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1──清州──

まさに時は戦国時代。

戦国大名が各地で覇を唱え、天下をとらんと、毎日、血で血を洗う戦を繰り返している。
明日の見えない戦いは民を苦しめ、さらなる戦乱を呼んだ。
そしてそんな時代を嘆いた、ある一人の神が、この果てなき戦いの時代を終わらせるべく一人の男をこの時代に召喚した。

そこから物語は始まる。









──尾張、清洲



「いたたたたた……ここは…」

ガンガンする頭に手を当て上半身を起こした僕は、周りの風景に目を見張った。
なぜなら、ここは僕の見覚えのない場所だったからだ。
見渡す限りの田んぼと、あぜ道。そしてそれを取り囲む様な山々。どう見ても長閑な田舎といった風景。
僕は、確か自転車に乗って学校へと川沿いを走っていたのだがら、この風景は明らかにおかしい。僕の知ってる風景とは、汚い川に沿ってどこまでも続く金網と電信柱が立ち並ぶなんとも味気ない風景でなくてはいけないのだ。

「とにかく、ここがどこか確かめないと……」

意識が目覚めるにつれ頭の痛みがおさまってきた僕は、制服についた植物の種や土を払い立ち上がった。
そして、自分が乗ってきたはずの自転車と鞄を探して近くを探すが、どこにも見当たらないため、諦めて道を歩き出す。


これから自分を待ち受ける、激動の日々を知らずに。






自己紹介をしよう。
僕の名前は南扇直樹、16歳の男子高校生である。
特に取りたてて何かが出来るという訳ではない平凡な男だ。

そんな僕が、なぜか見知らぬ場所に一人放りだされて、あてもなく道を歩いている。
始めは、なんのドッキリ?とか思っちゃったりしたんだけど、いつまで待っても種明かしがないし、携帯も圏外なのか通じない。
助けを呼ぼうにも周りに人がいないし、家屋一つ見えないのだからお手上げ状態だ。

そしてそんな状態が続けば、いいかげん僕も不安になってくる。
ひょっとして僕は、頭がおかしくなったのか?それともいつのまにか死んでいて、今いる場所は天国か地獄じゃないのか?といった具合にだ。
そこで僕は、試しに簡単な計算や腕を抓ったりしてみて色々と体の状態を確認してみたのだが、特に問題なく正常だった。
と、なると、ここがどこなんだという話だが、
それについてはこれから解決するだろう。

だって、この道を歩いてれば、いつかは人里に着くのだから。



歩き始めて、およそ2時間後、

道の両側に延々と広がる田園風景に、いい加減飽き飽きしていたところに、ようやく変化が現れる。
遠く道の先に、一人の男が着物を着てフラフラと前を歩いていたのだ。
僕はようやく会えた人間に安堵すると同時に、どうにも足取りがおかしい男への警戒感がわきあがる。
しかし、このチャンスを逃しては、また人と出会えるのがいつになるか分からない為、勇気を出して駆け寄った。

「すいません。ちょっといいですか?」

背後から駆け寄った僕に、声をかけた男が、ふらりと振りむいた。

「なんだぁ……おめぇは…」

うわぁ酒臭い。
それが第一印象の若い男だった。
着ている着物は汚く、ボサボサの髪がどうにも不審人物を思い起こさせる。

「あっ、いや、ちょっと道に迷っちゃって、ここはどこかなぁとか思っちゃったりして……」

言葉が尻すぼみになっていく僕。
なぜなら酒のせいか、この男の目が据わっており、軽いノリで物事を言おうものなら、それこそ何をされるか分からない雰囲気だったからだ。

「フンッ!」

そんな僕の態度をどう思ったが知らないが、暫くすると、男は鼻息をひと吹き漏らし、手に持った濁酒をガブガブ飲みながら質問に答えてくれた。


「ここは、尾張の国、清洲だぁよ」

と。









尾張、清洲と言われて、まず思い浮かぶのはなんであろうか。
まず、ほとんどの人がそれってどこ? とマークを思い浮かべ、そして残り僅かな人が織田信長を思い浮かべるに違いない。
かくいう僕が思い浮かべたのは後者だった。
なにせ僕はこうみえても、昔の地名などにはある程度詳しい。信○の野望などの戦国ゲームをやりこんでいた為だ。
まさか、こんなところで自分の知識が役に立つとは思わず、僕はより詳しい話を聞くために、この男と一緒に道を歩くことに決める。


「へー、じゃあ、あなたは尾張の国に士官されるつもりなんですか」
「おうよ。おら、出世して村の奴らを見返してやるんだべ」
「なるほどなるほど」

機嫌良く話す酔っ払いの男に適当に相槌をしながら、僕は、今まで得た簡単な情報を頭の中で整理していた。

まずここは尾張の国の清洲。
時代はというと、戦国時代らしかった。
そしてこの男、細川槍之助と言うらしいが、この槍之助は、尾張の国に士官しようと旅をしていることなのだ。

いつもの僕なら笑い飛ばしそうな話。だが、こんな状況になったせいで笑い飛ばすことが出来ない。
もちろん酔っ払いの戯言だとバッサリやることも出来たが、それにしては、この男の雰囲気などがあまりにも現代人のそれとかけ離れていたし、
そして何より、歩く道から見える風景には電信柱など現代文明を示すものが何一つなく、この男の話には信憑性があると言って良かった。


「それにしても槍之助さんは、織田家に仕えるつもりなんですか、なかなか目のつけどころがいいと思いますよ」

おべっかを使いながら、僕はこれからのことを考えて溜息をつく。
なぜ、自分がここにいるのか分からないが、元の世界に帰るまでの間、当面の生活資金をなんとかしなくてはいけない。
なにせ、自分の持ち物と言えば、左腕に嵌めてる腕時計と財布に入れた1000円札が2枚だけだからだ。ほんと頭が痛い。

「なに言ってんだ、おめぇ。尾張といえば立花家と決まってるだろうが」

鼻息をフンッと吹きならして槍之助は大笑いした。冗談だと思ったらしい。
だが、僕はその言葉に驚き、思わずまじまじと槍之助を見つめてしまった。

「た、立花って!? 織田じゃないのか!?」

思わず掴みかからんとした僕に、槍之助は驚いたのか、流れるようにして戦国の世の情勢をより詳しく話してくれるのだった。






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  1. 2012/09/30(日) 17:57:08|
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