御飯がないんだけど……」
「………」

台所にいる母親に話しかけると、無視された。
いつもなら振り返ってくれる母親が完全無視である。
決して仲が悪いってわけじゃないので、何か怒らせたかと一瞬考えたが、そんな記憶がないので頭を捻る。
僕は聞こえなかったのかと、もっと大きな声で言ってみたが、これも無視されたので完全に沈黙する。

今日は月曜日。
週の始まりの一番嫌いな日だから、ちょっとしたことでも機嫌が悪くなる。
僕は向こうがその気ならばと、無言で席を立つと、そのまま鞄を持って家を出る。
一日くらい朝食を抜いても問題ない。昼飯は購買のパンで済ませればいい。
イライラしながらも、結局母が怒っていた理由がわからず、家の近くにある僕の通う中学に向かった。

「おはよう~」
「おはよう!」

週の初め。
下駄箱では、クラスの女子たちが明るい顔で元気に挨拶をしている。
僕はよくだるい月曜日から元気だなと思いながら、靴を履き替えると教室の席に座る。
そして前の席の一番仲がいい友達の肩を叩いて、挨拶をした。

「おっす」
「………」

あれ? 無視された?と、再びトントン叩くと、
友達は立ち上がって無言で教室の外へ出て行く。
僕はなんだあいつも無視するのかと、声をかけようとしたが、
一瞬、いじめという二文字が脳裏に浮かんでやめてしまった。

始業のベル──。
ホームルームの出席取りが始まった。
今日は誰とも喋ってないから、不安が胸に渦巻いてるが、自分の番を待つ。
だが・・・

「加藤」

そう呼ばれるはずの僕の名前が先生の口から出てこない。
中学2年の『加藤はじめ』の名前が呼ばれないのだ。
それどころか、先生は僕の番を飛び越して他の人の名前を呼んでいく。
僕は胸をドキドキさせながら、息苦しいホームルームが終わるのを待った。
いったい僕が何をしたって言うんだ。


「先生、今日の出席、僕の名前が呼ばれてないんですが……」

ホームルームが終わると、僕は真っ先に先生の傍に行って話しかけた。

「………」

だが、先生もまるで僕が見えないように無視だ。
冗談が効く先生なので、ためしに先生の顔の前で手の平をひらひらと振ってみるが、それでもなんの反応もない。
僕は明らかにおかしい感じると、大して仲の良くない前の席に座るクラスメイトに質問する振りをして話しかけてみる。

「ねえちょっと聞きたいんだけど……」
「………」

やはり反応がない。まるで僕が見えないように机の中から教科書やらノートを出して、授業の準備をはじめる。
僕はそこでようやく、今自分が置かれてる立場が普通ではないと認識したが、ドッキリの可能性も考えて慎重に行動することを決める。
ここでオロオロしたりしたら負けだ。あとで笑いものにされるかもしれない。
考えてみたらこんな状況普通ではないので、ドッキリの可能性大だ。
母親とかお笑い好きだから、まさかと思うがテレビの企画に応募した可能性だって限りなく低いがないとはいえない。

僕はふぅと息を吐くと、冷静を装って自分の席に座る。
このドッキリがいつまで続くかわからないが、笑いものにならないように気を付けよう。

昼休み──。

結局僕は、徹底的に先生からもクラスメイトからも無視された……。
授業で自分の番になっても当てられることもないし、出席で名前を呼ばれることもない。
休み時間だってそうだ。クラスのみんなはまるで僕がいないように振る舞う。

正直、かなり精神的にくるものがあって、こんなくだらない企画に応募した母親を恨むが、それを表情に出すわけにはいかない。
こうなったら昼休みのうちに早退するかと、鞄に手を掛けたところで朝から何も食べてないことに気づいて、その手を止めた。

(飯を食べてからでいいかな)

もしドッキリが続いてたら家の中でも無視されるかもしれない。
さすがにやりすぎだと思わないわけでもないが、今更これドッキリでしょ?って言って無視されるのも、恥ずかしいものだ。
僕は席を立つと、喧騒溢れる教室をあとにして、購買に向かった。

購買にはそれほど人がいなかった。
もしかしたらここでも無視されるかもと考えたが、言ってみるだけ言ってみることにする。

「すいません、これください」
「………」

案の定無視された。どうやらこのドッキリは僕が思ってる以上に大仕掛けのようだ。
結構大きな声で言った僕を無視して、購買のおばちゃんはつり銭の計算をしている。
もし僕が透明人間か何かなら、ここは黙って持っていくところなんだろうが、カメラがまわってたらテロップで『ここで万引きしました』とか流れるだろうと、購入を諦める。

僕は教室に戻ると、早退することに決める。
考えてみたら、ドッキリの手が届きそうにない普段いかないスーパーにいけばいいし、そこで購入すればあっさりこの企画は失敗する。もしくは普段通らない道を通って道を尋ねるふりをして通行人に話しかけるのもいいだろう。
そこまで考えると、急に心が軽くなる。
このふざけたドッキリをやめさせるのはこれが一番だ。
このことをもっと早く考えつけばよかったと、鞄を手にし喧騒溢れる教室をひとり後にした。


