8月11日 午前11時41分 映画研究部 藤乃宮遥
「……ということなんです。どう思います?」
「ちょっとわかんないかな、相手の女の子が君のことどう思ってるか分かんないし……」
「そうですか。とりあえず今は、遥先輩のまんこ便器で我慢しときますよ。あ、出るっ!」
どぴゅううううぅぅぅーーー!!
私は、映画研究部の1年に恋愛相談を受けながら後背位でやられていた。
もはや清純だったイメージはなく、すっかりオナホールとしておまんこを提供する日々である。
「すっきりした? まだ残ってるなら遠慮せずに全部、中に出していいんだよ?」
「うーん。今日はこれくらいにしときます。もうからっぽですし、帰ってから好きなアニメのDVDを見なきゃいけないですしね」
「そうなんだ、またいつでも溜まったら言うんだよ。いつでもやらせてあげるからね」
笑顔で手を振って出て行く男子。それに微笑みながら、次の男子が私のお尻を掴んで挿入する。
ほんとは白い液を出すための治療だったのに、なぜか映研部の男子と交尾している日常に「あれっ?」と、若干不思議さを感じながらも、
私はそれを当たり前だと受け入れていた。理由なんて分からない。ただ、気持ちいいからと自分を納得させている。
「遥先輩、おっぱい吸わせてください。白い液を吸い出してあげますよ」
「うん。ありがとう。いっぱい吸い出してね」
ポロンと出した乳房に吸い付く男子部員。
先日からなんと、白い液が私の乳房からも出るようになったのだ。
私は妊娠したのかと一瞬思ったのだが、桐沢さんが私にも白い液が出る病気がうつったのだと言うので、そうなんだと納得した。
確かに風邪もうつるし、この病気もそうなのだろう。
男子部員が、毎日私の白い液を飲んでくれるので、すぐに治るだろうと思ってるので心配はしていない。男の子と違って間違って精子が出るわけじゃないしね。
幸せそうな顔で私のおっぱいに吸い付く男子の頭を撫でながら、私もまた腰を振る。
私のお尻を掴んで腰を振っている男の子を絶頂に導いてやらないといけない。
「あっ、くっ、遥先輩、いい感じです。出ちゃいそう。出しますね!」
どぴゅううううぅぅぅ!びゅびゅうううぅぅぅーー!
熱い精子が私のお腹の中に放たれた。子宮が熱くなり、深い満足感を覚える。
私は乳房に吸い付く男子と、未だお尻を掴んで腰を震わし射精を続ける男子を一瞥すると、壁に掛けられた時計を見た。
(もうお昼なんだ。今日も朝から頑張ったしね…)
夏休みに入り、毎日映研部の男子と交わっていた為、なんとなく時間の感覚がおかしくなる。
現に最初の方は気づいたら夜になっていたということが多々あった。それだけ彼らの相手が忙しかったというのもあっただろうが、
自分もそれだけ夢中になっていたということでもある。
身体を見てみると、身体は精液でベトベト、昼食の前にシャワーを浴びたくなってきた。
私は、身体にしがみつく男子2人に離れるように言い、ティッシュで身体の精液を拭い去る。
そして制服を着ると、他の男子に昼食タイムを取るように笑顔で言って、映画研究部を出て通用門近くにある食堂に向かった。
食堂は夏休みでも営業しており、部活に来ている生徒のほとんどが利用している。メニューはそれほど多くはないのだが、味の方は確かで生徒たちに人気があった。
私はそこでキツネうどんを注文すると、窓際の長机の端に座って麺をすする。
食堂は少し昼食には早いのか、人がまばらでなんとなく寂しい気持ちにさせた。
「ちょっと聞きたいんだけど、あなたが藤乃宮遥さん?」
顔を上げるとそこには見知らぬ女子生徒。少しふけてるから上級生かな?
