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モブの植木鉢小説館

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2話 パラレルワールド

朝、僕はスズメの鳴き声と、まぶしい光で目が覚めた。
どうやらいつのまにか眠っていたらしい。
ピンクのパジャマ姿のみさきちゃんが、お尻をこちらに向けて、ベッド脇のカーテンを開けて朝の光を部屋に呼び込んでいる。

「おはよう、よく眠れた?」
「……う、うん」

クラクラする頭を軽く振りながら、俯き加減で返事を返す。
昨日のことでかなりの寝不足だが、その事は口が裂けても言えないだろう。それより親が心配してるだろうし、連絡して早く帰らないといけない。
みさきちゃんの清々しい笑顔を見てると、昨日のことは夢だったように思えるが、なんでもなかったように平静を装って起き上がる。

「下に行ってご飯食べにいこ」

みさきちゃんの後に続いて、僕もついていく。
傍を通り過ぎるみさきちゃんから女の子特有のいい匂いがしたが、クラクラする頭のせいか思う存分感じ取ることが出来なくて残念だ。
ふらつく身体のまま一階のリビングに入ると、大きなテーブルの上にベーコンエッグとご飯とお味噌汁が置いてあった。

「おはよう、朝食出来てるわよ。2人とも座って」

エプロン姿のお姉さんに、笑顔で挨拶をしてからちょっと断りを入れる。

「すいません、先に電話していいですか?」
「ええ、いいわよ」

携帯を取り出し家に電話を掛ける。
しかし繋がらない。呼び出し音が鳴り続けるだけだ……。

「どう、繋がった?」
「……駄目だ」

みさきちゃんがご飯を食べながら横目で、僕を見つめてくる。

時間を確認しても朝の7時だし、起きてるはず。
いったいどういうことなんだと、若干イラつきながらも電話番号を確かめ、もう一度かけ直しても結果は変わらない。呼び出し音が鳴り続けるだけだ。
息子が行方不明なのに。

「先にご飯食べちゃえば? 冷たくなっちゃうし」
「うん」

お姉さんに軽く会釈して席に座り、ご飯を食べ始める。
もう面倒だから連絡せずに帰るか……。しかしお金どうするかな……。



朝食を終えると、僕は再び電話を掛けるがやはり無理のようだ。
僕は諦めてみさきちゃんと2階に上がり、布団をかたずける。
そして着替えどこでしようと、みさきちゃんの方を向いた瞬間、信じられない光景を見て固まった。

なんとみさきちゃんがベッドの上で着替えをしていた。
白い肌にはじけるように揺れる美しい乳房。
それを惜しげもなく僕に晒しながらブラジャーをつけようとしている。

「な、なんで……」
「ん?」

思わず上擦った声が漏れ、みさきちゃんが僕に視線を移す。

ぷるるんとした剥き出しのおっぱい。薄ピンクのツンと上向いた乳首は、今までに見たことのないくらい綺麗で目が離せない。
同世代の女の子の乳首をみたのは初めてで、頭が真っ白だ。ちんちんが大きくなるとかそれどころではない。瞬きすらできないとリアルで知った。

「どうしたの、固まって?」
「い、いや……」

無邪気な笑顔で首を傾げる。
だが、その可愛さは反則だ。健康的な身体は予想以上にグラマーで、腕を動かすたびにおっぱいが形を変えて脳を刺激する。

「あ……、えっと隠さないの?」
「何を?」
「いや、だから胸……」

指摘にも首を傾げて不思議そうに自分の胸に目を向けるみさきちゃんに戸惑う。
明らかに何を言ってるのって顔してるし、まるで僕が間違ってるみたいだ。

どうなってるんだ僕がおかしいのか? それともみさきちゃんがこういう性格なのか?
混乱してパニックになりそうなのを自覚しながら、みさきちゃんは僕がこれ以上何も言わないことから着替えを再開し始める。

もう深く考えるのはよそう。ラッキースケベだと思えばいい。
そうだ。どうせ今日でお別れなんだ。残念だけど。


僕は服を着替えると、お姉さんに別れの挨拶をしてみさきちゃんと一緒に外に出る。
お金のことをどうするか迷ったが、やはりみさきちゃんに借りるのは心苦しい。
途中何度か電話をしたが、やはり梨のつぶてだ。みさきちゃんから連絡が取れるまでまた家に泊まればいいって言ってくれてるけど、どうしよう。学校休まないといけないしなぁ。