・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・


「いらっしゃいませ~」

僕は滅多に来ることがない駅の反対側のスーパーにやってきた。
ここは一年のうちに一回来るかどうかの利用頻度で、仮にテレビスタッフが僕の行動範囲を調べていたとしてもここを利用することは考え付かないはず。
また、仮にここでドッキリが発動していても、駅から降りる利用客にまでは制限は難しいだろうから、改札口を通る人に話しかけてもいい。

僕は自動ドアを通ってスーパーに入ると、食品売り場から適当に飲み物とパンをカゴに入れて、レジに向かう。
だが、そこでもドッキリが続いてると、思い知らされてしまった。

レジの台にカゴを置いても清算処理をしてくれないレジのお姉さん。
僕の前の人は清算してくれたのに無視だ。
だが、ここで気づいたのは、僕の後ろにいた人は、順番を守って動かないということ。
これは、僕の存在を知りながら無視していることに他ならない。
やはりこれはドッキリであることには違いない。

僕はお腹が減ってることもあり、イライラしたが、知らないお姉さんにこれドッキリでしょ?っていう勇気もないため、レジから食品売り場に戻って先ほどのレジを見守る。
すると何事もないように後ろの人が清算を始めたので、なんとも言えない気持ちになった。

「やはりこれしかないかな」

スーパーを出た僕は、結局自動販売機にお金を入れてジュースを買い、空きっ腹を満たした。
だけど、家に帰ることはせず、駅前で利用客を物色する。
昼間なので、改札口を通る客は少ないが、ドッキリを失敗で終わらせるためにはここで話しかける他ない。
とはいえ、あまりに人が少なすぎるので、失敗するかもと思い出す。
ここまで大規模な以上、ホームでスタッフが客に対してお願いをしているかもしれないからだ。

我ながら疑り深いと思うが、ここまで大規模にされればその可能性もあると、売り場で切符を買うと、改札口を通ってホームに上がる。
そこで話しかけようとおもったが、ここで絶対ドッキリ不可能な場所を思いついて、そこに電車に乗っていくことに決めた。

そう、僕が思いついたのは都会。
一日に何十万、何百万が利用する電車の終点だ。
いかにテレビの力が巨大でも、このドッキリを成功させることは不可能だ。

僕は内心でほくそ笑むと、電車が来るのを待つ。
そして都会まで20分で着くという急行に飛び乗ると、初めて笑みを浮かべた。

──都会に着いた。
たまに友達とここに遊びに来るが、今日は僕一人だ。
僕は数えきれないくらい沢山ある店を物色しながら、通り過ぎる振りをしていきなり本屋にはいる。

そしてそこで道を聞くふりをした。

「すいません、ここらでゲーム売ってる店はありませんか?」

ドキドキする瞬間。
さすがにここでドッキリは不可能だ。
これで僕は開放されるだろう。
だけど・・・

「………」

信じられないことに無視された。
ここまで計画を練ったのに、かなりショックだ。
僕はそのまま急ぎ足で店を出ると、片っ端から通行人、店の人に話しかける。
だけど、同じ結果でますますショックを受ける。
僕は頭をくらくらさせながら、深呼吸を一回すると焦る気持ちを押さえつける。

僕は透明人間状態だ。
いや、スーパーで僕の後に並んだ人がいたことから正確には透明人間ではないと予想される。
すると僕はどういう存在なのだろうか。通路にある鏡に自分の姿を映してみると普通に僕の姿が映って、少し落ち着きが戻る。

人間じゃない?
いや、スーパーのレジの出来事から人間であることには違いない。
なら、話しかけれない存在?
いや、それも違う。他人には僕が見えていない。知らない人の顔の前で手を振ってみたが、みんながみんな瞳になんの反応もなかった。
試しに店のガラスの前で手を振ったり色々してみるが、やはり僕は存在している。
そう、これは認識されていない。僕の存在は人に認識されていないのだ。

スーパーのレジの清算をこっちでも試した結果だが、後ろに並ぶ人は僕が見えない存在なのにも関わらず、順番を詰めようとしない。
多分だが、後ろの人は何となく、列を詰めたくないという認識が頭にあるのだと思う。
車で言うところのダンブカーの後ろを走る軽自動車の運転手が車間距離を詰めたくないみたいな感じかもしれない。

とはいえ、僕がやばい立場なのは間違いない。
ドッキリで笑いものにされるのは避けれたとはいえ、状況は悪化してるとしか言いようがないからだ。
このままだと家に帰ってもずっと飯抜きの状態になるし、学校でも無視される存在で、進学も出来ない……。

とりあえず万引きは監視カメラがあるので念のためにやめるとして、再び地元に帰ると、コンビニでおにぎりをいくつか確保し、お金をレジに置いて店を出た。















                                   >>
  1. 2017/03/23(木) 20:28:50|
  2. 小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

え?旧苺山学園物語も、世界の希望もないの?
  1. 2017/03/23(木) 22:04:45 |
  2. URL |
  3. CK #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> え?旧苺山学園物語も、世界の希望もないの?

言葉足らずで申し訳ありません。
今のところ消去対象は時止めの学園、理想の世界、美少女探偵クラブを考えております。
ですので苺山学園と世界の希望を消すということはございません。

コメントありがとうございました。

  1. 2017/03/25(土) 22:43:51 |
  2. URL |
  3. モブGR #-
  4. [ 編集 ]

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