なにはともあれ否定する理由もないので、無言で頷く。
「よかった。ちょっとあなたに話があるんだけどいいかな?」
「うん、別にかまわないけど」
私は、女生徒に席を勧めるが、彼女は首を横に振る。
「ちょっと人に聞かれたくない話なの。ご飯を食べ終わった後でいいから、ついてきてくれる?」
「わかったわ。ちょっと待って」
私は、残り少ないうどんを急いで食べ、席を立つ。
「おまたせ。どこで話そう?」
8月11日 午前10時39分 通学路 桐沢真由美
ワタクシは学園から学生寮へと続く道を歩いていた。
喧しいセミの鳴き声が周囲の林から鳴り響き、さんさんと太陽の光が道に降り注ぐ、大自然に囲まれた苺山島ならではのありふれた光景。
すでにこの島に来て1年経っているワタクシには見慣れた光景だった。
だが今日に限って、その光景に違和感を感じる異物が混じっている。
それは車。
ワタクシの後を宅配トラックが1台、後をつけるようにしてゆっくり追いかけてきてるのだ。
(いったい、これはどういうことかしら、気分が悪いですわね)
ワタクシは後ろを振り向かぬよう気をつけて歩きながら、なるべく人気のある道を選び、後ろの車の目的を考える。
この島で車が走ってるのは、実はそれほど見かけない。ここは別名学園島と呼ばれるだけあって、大人より学生の数の方が圧倒的に多く、大人の数が少ないからだ。
しかし、かといって後ろの車のような宅配トラックは特に珍しくはないのも、また事実である。それは食料品や日用雑貨などを運ぶのは圧倒的にあのタイプであり、あのような宅配トラックがなければ、島での生活が成り立たないからだ。
だが、宅配トラックの本来の目的は荷物を運ぶことであり、一人のか弱き女生徒の後をつけることなど聞いたこともない。これは明らかになんらかの悪意を持っているという証明であろう。
(……まったく、ワタクシのような清廉潔白な人間の後をつけまわすなんて、いったいどういう輩なのかしら)
つけまわされる理由がまったく思い浮かばず、頭をひねっていたワタクシはだんだんイライラし始める。
いつまでもワタクシの後を金魚のフンのようにくっついてくる宅配トラック。言葉を喋るわけでもないのでよけい腹が立つ。
ワタクシは本来、我慢するということが大嫌いなのだ。
(いっそのこと中の人を引きずり出してやろうかしら……)
道の角に立っているオレンジ色の反射ミラーで車を確認しながら、あえて通学路を逸れ、2人の女学生がいる車が入れぬ細い道へと足の向きを変える。
さすがにここまでは追ってこれないでしょう。と、そう思ったのだが……。
──バタンッ!!
「っ!?」
車のドアが開閉する鈍い機械音に、咄嗟に振り返る。
まさか車を降りた!?
そう思ったのも束の間、突然、背中に押し当てられた小型のスタンガンによって、ワタクシの全身に電気ショックが走る。
(そういうこと。してやられましたわ……)
ワタクシは声にならない言葉を呟きにして崩れ落ちていく。
先行く細い道に人がいる、それを逆手に取られたやり方。
そう、細い道周辺にいた2人の女学生も車に乗ってる連中の仲間だったのだ。
恐らく事前にたてられた綿密な計画。ワタクシはそれにまんまとかかってしまったのだ。
薄れゆく意識のなか、制服を着た2人の女子、いや女性をみてワタクシは不覚をとったのを恥じるのだった。
8月11日 午後12時18分 所長室 村山麗子
「桐沢真由美および藤乃宮遥両名の確保に成功しました。今、地下の監禁室に放り込んであります。いかがなされますか?」
朝からの散々の呼び出しに応じず、昼ごろしれっと所長室にやってきた細川に、私は目を細める。
言いたいことは山ほどあるが、まず聞かなくてはならないことは雅彦のことだ。返答によってはただで済ますつもりはない。
「それは後々私が尋問する。それより貴様に聞きたいことがある。なぜ天目雅彦が映研部に所属していたことを報告しなかった?」
「……ああ……、そうでしたっけ? 雅彦様は別の映研部に所属していた気がするのですが……」
首を傾げしらじらしく考え込む細川。だが、私はすでに雅彦が桐沢の映研部に所属していることを掴んでいる。
安易な言い逃れは許さない。
「とぼけた振りはやめろ細川、すでに私は雅彦がどこに所属しているのかを知っている。なぜ黙っていた?」
「……………別に報告する必要はないと思っただけです。もし雅彦様にこの件が知られれば、雅彦様を通じて会長に知られる恐れがありましたからね。
そうなればこのプロジェクトの中止が決まっていたかもしれませんし」
道化をやめた細川がこちらに視線を移し淡々と言う。
「だからと言って雅彦を危険に晒す理由にはならん。他にやりようがあったはずだ! 」
ドン!と拳を机に叩きつける。
「……お言葉ですが所長。あなたは少々雅彦様に肩入れしすぎではないでしょうか?