今日は平日なので制服姿のみさきちゃんは、このまま近くの高校に行くらしい。
まわりをみると、ちらほら他の女子高生が同じように制服姿で学校に向かってるのが見てとれる。
その中で普段着の自分は違和感ばりばりだ。同じ学生なのに私服だと結構はずかしい。

電話もつながらないしどうするかと思っていると、みさきちゃんが家に電話しておねえさんに事情を話してくれた。
もし連絡がつかなかったらまた泊めてくれることになったらしい。
ほんとお世話になります……。



みさきちゃんと校門前で別れた僕は、どうしようかと悩んでいた。
財布に2000円しか入ってないので電車に乗っても途中までしか無理だし、さすがに三重から東京まで歩いて帰るわけにはいかない。

(警察のやっかいになるわけいかないしなぁ)

近くの公園のベンチに座り、携帯を弄る。
向こうからの着信履歴もメールもないし、本当に困った。メールを送ってから、しょうがないお昼にもう一回電話を掛けてみるかと、ボーと公園で時間を潰し昼まで待つことにするが、暇で仕方がない。

「くそっ、まじどうなってるんだ……」

昨日の晩から電話が通じないというのは異常だ。
公園の傍にあった公衆電話から掛けても通じなかったから携帯の故障とは考えにくい。
向こうで何かあったと考えるのが筋だが、僕の事で何かあったのなら家に専業主婦の母親が残って僕からの連絡や帰りを待つだろう。コンビニに行くと出かけて帰らなかったのだから警察に届けられてる可能性はあるし、そう考えるのが普通だ。
しかしここまで通じないとなると、僕の事とは無関係に何かあった可能性がある。

僕は淡い陽の光を浴びながらベンチで頭を掻くと、警察に行くか悩む。
警察に行ったって結局は金だ。家の事を言うにしたって確証はないし、半日連絡がとれなかったからといって相談しても呆れらるか諭されるだけだろう。
ここに来た理由について嘘をついてもいいが、交通費の無心で色々調べられるのはまずい。なにせ僕は東京から三重に来てるし、コンビニに夜食を買いに出たのが昨夜11時。電車の走る時間を考えても、時間的にここまで来れるはずがない。

(いや、車だと言えば誤魔化せるか……)

そこまでふと考えるが、頭を振ってその考えを否定する。
なぜなら仮に電車で途中まで行ってタクシーを使ったとしても、ここまでの料金や時間は相当なもの。
なぜ平日のここにいるのか?学校は?とかもっと嘘をつかないといけなくなるし、そうなると色々綻びが目立ちはじめ、万が一向こうでなんらかの事件があった場合、僕は疑われ厳しい追及を受けることになる。
馬鹿正直に気づいたらここにいたなんて言えないのだから、仕方がないといえば仕方がないのだが、トラブルは避けたい。

僕は軽い貧乏ゆすりを終えると、立ち上がる。
時間にして1時間も経ってないが、もう待てない。
警察に行くのは最終手段だが、時間潰しも兼ねて警察の場所を確認をしておくのも悪くないだろう。

人気のない公園を出ると、みさきちゃんの学校のグラウンド傍を通って地元の人を探す。
グラウンドでは女子高生が体操服で運動しているので、ここは女子高なのかもしれないと横目で目の保養をしながら通り過ぎる。

街並みは普通の住宅街だ。
田舎なのでもっとのどかな光景を思い描いていたのだが、東京とそれほど変わりはなく一軒家やマンションが立ち並んでいる。
海とかは近いんだろうか、と思いながら歩いていると、前から20代前半らしきスーツ姿のお姉さんが歩いてきた。

「すみません」
「はい?」

僕が呼び止めたことでお姉さんが立ち止る。

「近くに警察ありませんか?」
「……警察?」

?マークを浮かべるお姉さん。

「ええ、警察です。知りませんか?」
「えっと、ごめんなさい。警察ってなにかしら?」
「……は?」

今度はこっちがクエッションマークを浮かべる番だ。

「いや、警察は警察ですけど……」
「ええ、だから警察ってなにかしら?」
「えっ、それはその……」

マジで何を言ってるんだ。警察を知らない人なんているのか?

「警察は治安を守る組織ですよ。日本全国どこにでもあります」
「そうなの? 初めて聞いたけど……」

可哀想な目で僕を見てるが、それはこっちセリフだ。警察を知らないなんておかしすぎる。

「それじゃあ、警察は知らないってことですね?」
「ええ、ごめんなさい」
「いえ」

そう言ってお姉さんと別れると、僕はおかしな人だったなと首を傾げながら他の人を探す。

次に会った人は、一軒家の前で箒片手に掃除してた、これまた若い10代後半らしきお姉さんだった。

「あの、警察はどこにありますかね?」
「警察?」

またしても不思議そうな顔をした女の人。
この人も警察という言葉に首を傾げているようだ。

「ごめんなさい、わからないわ」
「警察分かりませんかね?」
「ええ、初めて聞いた言葉なのでちょっと」

やっぱり同じだ。
僕は黙ってありがとうございましたと別れる。

僕はそこで腕を組むと、お姉さんたちとの会話について考える。
彼女たちは警察を知らなかった。
ここが日本である以上それはおかしい。警察なんて子供で知っているからだ。
となると、ここが、いや、この世界そのものが……
と、そこまで考えて三重まで来て起こった事について思い出す。

まず電話が通じない。
そして警察を知らない。

それくらいか?





いや……

他にもある。

そうだ。みさきちゃんの家に行ったとき、男の僕の前で当たり前のように着替えをしていた。

そして……



今まで出会ったりすれ違った人の中に男がいなかったことだ。




夕方、僕は自腹で昼食を済まし、警察や男がいないか街中を探し回って情報収集に明け暮れていた。
僕の思った通り、ここには男と警察が存在せず、ためしに男を知っているかと訊くと、誰も知らないという結果が残った。

僕はどうりで電話が繋がらなかったわけだなと納得しつつ、ここが自分のいた世界とはまったく違うということにどこか俯瞰した気持ちで受け止めいていた。

天涯孤独になってしまった自分だが、どこかワクワク感みたいなものがあったのだ。これからの事を考えれば不安しかないはずなのに。

(とりあえずこの街のことだけではなく、日本や世界について情報を集めないとね)

僕は申し訳ないと思いつつ、みさきちゃんの家に舞い戻った。


「あらおかえりなさい。連絡付いた?」
「すいません……、無理でした」
「そうなの、家の方はお出かけしてるのかしらね」

玄関で出迎えたお姉さんに、今日の報告をしつつ新聞やテレビを見せてくれるように頼み込む。

そして新聞を広げ、テレビをつけるとすぐに僕の確信に近い推測が間違いないとわかった。

──やはりこの世界に男はいない。
チャンネルをあちこち変えながら新聞を見ても男の名前や存在がどこにも見当たらない。
政治家やコメディアンも全て女。
なるほど、みさきちゃんが僕の前で平然と着替えをしてたわけだ。男という存在がいないのだから羞恥心もないのだろう。
しかも年寄りがいないのも何気に驚きだ。


いったいこの世界はどうなってるんだろう。

僕はソファーに座って編み物をしているお姉さんに顔を向ける。

「お姉さん、人ってどうやって増えてるんですか?」
「はっ?」

驚いた顔をされてしまった。
当然か。

「えっと、それって哲学的とかそういう意味?」
「いや、その……普通にどうやって赤ちゃんができるかって……」

言ってて恥ずかしくなってきた。かなり失礼なこと訊いてる。
もしこの世界に男がいたら切腹物の質問だ。
案の定、お姉さんは怪訝な顔をしている。


「赤ちゃんが人霊樹から生まれるのは知ってるわよね? その詳しい仕組みとか聞いてるなら私にはわからないわ」
「……そうですか、ありがとうございます」

驚きを隠しながら頭を軽く下げる。どうやらこの世界は人から赤ちゃんが産まれないらしい。
男がいないから当然と言えば当然かもしれないが、かなりびっくりだ。
しかし人霊樹とはなんだ。当然そんなものは聞いた事がないし、樹ということはどっかに生えているのだろうか?
そう思い、口を開きかけたとき、玄関からガチャと扉の開く音と共に明るい声が聞こえてきた。

「ただいま~」
「おかえりなさい」

パタパタとリビングに入ってきたみさきちゃん。僕の存在を目に入れると、近寄ってくる。

「どうだった?」
「だめだった、ごめん。今日も泊めてもらっていいかな?」
「うん、いいわよ。連絡取れるまでいつまでもいていいよ」
「えっ、そんなわけには……」

そこまで言いかけて、僕は自分の帰る場所がないのを思い出した。

「……すいません、お言葉に甘えます」
「うん、遠慮しないでね」

結局こうなってしまった。
行くあてのない僕にはよかったが、なんらかの恩返しはしなくっちゃなと思うのだった。










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  1. 2015/12/24(木) 23:07:16|
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