確かに雅彦様は天目財閥の後継者であらせられます。ですが、あくまでも後継者候補の1人。他にも後継者候補がいらっしゃるのですよ。むしろ御次男の信也様のほうが優秀でいらっしゃれますし、後継者に相応しいかと……」
「きさまっ!!何を言ってるのか分かってるのかっ!!」
私は怒りのあまり立ち上がる!
「……失礼、これは失言でした。私のような一介の社員が、どうこういう話ではありませんでしたね」
細川は失言を認め、頭を下げて謝罪した。
「何はともあれ、我々がまず、なすべきことは、紛失したタイプαの回収と流出経路の特定。まずは桐沢真由美の件から始末しないといけないと思うのですが、どうでしょうか?」
清々しいまでに皮肉のこもった視線をこちらに向け、細川はドアを開ける。
「さぁ、桐沢真由美の元にご案内いたします。所長」
───苺山植物研究所、地下5階、隔離病棟。
それは開発した薬を投薬し、効果を確認する実験病棟である。
被験者は人間に限らず、猿、犬、鳥など多種多様に及び、開発された薬の効果を確かめるべく24時間単位でデーターを取られている。
表向きは苺山植物研究所などと看板を掲げているが、実際は御覧の通り、新たな新薬開発のため医薬品メーカの真似事をしてるというわけだ。
もっともそれは、他の医薬品メーカの目を欺く為であり、他の場所であれば堂々と医薬品メーカの看板を掲げていただろう。
つまりこれは、3年前に偶然作られたタイプαが、この苺山島の固有植物から作られたということを隠すカモフラージュということだ。
私は、先導する細川の後を歩きながら、横目で病室に視線をやる。
病院と何も変わらぬ白い壁の向こうにいくつものベッド、患者が横たわっている。
彼らは桐沢のように無理やり連れて来られたわけではなく、合意の上でやってきた余命いくばくもない患者たちだ。
彼らは天目財閥から支払われる金銭と引き換えに、世間から隔離され、痛みを極力和らげる非合法な投薬実験を受けている。
新薬のタイプαもこの施設で作り出されたのだ。
もっともアレは薬と呼べるのか分からないものだが……。
私はすれ違う所員から挨拶を受けながら、通路の奥へと進む。
ここまで来れば私もどこに向かってるか分かる。それは精神がおかしくなったものを収容する拘束室だ。恐らく桐沢真由美と藤乃宮遥もそこに閉じ込められているのだろう。
「ここです。所長どうぞ」
細川が鉄製の黒いドアの前で立ち止り、鍵を開けると私に道を譲る。
私は細川を睨みつけると、室内に足を踏み入れた。
「……あら、意外ですわね。まさかワタクシを誘拐する指示を出したのが、あなただと思いませんでしたわ。てっきり細川さんの独断だと思っていたのですけど」
「私も君が、そんな余裕のある態度を見せると思わなかったよ」
部屋に入った瞬間に掛けられた、友人に話しかけるような柔らかい声。
視線の先には、まるで日本人形を想像させるような美しい黒髪をした女子高生が椅子に座ってこちらを見上げていた。
「桐沢真由美だな……?」
「ええ、知っててここに連れてきたんでしょう。村山麗子さん」
「ほう、私を知ってたか」
「当然でしょう。ワタクシ、ここの受付嬢をしていたんですわよ」
一切接触した覚えがなかった桐沢が、私の事を知っていたことに軽い驚きを覚えたが、研究所の責任者である私の顔を覚えていてもおかしくはないと気を取り直す。
「単刀直入に言う。タイプαはどこにある……?」
「なんのことかわかりませんわね。何か誤解されてるんじゃなくって?」
「そうだといいんだがな。だが、君がタイプαを持っている疑いが濃厚なのだよ。もう一度訊く、タイプαはどこにある。早く喋ればそれだけはやくウチに帰れるぞ」
「しつこいですわね、ワタクシは何も知りませんわ。それよりこれは犯罪ですわよ。わかってますの?」
「ああ、わかってるさ。だが我々も必死でね。タイプαを回収するためなら何でもするつもりなのだよ。例え、非人道的なことをしようともね」
そう言って私は脅しつけるように睨みつける。普通の女子高生ならそれだけで縮み上がるか、泣き出すだろうが……、
桐沢はそれを涼しい顔で受け止めた。まるで自分には関係ないよう微動だにせずに。
私はそれを見て、桐沢という少女が一筋縄ではいかない相手だと認識し、内心嘆息する。
「とりあえず、暫くはここで滞在してもらおうか。そのうち喋りたくなるだろうからな」
私は踵を返し部屋を出ると、次に藤乃宮遥のいる部屋に向かった。
8月11日 午後12時18分 研究所 地下5階 藤乃宮遥
いったい何がどうなってるの……?
私は白い壁に囲まれた窓のない6畳ほどの広さの個室で混乱していた。
食堂で女の子に話したいことがあると言われてついていった先に待ち構えていた大人の男たち。
彼らは私の両側から腕をつかむと、無理やり車に押し込み、薬品が染み込んだハンカチを私に嗅がせて意識を失わせたのだ。
そして意識が目覚めてみれば、この鍵のかかった部屋に閉じ込められていた。
私は部屋の中の簡易ベッドに腰掛け、そのまま倒れこむように寝転ぶと、白い天井を見つめる。
部屋の周囲からは何の音も聞こえてこない。静寂そのものだ。
時計すらないので、今何時なのかも分からない。時間の感覚がおかしくなりそうだ。
なんでわたし、ここにいるんだろう?
特に理由が思い当たらない私は、これからどうなるのかと想像して軽く身震いをする。
私を誘拐しても特にお金持ちではない両親からは、たいして身代金なんてとれない。
そうなると、やっぱり色々されちゃうのか殺されちゃったりするんだろうか。
目を閉じ、自分の身体を抱きしめるように抱えると、冬休み以来あってない両親に心の中で謝罪する。
そうして両親や啓介くんとの過去の邂逅を思いだしていると、
ふいにドアの向こうからコツコツと複数の靴の音が響いてきた。
それは私の部屋のドアの前で止まると、鍵穴をガチャガチャまわし、鍵を開ける。
中に入ってきたのは、メガネをかけた長い黒髪の白衣を着た20代後半の女性と、髪をオールバックにした若い男性だった。
「あ、あの……」
掠れた声で言葉を発するが、なんと言っていいのか分からず言葉に詰まる。声に出してみたものの、彼女はとても誘拐犯に見えず、途中で戸惑ってしまったからだ。
だけどそれを見た彼女は手を挙げ頷くと、私の知りたかった答えを口に出す。
「まずは、こんなことになって君に謝罪しよう。私の名は……、そう麗子と言ってくれればいい。
君は私たちのことを誘拐犯だと勘違いしているかもしれないが、我々は誘拐犯などではない。そこまではいいかな?」
私は頷く。
「では次にこの場所についてなんだが、諸事情により君に明かすことができない。
なぜならここは、ちょっとした隔離施設でね。世間一般の人々に知られると、ちとやっかいなことになるのだよ」
そこまで言うと、麗子という女性は長い髪をうっとおしそうにかきあげた。
「え、えっと。それで私がここに連れてこられた理由はなんなんでしょうか……?」
一番聞きたかった答えが聞けず、私は勇気を振り絞る。
「ああ、すまない。肝心なことを伝えてなかったね。実は君は、非常に危険な病気にかかってる恐れがあってね。
少しばかりこの施設で検査させて欲しいのだ。どうだろう、協力してもらえないだろうか?」
ここまで無理やり連れてきておいて協力だなんて、と私はムッとしたが、この人たちの雰囲気から逆らっても無駄だと感じとり、
私は仕方なく頷いた。協力的な態度をすれば早く家に帰してもらえるだろうと期待して。
麗子さんはそんな私を見てとると、後ろの若い男に私を医療室に連れて行くよう伝え、部屋から出て行った。
なんだかあっけない。ここは病院なのだろうか?
「さぁ立ってください。医療室へ行きましょう」
残された若い男が、まるで私をモルモットを見るような目つきで促した。
私はこれからいったいどうなってしまうんだろうか。
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- 2012/09/28(金) 00:59:08|
- 小説
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